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完成後の新築住宅でよくある重大な不具合事例

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完成後の新築住宅でよくある重大な不具合事例

新築住宅が完成して入居してから、そこで暮らす居住者がいろいろな不具合に気づくことがあります。たとえば、「天井からポタポタと水滴が落ちてきたので確認したら雨漏りだった」「いつの間にか壁に亀裂が入っていた」などといった問題です。

そういったとき、ハウスメーカーや工務店に伝えて現場を確認してもらい、必要な補修等の対応を求めることになりますが、補修が困難であったり、手間やコストの負担が大きかったりした場合、すぐに補修対応してもらえないこともあります。

完成して入居してから後悔しないようにするため、どのような不具合があるのかを知ることで、建築途中にチェックすべきことを理解しておきましょう。2003年より住宅検査をしている住宅診断(ホームインスペクション)のアネストへの相談事例のなかで、特に重大な不具合であったものを参考にして事例を示します。

1.床下の漏水・浸水

よくある重大な不具合事例の1つ目は、床下の漏水・浸水です。居住者が床下点検口を開けて床下を覗いてみたら、水が溜まっていたという話は意外と多く、驚いて検査依頼する人もいます。

床下の漏水と言っても、その原因にはいくつかのパターンがありますので、その1つ1つを以下で紹介します。

床下の漏水

1-1.給排水管の接続不良

住宅の床下には、給水管・給湯管・排水管が配管されています。浴室、キッチン、トイレ、洗面の給水・排水ですね。

この給排水管の管そのものに穴が開いていて漏水ということもありますが、多くの場合は接続箇所の施工ミスが原因で漏水しております。配管同士の接続箇所もそうですが、ユニットバスやキッチンの排水管の接続不良が多いです。

給排水管からの漏水にすぐに気づかなければ、深さ5cm以上もの水量が床下に溜まっていたという事例を何度も見てきました。点検口から覗いたときに、それだけの水がある状況を目撃したら誰でも相当に驚きます。河川が氾濫して床下浸水したみたいになっています。

溜まっている水が汚れていなければ給水で、汚れていたり泡立っていたりすると排水である可能性が高いです。以前、トイレの汚水が漏れていたケースもありましたが、想像したくないですね。

ちなみに、洗濯機の排水ホースの接続ミスによる防水パンからの漏水という事例もありますが、これは洗濯機の設置時のミスですから新築工事の問題ではありません。但し、防水パンの排水管に接続不良があれば工事の問題となります。

※防水パンとは、洗濯機を設置する箇所で受け皿のようなものです。ただ、最近は防水パンのない住宅が多くなっております。

建築途中では配管・設備工事の際に、接続箇所を丁寧に確認しておく必要があると言えます。

1-2.雨水の浸水

次に多く見られるのは、雨水の浸水です。床下で雨水と聞くと不思議に思うかもしれませんが、意外と遭遇するトラブルです。

床下へ雨水が侵入する代表的な箇所は、基礎の継ぎ目です。

基礎の継ぎ目と聞いてもピンとこないかもしれませんが、多くの住宅の基礎には目で見てもわからない程度の継ぎ目が存在しています。具体的には、基礎の立上りと底盤(ベース)の継ぎ目です(以下の図を参照)。

基礎の継ぎ目

基礎コンクリートは底盤と立上りの2度にわけて打設することが一般的になっていますが、わけて打設するだけにコンクリート間にごくわずかな隙間が生じて水が流れることがあるのです。ちなみに、鉄筋によって底盤と立上りはしっかり固定されている状況です。

雨量が多かったときなどに、雨水が地中に浸水して基礎の継ぎ目から床下へと流れくるわけです。

このような雨水の浸水である場合、床下へ侵入する水量は給排水管からの漏水被害よりも少量であることが一般的で、床下で染みのようにじわじわと広がっていくことが多いです。

但し、基礎コンクリートの僅かな隙間を水が流れているわけですから、基礎内部の鉄筋が錆ついてしまうリスクがあり、放っておくと耐久性などに影響を及ぼすことになりますので、早期の補修が必要です。

基礎コンクリートの打設時に施工の様子をチェックしておきたいものです。

1-3.湧き水・結露

そう多くはない事例ですが、湧き水(地下水)が床下へ湧き出るということがあります。基礎が布基礎である場合に見られるのですが、原因がわかりづらいことが多いのが難点です。湧き水の出る地域はある程度、確認することができますから建築前に役所でチェックしておくとよいでしょう。

もう1つは、結露です。屋根裏と比べると床下で甚大な結露被害が出るケースは多くはないですが、被害に合っている住宅もあります。例えば、基礎断熱としておきながら、室内と床下の通気口を設けていないといったケースが該当します。この事例はプラン上の問題ですから、知識がある人が見ればすぐに原因がわかるでしょう。

2.排気ダクトの接続不良・接続忘れ

排気ダクトの接続不良もよくある不具合事例です。ユニットバスの天井点検口を開けて覗くと、排気ダクトが外れていたという事例は年に何度か確認されています。接続が緩くて外れそうになっていることもありますが、はじめから接続していない、つまり接続忘れだという住宅も多いです。

完成して引渡しする前に建築会社が目視点検すればすぐにわかることなのですが、点検口の中まで見ていない担当者もいるのでしょう。

この接続不良にすぐに気づけばよいのですが、多くの場合、知らずに住み続けて数年経ってから異常を感じて調査で発覚しています。そのときには、天井裏の内部がカビだらけになっていたり、合板が劣化していたり、木部の含水率が異常値を示していたりします。

完成後・引渡し前の竣工検査のときでも確認できることですから、きちんと確認しましょう。

3.壁・天井の著しいひび割れ

非常に多い相談事例が壁や天井に生じたひび割れに関するものです。住宅の壁や天井にはひび割れが生じることが少なからずあるものですが、その全てが重大なものというわけではありません。むしろ重大な問題である方が少ないですが、どちらであるか居住者が適切に判断しづらいところが問題だとも言えます。

3-1.下地の施工不良

壁や天井のひび割れのよくある原因が、下地材の施工不良です。壁や天井がクロス仕上げになっていることが多いですが、その下地材として何枚ものボードが施工されています。そのボードとボードとの継ぎ目が開いたり、ずれたりすることによって、クロスのひび割れをひきおこすことがあるのです。

下地材が勝手に動くわけではなく、地震や強風(台風など)によって建物が動いたときに、このような症状が出てくることが多いです。建物が地震等で多少は動くということを理解して冷静に対処しましょう。

しかし、地震等で建物が少しは動いたとしても、全ての住宅において同じようなひび割れが生じているわけではありません。揺れの大きさの違いもありますが、下地材の施工精度の差が現れていることもあるのです。

下地材の施工精度はクロスを貼る前にチェックすることができます。

3-2.プラン上の問題(バランスの悪さ)

その建物のプラン上の問題点が原因となって、壁や天井にひび割れを生じさせることもあります。例えば、吹抜けや階段スペースで見られるひび割れは、これに該当することが多いです(他のパターンもあります)。

プラン上の問題とはいえ、構造計算上は何ら問題ないにもかかわらず、建物の部分的にバランス等が悪い箇所でひび割れが生じることがあるのです。

経験豊富な設計者であれば、図面を見た時点でそういった問題を引き起こすリスクの有無はわかりますから、事前に図面を見てもらうのも1つの方法です。しかし、違法でもないし、構造上の安全性も確認されているのであれば、特別に問題視しないという判断もあります。

また、プラン上の問題だけではなく、前述した下地材の施工精度の問題も影響していることもあります。

3-3.建物の傾斜・地盤沈下

最も深刻な原因と言えるのは、地盤沈下による建物の傾きです。地盤強度と建物の形状・重量などを考慮して適切な地盤改良工事をするものですが、その対応が不十分であれば、建物が沈下してしまうことがあります。その沈下の仕方によっては建物が傾いて、ひび割れなどの症状を生じさせるのです。

ひび割れだけではなく、傾きも感じるようであれば、すぐに専門家に調査依頼して状況を確認すべきでしょう。

着工段階で地盤調査資料と地盤改良計画を確認して、このリスクについて考慮しなければなりませんが、一般の人が判断することは難しいので、専門家に相談するのも1つの方法です。

4.屋根裏の結露

最後に紹介するのは屋根裏の結露です。結露といえば、冬に窓に見られる結露をイメージする人が多いかもしれませんが、住宅の様々な箇所で結露が起こる可能性があります。壁内結露や先に紹介した床下結露もそうです。

ここで紹介する屋根裏の結露は、よく見られる症状です。

屋根裏は軒などから換気していることが多いですが、その換気口が無い住宅や換気口があっても換気容量が不充分な住宅では結露リスクが高いです。換気口があっても断熱材で塞いでしまっていた事例もありました。

これは設計段階や完成時の検査でチェックすることが可能ですから、必ずチェックしておいてほしいポイントです。

今回は完成後の新築住宅で見られることのある4つの重大な不具合事例を紹介しました。いずれも建築中や完成時の対応で防ぐことができるものですから、ホームインスペクションサービスなどの専門家を活用するなどしてチェックしておくようにしましょう。

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