間取り

駐車場・カースペースの注意点 ~注文住宅の間取り講座~

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駐車場・カースペースの注意点 ~注文住宅の間取り講座~

注文住宅の間取り講座シリーズの第4弾として、駐車場(カースペース)を取り上げます。この講座では、建物内部についてはまだ玄関にしか触れておりませんが、外部も大事なスペースですからしっかりとまとめておきます。

ここで取り上げた注意点については、注文住宅を建てるときの駐車スペースの検討に活用してください。

1.駐車スペースの広さと車の出し入れの注意点

駐車スペースの広さや自動車の出入りに関する注意点や検討すべき点から説明します。

駐車場の広さ

1-1.所有する車を駐車するのに十分な広さか

現時点で所有している車を駐車する上で問題のない広さであるかどうか検討するのは必須ですね。ただ、将来的に家族構成や考え方の変化等で車をもっと大きなサイズのものに買い替える可能性もあるならば、その時のことも考えなければなりません。

設計者や営業担当者によっては、今のことだけをヒアリングすることがありますが、将来のことも考えて要望を伝えるべきです。

以前の間取り相談のなかで駐車スペースを確認したときに、助手席側のドアを開閉することが困難なケースがありました。必ず、車を道路に出してから助手席に乗り降りするというのも面倒ではないでしょうか。また、運転席側に奥様が鉢を置こうと計画していたスペースがあり、これもドアの開閉に支障があるために断念することになりました。

駐車スペースの検討時にドアの開閉スペースまで考慮するのは必須ですから注意してください。

1-2.車の出入りはストレスなくできるか

駐車しておけるスペースがあればよいというものではありません。車の出し入れをストレスなく出来るかどうかも重要です。毎日のように車を利用するならば、毎日ストレスを感じるのも嫌ですね。

車の出し入れの作業は、駐車スペースの前の道路の巾との関係が深いですから注意してください。前面道路の巾が4mという住宅地は多いですが、駐車スペースの間口が狭いと切り替えしの必要性が高まります(もちろん運転技術にもよります)。

道路と敷地の境界の塀や植栽の一部を無くす等の工夫をして、駐車スペースに車が入りやすいようにするなどの対策を考えましょう。

カーポートの縁石

また、車を出すときに前進方向となる方がよいでしょうから、バックで駐車しやすいように考えてプラニングしましょう。運転技術によってはタイヤを止める縁石があれば便利です。

狭小地における駐車場では、隣家との境界部分の塀をなくして駐車部分を共有することで有効に使う方法が有効なこともあります。「狭小地の駐車場(カースペース)問題と対応策」も良い参考になります。

2.自動車以外の保管物の有無や利用方法の検討

駐車スペースには車以外のものを置いておく人も多いでしょう。駐車スペースの利用方法を家族で話し合ったうえで必要な事項を検討しなければなりません。

駐車スペースに置くというよりも駐車スペースのように屋根のある場所に置いておきたいという考えを持つ人は多いのではないでしょうか。たとえば、タイヤやオイル、洗車道具などのメンテナンス用品や自転車を雨で濡れない場所に置きたいと考えるのはよくあることです。

物置代わりとして使用するのは便利ですね。

自転車を駐車スペースやその付近に駐輪する場合、車を駐車した状態で自転車を道路に出しやすいかどうかもチェックしておきましょう。車いすを使うなら、同様に検討が必要ですね。

3.洗車のことを考える

自分で洗車するならば、洗車するだけの十分なスペースがあるかどうかも考えたいところです。すぐ近くに洗濯物を干すならば、洗車時の水がかかってしまう可能性がありますから、両者の位置関係はよく確認しておかなければなりません。

洗車に関して注意すべき点は、隣家との関係です。洗車時の水が隣家の方へ飛んでしまって迷惑をかけてはいけません。自分たちの洗濯物干しとの位置関係はチェックしていたものの隣の洗濯物を濡らしてしまっては意味がないですね。

4.死角をなくす

駐車スペースのプラニングの際には防犯上のことも注意したいところです。駐車スペースの屋根、壁、ポール、さらには車などによって道路などから死角となる場所がどうしてもできやすいものです。

玄関や勝手口などが死角となっている場合、泥棒の侵入を許しやすいと言われています。完全に死角を無くすことは難しいですが、玄関などの要所については死角にならない工夫が必要です。

5.駐車スペースの床面と屋根材の注意点

駐車スペースに使用される材料のことも考えておきましょう。床面と屋根に分けて説明します。

5-1.駐車場の床材

駐車スペースは外部のことだからと安易に考えている人もいますが、地盤の弱いところで土間コンクリートに鉄筋を組んでいない(無筋コンクリート)ことがあり、沈下・凹みといった問題が生じることがあります。地盤の状況に合わせて鉄筋の量や径(太さ)を考慮して配筋したいものです。

床をタイル仕上げにする場合、タイルそのものが車の荷重に耐えうるものかどうかきちんと確認してください。完成時点の見栄えだけで考えていては、使用し始めてすぐにタイルの割れが生じて後悔することもあるでしょう。

土間コンクリートとしている駐車スペースが多いですが、タイヤ跡が残りやすいというデメリットを知っておきましょう。浸透性アスファルトであればメンテナンスは楽なのですが、デザイン性という点で敬遠されることもあります。床面の仕上げの検討も慎重にしなければならないということです。

5-2.駐車場の屋根

車を雨からも守ることで汚れにくくするためにも駐車スペースに屋根を付ける人は多いですね。もちろん設置費用がかかるというデメリットがありますが、できるだけ価格を抑えつつ屋根を設置したい人も多いでしょう。

屋根にもいろいろなタイプがありますが、割れにくさを考慮してポリカーボネイトという選択肢がお奨めです。紫外線をカットして日焼けによる色褪せ、劣化を抑える効果も期待できます。価格を最重視するならばアクリルですが、ポリカーボネイトの性能にかないません。

ちなみに、屋根を設置すると原則として建築面積に影響があるため、建物全体の面積との兼ね合いで検討しなければなりません。

駐車スペースの屋根

6.駐車スペースと段差の問題

住宅の敷地が道路よりも高いということは傾斜地ではよく見られる光景です。車の出し入れの利便性を考えて、駐車スペースについては道路と同じ高さに掘り下げることもあります。段差のある住宅地である場合はその段差をどう解消するかについても考えなければいけないということです。

住宅によっては駐車スペースが道路より低いということもあります。道路から下がった位置に駐車スペースがある場合、当然ながら雨水の排水計画が重要になります。突発的な豪雨で車が浸水してしまってはいけませんから、設計者に排水計画をどう考えているのか確認してください。

道路と敷地の段差が大きい場合、1階部分(又は地下)を車庫として、その上に住宅を載せているようなプランもあります。細かなパターンを話すといろいろあるので割愛しますが、車庫を鉄筋コンクリートで作るプランであれば強度の点でメリットですが、コストがかかります。

7.駐車場・カースペースのその他の注意点

駐車スペースについて他にも考えておくべきことがありますので、紹介しましょう。

7-1.シャッター

道路から駐車スペースへ入る入口部分にシャッターを設置するケースは多いですが、便利な電動シャッターとするか安価なものにするか検討しましょう。電動シャッターが壊れたもののメンテナンス費用がもったいないからと開けたままでシャッターを使用していない家もありました。

また、電動なら電源が必要ですから最初の設計段階から計画しておいた方がよいでしょう。

7-2.駐車スペースの跡地利用

今は車に乗っているものの、将来は車に乗らないという人もいます。高齢になったら危険なので車を手放すというケースはこれから間違いなく増えていきます。

車を手放す時期がそう遠くないならば、手放した後の駐車スペースの活用方法も考えておいてはいかがでしょうか。駐車スペースの床材を撤去して家庭菜園にするとか、趣味の離れを建てるとか、倉庫を建てるなどもよいでしょう。

駐車スペース1つをとっても検討すべきことは多いですね。こういった地道なチェックの積み重ねで良い家づくりを進めましょう。

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