工務店選び

坪単価80万円の新築住宅を大手ハウスメーカーと建築家で比較

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坪単価80万円の新築住宅を大手ハウスメーカーと建築家で比較

マイホームを新築するうえで、住宅展示場で見た大手ハウスメーカーに発注するのか、建築家に設計を依頼して地場の工務店で建ててもらうのか、いずれがよいかで迷う人は多いものです。

大手ハウスメーカーでもいろいろありますが、建築費の坪単価が80万円を超えるような高級志向の住宅を考えている人ならば、建築家+工務店で同じぐらいの費用をかけたときの違いを考えてみるとよいでしょう。それぞれに同じ坪80万円を投資するならば、どちらが得なのかということです。

1.建築費の坪単価の比較は設計監理料込で比較する

ハウスメーカーの建築費の見積りと建築家+工務店の見積りを比較する場合、両者ともに工事にかかる建築費だけではなく設計・監理の費用も含めて比べないといけません。

1-1.建築家への設計監理の報酬金額

建築士が行う設計および監理業務の報酬は、概ね建築費の7~13%程度です。最近は10%を切ることが多いようですが、建築士事務所によって差異があります。但し、報酬金額の計算方法は各事務所によって異なるため、都度、確認が必要です。

1-2.工務店への建築費と建築家への設計監理料の合計

前述の報酬金額の計算を考慮した場合、工務店へ支払う建築費が坪単価70万円であれば、設計監理の報酬を含めても坪単価は80万円に満たないことが多いです。建築費が坪73万円でも設計監理を含めて80万円に収まることも十分にありえることです。

1-3.ハウスメーカーの見積りに設計監理料が含まれているか

ハウスメーカーが提示する見積書には、設計監理料が含まれているときと含まれていないときがあります。ハウスメーカーの多くは設計を内部で実施していますが、一部においては外部の建築家と連携していることもあるからです。

含まれていないときには、その設計料も計算に入れるべきなのは言うまでもありません。含まれているかどうかは、ハウスメーカーの担当者に聞き、実際に見積書を見ながら説明を受けるとわかるでしょう。

ただ、多くの見積りには設計監理の費用も含まれています。つまり、ハウスメーカーで坪単価80万円だということならば、工務店の坪単価70万円+建築家の設計監理料で80万円と仮定して比較するとよいでしょう。

2.坪単価80万円の住宅の比較ポイント

坪単価80万円の家となれば、ハウスメーカーのなかでも大手であることが多いです。大手ハウスメーカーと建築家が設計して工務店が建築する家の比較という意味では、規格商品である大手ハウスメーカーのものより、建築家が設計するものの方が自由度は高いという点が大きな違いだと言えます。

しかし、ここでは坪単価80万円の家、つまり高額な住宅における大手ハウスメーカーと建築家が設計する家の比較ポイントをご紹介します。

2-1.「建築家+工務店」の方がグレードを上げられることが多い

大手ハウスメーカーは材料の大量生産でコストダウンしているが、販売管理費が地域の工務店に比べて非常に高いため、材料面のコストダウンのメリットを施主が受けられているとは言えません。販売管理費とは、住宅展示場の維持や広告宣伝費、そして従業員の高い人件費です。

一般的に、大手ハウスメーカーと地域の工務店の従業員の年収を比較すると一人当たり100万円単位の差があります。さらに、間接部門のスタッフの人数が多いことも人件費増になっています。これは当然ながら、建築費にも影響しているということです。

結果として、施主が同じ建築費等を投資するならば、「建築家+工務店」の方が建物のグレードを上げられることが多くなるわけです。

2-2.大手ハウスメーカーの保証制度は充実している

大手ハウスメーカーを選ぶメリットの1つは、保証制度の充実です。地域の工務店では、建物の主要な構造部分や雨漏りに関しては、法律で定められた最低限度度の保証のみ(引渡しから10年間)ということが多いです。

これに対して大手ハウスメーカーでは、各社が20年や30年といった長期の保証を打ち出していて安心感があります。また、建物の主要な構造部分や雨漏りに関する部分以外の項目でも短期保証が地域の工務店より充実していることが多く、この点でも安心感があります。

但し、地域の工務店は保証制度をきちんと設けていない場合でも、長く対応してもらえることも多く、一概に大手ハウスメーカーの方が良いとも言えません。規定の範囲で対応するドライな大手ハウスメーカーと、その都度、柔軟に対応する工務店といった特徴の違いのことも同時に理解しておく必要があります。

2-3.工事監理で大きな差がある

坪単価80万円もするのだから、工事監理(図面との照合や検査)は大手ハウスメーカーでも「建築家+工務店」でもしっかりしているだろうと考えている人は、現実を知ると驚くのではないでしょうか。

大手ハウスメーカーでは、この工事監理をほとんどしていません。全国の多くの建築現場の数に対して工事監理を担当できる人の数は圧倒的に少ないのです。工事監理者は定められていますが、その人がきちんと現場へ足を運んで監理業務を遂行しているかといえば、そうではありません。

一方で、「建築家+工務店」の場合には、設計した建築家が工事監理者にもなっていることが一般的で、その人が現場へ足を運んで監理しています。但し、設計監理契約を締結するときに、どの程度の監理をしてもらえるのかは、念のためにヒアリングしておいた方がよいでしょう。

2-4.ハウスメーカーは設計の自由度が低い

ハウスメーカーの住宅では、そのメーカーが用意した範囲から選んでいくシステムになっていることが多く、規格住宅とも呼ばれています。細かなところで自由な設計をすることができず、妥協点が多くなることがあります。不要なところに壁があったり、仕上げ材をこだわったものにしたいけど選べないか高額になったりすることもあります。

これに対して建築家(設計事務所)に依頼する場合は自由度が高く、理想のプランとしやすい特徴があります。

但し、ハウスメーカーでも自由度の高い家を設計できるケースもあるため、そうと決めつけずに話を聞いてみる必要はあります。ちなみに、自由度を上げるとさらに高額になることもあるので注意したいポイントです。

2-5.建築家(設計事務所)の住宅は見積りが最後までわかりづらい

ハウスメーカーは設計の自由度に問題があるものの、規格や仕様がある程度は決まっていることから、早い段階で全体の見積り金額がわかりやすい点がメリットです。これに対して、建築家(設計事務所)に設計を依頼した場合、設計を終えるまで金額を確定しづらいというデメリットがあります。

規格が決まっておらず自由に設計できるというメリットと対になっているものです。

2-6.ハウスメーカーでは現場を知らない設計者もいる

建築家(設計事務所)は、設計者した人が自ら監理業務を行うことがほとんどですから、自然と普段から現場へ足を運んで経験を積んでいます。それが仕事の一部です。しかし、ハウスメーカーでは分業していることもあって、現場にあまり足を運ぶことのない人が設計していることも少なくありません。

現場経験が不足している設計者では、現場でよく起こりうるトラブル等に詳しくなく、提案に問題が生じたり、施主の要望に関係するリスク・デメリットの指摘を適切に行えなかったりすることもあります。

2-7.ハウスメーカーでは現場担当者の掛け持ち件数が多い

現場を担当する現場監督は、工程を管理する大事な役割です。この現場監督はあまりに多くの住宅を担当するとオーバーワークとなり適切に業務遂行することが難しくなります。

大手ハウスメーカーでは同時に多くの住宅を担当することが多いため、工程を把握するだけでやっとだという人も多いです。坪単価がいくら高くても、ここにきちんと人を割いてくれない限りは解決しない問題です。これに対して、「建築家+工務店」の場合は現場監督が同時に2~3物件程度までしか担当しないため、ハウスメーカーのように極端なオーバーワークになることはありません。

住まいの品質に関わる大事な業務ですから、ここも重要ポイントです。

2-8.「建築家+工務店」なら工務店を選べる

ハウスメーカーに依頼するということは、施工者もその会社になることは初めから決まっています(下請けは別)。「建築家+工務店」の場合は、設計が進んだ段階で工務店を複数の会社から選べる場合が多いです。建築家から紹介された工務店に依頼することも可能(これが多い)ですし、自分で探してきた工務店に発注できることもあります。

建築家から紹介される工務店も複数の会社であることが多く、相見積もりをとることで見積り金額や対応の質を比較して工務店選びをすることもできます。

3.まとめ

坪単価80万円ともなれば、なかなか立派な住宅が建築できるものですが、ハウスメーカーを選ぶのか、もしくは「建築家+工務店」を選ぶのかで完成する住宅への満足度も大きく異なります。これは、誰にとっても同じというわけではなく、一人一人の施主によって異なることでしょう。

それぞれの特徴をよく考えて、ハウスメーカーや工務店の選択をしていきましょう。

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