「ホームインスペクションは、中古住宅で受けるもの。」
とのイメージが強いですが、いいえ、ちがいます。
新築住宅でもホームインスペクションを受けるべきでしょう。
なぜなら新築住宅でも、欠陥住宅はあるからです。
中古住宅では、経年劣化で不具合(雨漏り・シロアリ被害など)が発生します。
しかし手抜き工事・作業ミスなどにより、新築住宅でも欠陥(不具合)は建築されているのです。
この記事では新築住宅でもホームインスペクションを受けるべき理由について解説します。
インスペクションを利用して、安心できる住宅購入を目指していきましょう。
ハウスメーカーの手厚い検査体制でも、欠陥が起きる理由とは?
新築住宅にはハウスメーカーによる、手厚い検査体制があります。
そのため新築住宅は、ホームインスペクションとは無縁に思えます。
しかし現実には、新築住宅(注文・建売)でも建築後のトラブルは非常に多いです。
その原因は、既存の検査体制に落とし穴があるからです。
1人の現場監督が10以上もの建築現場を担当することも。
どのハウスメーカーも、住宅の品質をウリにしています。
ローコスト住宅でも、かならず「低価格でも高品質」が決まり文句ですよね。
しかし現実には、新築住宅の建築後のトラブルは多いです。
トラブルは大手ハウスメーカーでも、同様に起きています。
新築住宅で欠陥(不具合)が発生する原因の1つは、現場監督のキャパオーバーです。
ハウスメーカーによっては、1人の現場監督が10以上もの建築現場を担当することも。
これでは優秀な現場監督でも、ミスをうっかり見逃してしまいます。
大手ハウスメーカーでも、1人の現場監督が複数の建築現場を担当します。
ローコスト住宅・建売住宅では、この傾向が顕著です。
欠陥・不具合は中古住宅だけの問題ではありません。新築住宅でも同様に起きているのです。
ハウスメーカーが実施する「第三者検査」は、本当に「第三者」か?
ハウスメーカーの手厚い検査体制の一環が、「第三者検査」です。
第三者検査とは、自社スタッフが検査するのではなく、外部企業に検査を依頼するもの。
そのため中立性・公平性のある検査ができ、安心して住宅購入ができるというものですが・・・。
しかしハウスメーカーが実施する「第三者検査」には注意が必要です。
なぜならその「第三者検査」には、「第三者性」が担保されていない可能性があるからです。
外部企業として検査を実施する企業。
もしかしたらハウスメーカーの関連企業かもしれません。取引歴の長い、利害関係のある企業の可能性もあります。
検査で大切なのは、第三者性。
購入者(施主)と売主(ハウスメーカー)ともに、利害関係のない企業が実施することで、客観的な検査ができます。
利害関係が残っていると、正しい検査は難しいでしょう。
ハウスメーカーの第三者検査のありがちなトラブルとして、
・指摘の表現がマイルドになる。
・最低限の検査範囲しか実施しない。
・検査基準以下の数値であれば、報告しない。(長期的に見れば、報告すべき内容の場合あり)
このような事例も耳にします。
パワービルダーの建売住宅には注意が必要。
新築住宅でとくに注意したいのが、建売住宅です。
建売住宅は規格化された設計・間取りにより、ローコストで建築された住宅。
近年の住宅の工業化により、
・ローコストで
・早い工期で
・一定のクオリティが担保できる
住宅として普及しました。
標準化された作業により、ミスが起きない工夫はされています。
しかし人件費のコストカットにより、
・現場作業者が急いで作業する。
・作業者への支払いが安いため、雑な仕事になりがち。
・1人の現場監督が多くの建築現場を担当する。
など、作業ミス・手抜き作業が起きやすい環境です。
建売住宅を検討する際は、ホームインスペクションを受けることをおすすめします。
建築前の物件であれば、より詳しく診断できる。
新築住宅でホームインスペクションが有効なのは、建物が完成する前に検査できるからです。
建物が完成してしまうと、内部構造が確認できません。
【建築が進むと確認できない内部構造】
・地盤改良工事
・基礎の配筋
・構造躯体
・防水工事
・断熱工事
これらは長く住み続ける上で、非常に重要なポイントです。
完成前に診断することで、安心できる住宅購入ができます。
重要な配筋検査ができるのは、「建物完成前」だけ。
建物の耐震性に大きな影響を与えるのが、基礎の配筋です。
基礎の配筋とは、基礎コンクリート内部に編み込まれる金属棒をメッシュ状に織り込んだもの。
基礎コンクリートは、
・圧縮に強い「コンクリート」
・引っ張りに強い「配筋(鉄)」
2つの力を組み合わせて、高い強度が保たれているのです。
基礎の配筋は、正しく施工されていないと、本来の強度が発揮されません。
・かぶり厚が不足している → 配筋が腐食しやすい。基礎の劣化が早くなる。
・アンカーボルト、ホールダウン金物が正しく施工されてない → 土台の固定が強度不足に。地震で倒壊の可能性。
・配筋太さ不足、ピッチ(間隔)不足 → 基礎の強度不足に。
基礎の配筋は重要な工程にも関わらず、不具合がしばしば起こります。
高い耐震性をうたうハウスメーカーの住宅でも、基礎の配筋工事に不備があれば本来の耐震性は発揮されません。
基礎の配筋検査ができるのは、建物完成前の限られた時期だけ。この時期を逃してしまうと、欠陥・不具合を見逃してしまうことに。
新築住宅のホームインスペクションであれば、建物完成前から検査可能です。
完成前だから確認できることとして、次の工程があります。
【建築前で確認できること】
・地盤改良工事
・掘り方
・基礎配筋検査(底盤、立ち上がり)
・基礎コンクリート打設
・上棟後の構造躯体
・防水工事
・断熱工事
・設備配管、電気配線
・竣工検査
どれも重要な工程ばかり。しかし建物が完成してしまうと、検査できません。
注文住宅であれば、建築工程の進行に合わせてのインスペクションも可能です。
ハウスメーカー・不動産会社には、事前に連絡を。
新築住宅でインスペクションを受けるのであれば、ハウスメーカー・不動産会社への事前連絡が必要でしょう。
なぜならホームインスペクションでは、日程調整などハウスメーカー側の協力も必要だからです。
建築前のインスペクションでは、工程予定と合わせる必要もあります。
予告なしにインスペクションを受けることで、お互いの関係を悪化させてはいけません。
家作りはハウスメーカーと施主が、二人三脚で協力して行うもの。そこには信頼関係が不可欠です。
ホームインスペクションは、ハウスメーカーの仕事を疑うものではありません。
あくまでも第三者の立場から、客観的に施工状況を診断するもの。20年、30年、安心して暮らすために、必要な診断であり、今後の住宅購入のトレンドになるはずです(中古住宅の購入では、インスペクションの告知が義務付けられました)。
新築住宅のホームインスペクションは、できれば契約前に連絡を。契約後でも早めに連絡することをおすすめします。
まとめ:新築住宅こそ、ホームインスペクションの活用を。
中古住宅のイメージの強い、ホームインスペクション。
ですが新築住宅でも、診断を受ける意味は大きいです。
・ハウスメーカーの自主検査、第三者検査では不十分なことが多い。
・1人の現場監督が複数の建築現場を担当しており、ミスが発生しやすい。
・ローコスト住宅、建売住宅では、ミスが多発しやすい環境である。
・構造躯体など重要な部分は、建物完成前でしか検査できない。(注文住宅)
注文住宅でゼロから家作りをする場合、建築工程に合わせてのインスペクションが可能です。
完成すると確認できない内部構造(配筋、防水、躯体、断熱)まで確認できるため、非常におすすめです。
住宅購入は、一生で一番高い買い物。
ぜひホームインスペクションを活用して、安心できる買い物にしてくださいね。