新築住宅の購入は、中古住宅に比べて
- 建物の劣化が少ない。
- 複数の検査を受け、合格している。
- 瑕疵保険が手厚い。
- ハウスメーカーの独自保証がある。
など、品質面で有利になることが多いです。
そのため新築住宅の購入では、
「わざわざホームインスペクションは受ける必要はない」
と思われがちです。
しかし、ここに落とし穴があります。
新築住宅、とくに購入してから5年以内であれば、ホームインスペクションを受ける価値は大きいです。
注文住宅はもちろん、建売住宅でも効果的でしょう。
- ハウスメーカー主導の検査は、万全ではないから。
- 施工不良は経年劣化に関係なく、新築時から発生しているから。
- 5年以内に発生する不具合があるから(シロアリ・雨漏りなど)
新築住宅でも施工ミスはあり、早期発見・早期対策することが大切です。
この記事では、新築住宅を購入して5年以内にホームインスペクションをおすすめする理由について解説します。
新築住宅の購入を検討している方は、ぜひお読みください。
新築は安全?購入から5年以内のインスペクションがおすすめな理由。
新築住宅でホームインスペクションを受けるタイミングは2つです。
1・建築前から開始し、工程に沿って複数回インスペクションする。
2・建物完成後、ホームインスペクションを実施する。
おすすめなのは、建築前から診断すること。
なぜなら工程が進むと、確認できない部分が発生してしまうからです。
断熱材の施工確認は、室内の壁(石膏ボード)を張り付ける前でなくてはいけません。
ですが建売住宅などでは、やむを得ず建築後のホームインスペクションとなります。
この場合、購入後5年以内のホームインスペクションをおすすめしています。
その理由は2つです。
ハウスメーカーの検査で見落とす不具合は多い。
注文住宅・建売住宅ともに、ハウスメーカー側の検査体制は充実しています。
社内検査はもちろん、外部の第三者機関の検査を利用しているハウスメーカーも多いです。
しかし手厚い検査体制とは裏腹に、新築住宅でも一定割合で不具合が発生しています。
新築時から発生する不具合として、
- 基礎のヒビ割れ(コンクリートの打設不良、養生不適切など)
- アンカーボルトの設置不具合
- 基礎配筋の施工不良
- 断熱材の施工不良(グラスウール断熱材で隙間がある、吹付断熱で厚み不足など)
- 排水管の接続不良(傾き、接着不良など)
などがあります。
これらの問題は、経年劣化によって発生した不具合ではありません。
新築の作業ミス、施工ミスによって発生した不具合です。
つまり、「新築時から不具合があった」、ということになります。
ハウスメーカー主導の検査体制では、チェックに限界があります。
「第三者」をうたっていても、ハスメーカーと利害関係のある企業の検査では、第三者性は保てません。
どうしても、
- 必要最低限の検査になってしまう。
- 不具合の指摘がマイルドになる。
- 基準クリアではあるが、報告すべき不具合を報告しない。
などの問題が発生してしまいます。
ホームインスペクションであれば、第三者性を担保し、公正なチェックが可能です。(ただしインスペクション業者は、ハウスメーカーの紹介以外である必要あり)
建築時から発生している不具合がさらに大きくならないよう、できるだけ早い段階でのインスペクションをおすすめします。
「購入して5年」は、不具合が目に見える形になる時期。
汚れ1つない新築住宅は、不具合の発見が難しいです。
しかし購入して5年もすると、それまで見えなかった不具合が徐々に見える形となって表れます。
代表的な不具合として、
- 雨漏り
- シロアリ被害
- 基礎のヒビ、割れ
- フローリングのキシミ、傾き
- 断熱材の施工不良による不具合(内部結露、カビ、断熱性低下など)
などがあります。
防水シートのわずかな破れから染み出る雨漏りは、新築すぐには気づけません。
しかし5年も雨漏りが続くと、やがてカビが生え、天井に染みができる可能性が高いです。
「新築から5年」は、新築時からある「小さな不具合」を見つけ出すのに適した時期。
このタイミングで第三者性の高いホームインスペクションを受けることは、家を長持ちさせることに繋がります。
5年前後で注意したい、築浅住宅のトラブル 3選
「購入して5年」は、これまでの不具合が形となって発見しやすい時期。
5年前後で注意したい、築浅住宅のトラブルは次の3つがあります。
シロアリ:新築の防蟻処理は、5年前後で切れる。
現在の新築住宅では、シロアリ対策として床木材(土台、柱など)に防蟻処理が施されています。
そのため経年劣化がある中古住宅より、安全性が高いです。
しかしこの防蟻処理、有効期間は5年前後であることがほとんど。
そのため新築で購入しても、築数年でシロアリの蟻道(シロアリの侵入ルート)が発見されるケースもあります。
シロアリ被害の恐ろしさは、発見が遅れると被害が甚大になること。
一度でも床材にシロアリが侵入してしまうと、被害は土台~柱、壁など広がっていきます。
早期発見するために、床下に潜って点検することがおすすめです。
わずかな雨漏りでも、被害は広がっていく。
築数年で雨漏りが発見される原因は、建築時の施工不良がほとんどです。
- 防水シートのつなぎ目の接着不良。
- 防水シート同士の被せが足りない。
- 防水シートに切れ目が入っていた。
防水処理の仕上がりが甘いと、少しずつ雨が侵入してしまいます。
水がにじみ、したたる程度の雨漏りでも、内部に侵入した雨は着実に家を劣化させます。
- 木材がカビる、腐る。
- 強度が下がる。
- 湿気の高い環境となり、シロアリ被害に遭いやすくなる。
- 断熱材(グラスウール)の性能が低下する。
できるだけ早期発見したい雨漏り。
しかし点検が早期すぎても被害が少なすぎて、逆に見落としがちです。
新築を購入して5年前後は、トラブルを発見しやすい時期でもあります。
また新築住宅の瑕疵保険は、10年間有効です。
この購入後5年前後で雨漏りが確認できれば、瑕疵保険での対応も可能性でしょう。
断熱材のすき間によって起きる不具合。
断熱材の施工不良は、断熱性が下がるだけではありません。
断熱性が下がることで、内部結露が起きやすくなります。
内部結露とは、壁の内側で結露が発生してしまうこと。
断熱材のすき間から侵入する冷気に冷やされ、壁の内側で結露してしまうのです。
その結果、壁内部に水分が溜まり、カビ・シロアリ被害に繋がってしまいます。
断熱材の施工は、建築時でしか確認できません。
しかし購入後5年前後であれば、不具合のサインが見つけられる可能性があります。
壁や天井に、シミ・カビが発見された場合は要注意です。
早期メンテナンスで、被害を抑えられる。
劣化もなく保証体制も手厚い新築住宅は、中古住宅よりも安心感が高いです。
しかし新築住宅の安心感は、適切なメンテナンスが前提になります。
メンテナンスをしなければ、見えないところで被害が広がり、発見時には甚大な被害になることも。
「うちは新築だから大丈夫。」
「ハウスメーカーの定期点検があるから大丈夫。」
など、新築住宅への過信は危険です。
築5年前後であれば、不具合による影響が目に見え始める時期。
このタイミングでホームインスペクションを受けることで、被害を最小限にできます。
まとめ:「新築購入後5年」のインスペクションがおすすめ。
「中古住宅より安心できる新築を買ったのだから、わざわざホームインスペクションを受ける必要はない。」
と思う方もいるかもしれません。
たしかに新築の方が中古よりも保証内容、検査体制は充実しています。
しかしだからといって、「新築だからハウスメーカーに任せて安心」とも言い切れません。
- ハウスメーカー主導の検査は、万全ではないから。
- 施工不良は経年劣化に関係なく、新築時から発生しているから。
- 5年以内に発生する不具合があるから(シロアリ・雨漏りなど)
新築でのホームインスペクションなら、できれば「建築中」に。
建売住宅など建築済み物件の購入なら、購入して5年前後でのホームインスペクションがおすすめです。
購入して5年前後であれば、不具合(雨漏り、シロアリ、断熱不良など)からのサインが見つけやすいからです。
ホームインスペクションを利用して、できるだけ早い時期に発見したいところ。
ハウスメーカーにすべてお任せするのではなく、第三者性のある検査を受けてみてくださいね。