間取り

リビングを2階にする間取りのメリット・デメリット・注意点

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リビングを2階にする間取りのメリット・デメリット・注意点

住宅を注文建築で新築したり、リノベーションしたりするとき、家族の団欒などで重要なリビングを何階に配置するかは、間取りを検討する上で大事なテーマです。昔の2階建て住宅では、リビングは1階に配置するのが当たり前でしたが、今ではリビングを2階にする家も増えています。

リビングを2階にすべきかどうか、そのメリット・デメリットから考えてみましょう。2階に配置する間取りにするときの注意点もアドバイスします。

1.リビングを2階にするメリット

最初に2階にリビングを配置した場合のメリットについて考えましょう。プランによって異なるものですが、一般的には以下のメリットが挙げられます。

  1. 採光がよく明るい
  2. 風が通りやすい
  3. 眺望を得やすい
  4. 1階よりプライバシーを確保しやすい
  5. 多少の運動になる
  6. 開放感のあるリビングを実現しやすい

以上6つのメリットをあげましたが、これらについて詳しく解説しましょう。

1-1.採光がよく明るい

リビングには明るさを求める人が多いですが、1階のリビングと2階のリビングを比べれば、2階の方が明るくなりやすいです。

特に都会で見られるような狭小地では、その差が顕著に表れやすいです。狭小地の住宅が並べ地域では、どうしても隣の建物が近いために影となりやすいからです。

2階建て住宅の2階にリビングを配置する場合、天井面に窓を付ける、つまりトップライトを設けることで採光をより良くすることが可能です。

明るいリビング

1-2.風が通りやすい

風通りのよい家は暮らしていて気持ちいいものですが、リビングやキッチンの風通りの良さを求めるならば、リビングを2階にすることでメリットを得られます。

高い位置の方が、周囲の建物が邪魔になりにくくて風があるということもありますし、1階よりも2階の窓の方が開けていても防犯上の安心感もあります。

1-3.眺望を得やすい

2階のリビングは1階よりも眺望を得やすいという点もメリットです。但し、周囲の建物との位置関係や距離による影響が大きいですから、眺望を求めるならば周囲の建物のことも考慮したプラニングを検討することを忘れてはいけません。

また、周囲の建物は建て替えや増築などで変わることもありますから、眺望を望むならば、ある程度は敷地の広さにゆとりある土地で考えた方がよいでしょう。

1-4.1階よりプライバシーを確保しやすい

リビングが2階にあるということは、外部からリビングの中を見られるリスクが低くなりプライバシーを確保しやすくなります。1階リビングであれば、道路から丸見えなんてこともあります。

しかし、1階のリビングであっても外構部分の塀や植栽の工夫で対処できることもありますから、外構のことまで考慮した上で判断するとよいでしょう。

また、2階リビングの場合で、且つリビングの道路側にバルコニーを作るとプライバシー性は更に高まります。バルコニーの手すり壁が下からの視線を完全に遮り、向かいの家の2階からの視線も大幅に遮ってくれるからです。

やはり、リビングのプライバシー性を重視するならば2階に配置した方が有利です。

ベランダの壁

1-5.多少の運動になる

リビングが1階にある住宅である場合、買い物から帰宅しても2階に上がる理由はありません。1階に寝室もあるプランとなれば、階段を利用する機会はさらに減ります。楽でよいのですが、運動不足になりがちです。普段から、運動不足の人ならば、あえて運動のためにリビングを2階にするという考え方もあります。

1-6.開放感のあるリビングを実現しやすい

リビングには開放感を求める人も多いですが、2階建て住宅の2階リビングはそういう意味でも魅力的です。

2階は1階に比べて耐力壁を減らすことができますから、開放感のある広いリビングを作りやすいのです。耐力壁の不足は耐震性の低下につながるのですが、2階の重量を支えなければならない1階よりも最上階の方が耐力壁を少なくできるため、開放感のあるリビングを実現しやすいのです。

また、最上階ならば、天井を勾配天井にすることができます。勾配天井とは、斜めになっている屋根に合わせて天井も斜めにすることです。これによって、天井高を高くすることができ、空間が広くなるので開放感が高まります。

開放感を重視するならば、2階建ての2階にリビングを配置して勾配天井にすると効果的です。さらに、前述したようにトップライトを設ければ明るさも増して、非常に開放感あふれる家になることでしょう。

2.リビングを2階にするデメリット

次に、2階にリビングを配置した場合のデメリットについて考えてみましょう。

  1. 高齢者には厳しい
  2. 買い物した荷物を2階のキッチンまで運ぶ必要がある
  3. 子供部屋を1階にすると子供の行動がわかりづらい
  4. 子供部屋を1階にすると暗い
  5. 2階の音が1階に響く
  6. 庭の管理をしなくなる
  7. ゴミなどの管理がしにくい
  8. 就寝時の通気が必要な人なら1階寝室は悩むところ

いくつものデメリットをあげてみましたが、1つ1つ見ていくとそれほど気にならないこともあるでしょう。重視する項目は人によって異なりますので、その内容をよく理解して考えてみてください。以降で1つずつ解説していきます。

2-1.高齢者には厳しい

外から自宅へ戻るたびに階段を使用することは、高齢者にとっては大変かもしれません。今は若くて大丈夫だと思っても、将来、後悔する可能性も考えられます。但し、高齢になっても多少の運動をした方がよいので2階にしたいという考えもあります。

2-2.買い物した荷物を2階のキッチンまで運ぶ必要がある

買い物から帰宅したときに、買ったものを毎回階段を登って運ばなければならないことは、人によっては大変に感じるでしょう。

階段

2-3.子供部屋を1階にすると子供の行動がわかりづらい

リビングを2階にするということは、他のスペースを1階にしなければなりません。たとえば、子供部屋を1階にした場合、学校から帰宅した子供がそのまま自分の部屋へ入ってしまい、親と接する機会が減ってしまう可能性が高まります。

子供がリビングを通る家を設計してほしいというニーズは多いですが、その逆になってしまいます。

2-4.子供部屋を1階にすると暗い

子供部屋を1階にする場合のデメリットは、他にもあります。都会の狭小地における1階は暗くなりがちですから、1階の子供部屋も暗くなってしまいます。暗い子供部屋を避けたいならば、2階に配置することを考えたいところです。

実は、これも考え方次第で気にする必要はないかもしれません。過ごし方によるのですが、子供部屋に子供がいる時間帯を考えてください。昼間はリビングで過ごして外が暗い時間になってから子供部屋を使用するという家庭は多いのではないでしょうか。

家族の生活パターンをよく考えて判断しなくてはなりません。

2-5.2階の音が1階に響く

リビングを2階に配置するときのデメリットの代表格が音の問題です。キッチンの排水音が1階へ響きますし、リビングの物音も響きやすいです。

1階で早めに就寝する家族がいる場合には、好ましいことではありません。夫の朝が早いので就寝時間が早い家庭や高齢の親が1階にいる場合などでは、重視したい項目です。

2-6.庭の管理をしなくなる

リビングが2階にある場合と1階にある場合とを比べると、1階にあるときの方が庭へ出る機会が増えます。単純にリビングから庭へ出やすいからです。使用頻度の少ない庭は管理しなくなっていきますから、庭のスペースが十分にある敷地で家を建てるならば、庭の管理のことも考えておいた方がよいです。

2-7.ゴミなどの管理がしにくい

1階にリビングがあれば、ゴミを出しやすいと言えます。もちろん、各フロアでごみはでるものですが、リビングやキッチンから出るゴミが最も多いでしょう。リビング・キッチンは1階にある方がゴミ出しは楽なのです。

また、キッチンに勝手口があれば、一時的にゴミを外へ出しておくことができますが、2階リビングの場合はキッチン横にバルコニーがないと勝手口がありません。ごみの管理という点では1階の方が便利です。

2-8.就寝時の通気が必要な人なら1階寝室は悩むところ

なかには、就寝中に風が欲しいという人もいます。2階にリビングを配置したしわ寄せで寝室を1階にした場合、防犯上の理由で窓を開けて寝ることには抵抗がありますから、就寝中の風を期待することはできません。

他にもリビングを2階にするために、他のスペースを1階へ持っていくことからくる影響を考えてみましょう。あなたの生活パターンと照らし合わせて考えることが大事です。

3.リビングを2階に配置する間取り作りの注意点

メリットとデメリットをよく考えたうえで、2階にリビングを配置することにした場合、間取り作りの中で注意すべき点を紹介します。

リビングを2階にする家において、浴室を1階に配置する間取りを見かけることがあります。多くの日本人は入浴後に寝室へ行くというよりは、リビングへ戻ることが多いですから、ここで階段移動が生じます。よって、入浴の前後で階段移動が生じても良いものか検討しておきましょう。

また、1階に浴室があると1階の廊下や玄関前などのパブリックスペースを通過しなければならない間取りになっていることがありますから、注意しましょう。来客や宅配便等の配達等があれば、困ってしまいます。できれば、パブリックスペースを通らなくてよい設計を考えましょう。

浴室だけではなく、寝室などのプライベートなスペースとパブリックスペースとの位置関係も考えておきたいものです。玄関から入った来客が階段を登って2階のリビングへ移動することを考慮し、寝室などが見づらいプランを検討するといったことです。

4.リビングを2階にする間取りのまとめ

2階にリビングを配置することについてはデメリットが少なくありませんが、採光や開放感、プライバシーという点でメリットが大きいです。デメリットを許容できるものか検討し、さらに良い対策案を設計者と話し合うことで2階リビングを考えてみてはいかがでしょうか。

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