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坪庭・中庭のある家のメリット・デメリットと注意点

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坪庭・中庭のある家のメリット・デメリットと注意点

これから新築住宅の間取りなどのプランを考えるなかで、「坪庭を作りたい」「中庭のある家が理想だ」と考える人もいるでしょう。今回は、坪庭や中庭のある家づくりを考えている人が、住宅完成後に後悔しないために読んでおきたいコラムです。

1.中庭と坪庭の基礎知識

中庭や坪庭という言葉を聞けば、何となくイメージできるかと思いますが、整理するためにもそれぞれの言葉について簡単に説明しておきます。

1-1.中庭とは

まずは中庭です。中庭とは建物の壁や塀、場合によっては植栽などに周囲を囲まれた庭のことです。囲まれるといっても必ずしも四方を全て囲むとは限らず、三方のみを囲むものもあります。三方の中庭を上から見下ろすとコの字型になりますし、四方を囲むならロの字型になりますね。

庭と言っても、植栽をほとんど使わずにスペースのみを確保しているものもあります。その用途は観賞用というよりも多目的スペースとなっていることが多いです。

1-2.坪庭とは

坪庭とは、簡単に言えば小さな中庭です。坪庭の多くは、和風の小さな庭といったイメージで作られていることが多いですが、ウッドデッキを使用したスペースにすることもあります。また、最近はモダンな坪庭も見かけます。工夫次第で、それぞれの住宅のイメージに合わせたものにすることができるでしょう。

坪庭は、小さなものですから、新築の際にはスペースのみを確保しておき、入居してから自ら創り上げていくのも楽しいではないでしょうか。

中庭と違い小さなスペースですから、基本的には観賞用に用途を限ったものが多いです。

中庭

2.中庭と坪庭のメリット

前述したように中庭と坪庭には、そのスペースの広さにおいて違いがありますから、メリットやデメリットも全く同じというわけではありません。しかし、共通点が多いことと、中庭と坪庭の使い分けが微妙になっている点も考えて、ここでは一緒にメリットをあげています。

2-1.採光がとりやすい

最も大きなメリットとも言えるのが採光です。敷地や建物の形状などによっては、採光をどうするかが大きな課題になることは少なくありませんが、その解決策の1つとして中庭や坪庭が用いられることがあります。壁面が増えるため、窓も増えますし、そのスペースから様々な方位へ明かりをとることができます。

但し、坪庭はその使い方次第では採光がほとんどとれないことがあります。たとえば、枝・葉の多い植栽を置いてしまうと採光に影響が出ます。どういったデザインの庭にするか、優先順位はどうするかといったことに注意して検討しましょう。

2-2.通気がとりやすい

坪庭や中庭の取り方にもよりますが、基本的には通気がとりやすいこともメリットになります。例えば、道路側から奥に長い建物で、隣地との距離も近い場合、建物の中心部分には通気上有効な窓をとりづらいですが、坪庭を設けることで通気を取りやすくなります。

もちろん、中庭があれば窓も増えて通気が良くなりますね。

2-3.見た目の印象、グレード感の向上

中庭にしても坪庭にしても、希望する人はその見た目の良さだということも多いです。明るさや通風・通気と同じぐらい大きなメリットではないでしょうか。

和風の坪庭と接する部屋を和室にすることでグレード感もアップします。庭と隣接するスペースの組み合わせ、デザインを工夫することで、見た目やグレードの向上を図ることができます。

隣家境界とのネガティブな暗い日の当たらない隙間であっても、竹や枯山水などを上手く使うことでポジティブな空間に変えることができます。

2-4.開放感・広さ・距離感

中庭や坪庭があれば、隣接する部屋からの見通しがよくなり、部屋の延長として見えるため、その部屋そのものが広く感じられるようになります。開放感や広く感じられることもメリットだと言えます。

また、隣接する部屋との間に中庭や坪庭があれば、程よい距離感を保つこともできます。

2-5.プライバシーを確保できる

ロの字型の中庭であれば、外部から見づらくてプライバシーを確保しやすいことは大きなメリットです。コの字型の中庭や坪庭でもプランによってはプライバシーが十分に確保できますから、これを重視する場合はプラン作成に際して設計者に要望を伝えておきましょう。

外部からの視線を気にしない庭ができ、落ち着きますね。服装やお化粧を気にする必要もありませんから、気が楽です。

2-6.家族のコミュニケーションや子供の安全・安心

2階建て住宅で中庭があれば、1階と2階のコミュニケーションがとりやすくなるのもメリットです。また、キッチンやリビングから子供部屋を見やすい配置にしておれば、小さなお子さんの確認も容易で安心です。人の気配を感じやすい家となるでしょう。

また、中庭を子供の遊び場とすることで、道路で遊ぶよりも安全ですし、親が室内から子供を確認しやすいと安心ですね。

坪庭

3.中庭と坪庭のデメリット

次に中庭と坪庭のある家を作った場合のデメリットも考えておきましょう。メリットとデメリットを抑えてから判断したいものです。

3-1.庭の管理の手間が生じる

どのようなスペースにするのかにもよりますが、庭によってはその管理に要する手間とコストが大変です。

植栽を放置すると見た目が良くないですから、自分で管理するか植木職人などに依頼しなければなりません。芝生にすると同じように管理が必要です。

中庭の使い方によっては、植栽等の管理に手間のかかるものは最小限にしておき、子供の遊び場とする分には管理の手間もそうかかりません。また、小さな坪庭であれば、これもそれほど手間はかからないので、使い方なども考えてプランを検討しましょう。

3-2.建物面積が小さくなることがある

敷地面積にゆとりがあるならば、この点はそれほど考慮する必要はないでしょう。都市部の小さな敷地に住まいを新築する場合、無理に坪庭を設けることにより、建物面積を小さくせざるを得ないことがあります。また、角の多い建物の形状になるため、室内を使いづらくなることもあります。

優先順位をきちんと考えておき、後から後悔しないプランとしたいですね。

3-3.建築費が高くなる

建築費は、建物の形状が単純なものほど安くなります。逆に言えば、形状が複雑なものほど高くなる傾向があるのです。単純な形状と言ってもわかりづらいかもしれませんが、建物を上から見て正方形や長方形であれば単純な形状です。

上から見て角が多くてカクカクした形状になれば、建築費のアップになるということです。坪庭や中庭がある家は角が多くなりますね。見積り金額に注意して検討しましょう。

3-4.熱損失が増える

坪庭や中庭のある家では、どうしても熱損失が増えてしまいます。その理由は、開口部が多いからです。開口部とは主に窓ですが、窓は外壁面よりも断熱性が劣るため熱損失が増えてしまうのです。ちなみに、断熱サッシを多用するとコスト増にもなります。

窓が多くなるのは、採光の点でプラス材料ですが、デメリットにもなるということです。

中庭や坪庭への憧れを持っている人は少なくないですが、ここであげたメリット・デメリットと注意点のことも考えて間取りを考えてください。

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