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庇(霧除け)のメリット・デメリットと必要性・注意点

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庇(霧除け)のメリット・デメリットと必要性・注意点

新築一戸建て住宅のデザイン、設計を考えるとき、外壁面に設置する庇や霧除けをどうするか迷うことがあります。「庇は本当に必要なものだろうか?」「必要なければ無くしたい」といった声を施主から聞くことは少なくありません。

庇や霧除けについて正しく理解し、そのメリットとデメリットを把握したうえで必要性を考えましょう。また、設置するときには、最後に記述している注意点も読んでおきましょう。

1.庇(霧除け)とは

庇(ひさし)や霧除けがいったいどういうものであるか正しく理解できていますか?庇とは窓などの開口部の上に付いている小さな屋根のことを言います。霧除けもこれと同じです。

但し、大きな庇は一般的に霧除けとは呼びません。例えば、縁側の上にあるような庇を霧除けとは呼ばないものです。

最近の住宅では、外観デザインをすっきり見せるために、庇(霧除け)の無いものが非常に多くなりました。設計者も庇がないものを好む人が多いですが、施主からの要望でも庇を無くしてほしいということは多いです。

庇

2.庇(霧除け)のメリット

庇(霧除け)を設置するかどうか検討するために、そのメリットを把握しておきたいですね。一般的に考えられるメリットを以下に並べてみました。

  1. 小雨なら窓を開けても大丈夫
  2. 直射日光を防ぐことができる
  3. 外壁の汚れ防止になる
  4. 大きめの庇+縁側・デッキで外部とのつながりをもてる

これらのメリットについてもう少し詳しく解説していきます。

2-1.小雨なら窓を開けても大丈夫

庇(霧除け)の代表的なメリットの1つが、雨対策です。窓のすぐ上に庇があることで、窓を開けていても小雨程度であれば十分に防いでくれます。室内で過ごしていて知らないうちに降っていた雨を防いでくれるのは助かりますね。

但し、風を伴う雨は斜め方向から室内へ吹き込んでしまいますから、過度な期待は持てません。

2-2.直射日光を防ぐことができる

庇(霧除け)のもう1つの代表的なメリットは日差し対策です。室内へ入る直射日光をある程度は防いでくれますので、重宝します。室内における多少の体感温度の違いもありますが、もう1つ直射日光を防ぐことによるメリットがあります。

直射日光が当たる箇所は痛みやすいですが、それを和らげてくれるのです。また、窓際に座っていたら日焼けすることもありますが、陰にしてくれますから日焼け防止効果もありますね。

すだれ

また、外部に簾(すだれ)や葦簀(よしず)を使用することで、より日光を遮ることができますから、室内温度の調整にも役立ち、エアコンの使用を減らせることも可能です。もちろん、電気代を抑えるメリットも出てきますね。室内で遮光カーテンを利用するよりも外部で日差しを遮る方が効果的です。

2-3.外壁の汚れ防止になる

窓枠の下のコーナー部分から染みが垂れているのを見たことありませんか?サッシ周りの汚れを雨水が流していき、コーナー部分に汚れとなって残ってしまうことがよくあるのです。窓の上に庇があれば、これを緩和することができます。

窓の上だけではなく、軒や大きな庇があれば、より広範囲に外壁面を守りますから、霧除けではそれほどの効果が見込めるわけではありません。

注意点としては、庇(霧除け)の横から雨水で汚れが流されて垂れてきた痕が残る場合があるので、その場合はたまに綺麗にしてあげる必要があります。

2-4.大きめの庇+縁側・デッキで外部とのつながりをもてる

掃き出し窓であれば庭へのアクセスがよいですが、そういった窓の上の庇を大きなものにして、且つ外にウッドデッキなどを置けば、リビングの延長として利用しやすくなります。縁側もそうですね。住まいの使い方を考えて庇の良い点を活かした家づくりを考えてもよいのではないでしょうか。

3.庇(霧除け)のデメリット

次に庇(霧除け)のデメリットを見ておきましょう。

  1. 外観デザインで好まない人が多い
  2. 工事費が少し高くなる
  3. 狭小地の住宅では採光が不利になる

以上3点をあげましたが、それぞれについて見ていきましょう。

3-1.外観デザインで好まない人が多い

外観上の問題が最大のデメリットになっています。庇がなければ、建物全体がすっきりした印象に見えることから、それを好む人は多いです。車で言えば、窓の上に付いているドアバイザー(雨除け)と同じで、見た目の印象を気にする人が少なくありません。

ただ、デザインの問題は個人差がありますから、施主にとって気にならないのであれば問題ないですし、人によってはむしろ庇のある家のデザインを好む人もいます。和風な家づくりをしたいなら、むしろオススメです。

また、庇も和風なものに限らず、いろいろなものがありますから、設計者とよく相談してデザイン上の工夫を考えてもよいのではないでしょうか。

3-2.工事費が少し高くなる

デメリットの1つとして工事費が高くなることを挙げる人もいます。材料が増えるわけですから確かに少しアップにはなりますが、少し高くなる程度ですから、それほど気にするほどではないでしょう。

3-3.狭小地の住宅では採光が不利になる

庇は直射日光を遮ることがメリットであり、前述の通りです。しかし、全ての住宅において同じようにメリットだと言えるとは限りません。

都市に多い狭小地の住宅では、隣家との距離が近くて日が入りづらいことが課題になっています。そこへ採光を期待できる数少ない窓に庇を設置するのはむしろ逆効果だとも言えます。採光上の不利をなくすためにも庇を設置しない方がよいこともあるのです。

4.庇(霧除け)に関する豆知識と注意点

庇(霧除け)の設置を前向きに検討しているならば、ここであげることに注意してください。

4-1.庇は西日からの日差し対策にはならない

庇のメリットとして挙げられる日差し対策ですが、最も気になる西日(西からの強い日差し)を遮る効果はほとんど期待できません。西日は太陽の位置が下がっており、角度が低いために庇では効果を発揮できないのです。南からの日差しに対しては効果を期待できます。

西日対策を考えるならば、簾(すだれ)や葦簀(よしず)の併用も考えた方がよいでしょう。

4-2.デザイン性の考慮

庇のデメリットの1つに外観デザインをあげていますが、デザイン的に問題視する理由の1つは和風になってしまうことです。そこで、可動式のオーニングで代替する方法を検討してはいかがでしょうか。

日よけ

むしろオシャレな雰囲気にすることも可能です。もちろん、オーニングも好みの問題ですね。

4-3.庇の出寸法・荷重・耐風性に注意

庇の出寸法が大きすぎると1年中、日差しの入らない部屋になってしまいます。まずは、夏と冬における日差しへの考えを整理して、それぞれの季節における太陽の角度のことも考慮して計画しましょう。

また、積雪のある地域では耐荷重のチェックが必要ですし、海が近いエリアなど強風が心配される地域では耐風性のチェックも必要です。これらについても設計者と打合せしてから判断した方が無難です。

4-4.軒と霧除けの併用は不要か

軒のある住宅では、軒が雨や日差しから守ってくれる役割を担ってくれます。しかし、窓の位置との距離関係によっては軒では不十分なことも多いので、庇や霧除けの必要性をよく検討してください。併用した方がよいことも多いです。

4-5.庇を後付けするときの注意点

既に完成している住宅に対して、庇を後付けすることも可能です。但し、よく注意しないとトラブルを引き起こすことがあります。

庇を後付けする際に、ビス等が外壁を貫通して雨水が内部へと侵入してしまうリスクがあります。雨仕舞いをきちんとしておかないと起こりうる雨漏り被害です。

また、取り付ける箇所に下地がないと強度不足になる怖れがあります。通気工法の住宅が多いですが、その場合、窓上にある下地は小さくて庇の取付けに向かないものです。安全に取り付けるためには外壁の一部解体を伴うことも考えなければならず、費用も高くなってしまいます。

 

庇(霧除け)について、メリット・デメリットと注意点もわかったことでしょう。あなたなりの必要性を考えて検討してください。

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