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住宅が工業化されたから本当に安全・安心か?

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住宅が工業化されたから本当に安全・安心か?

新築住宅を買う人、注文建築で家を建てる人が、ハウスメーカーや工務店から、「最近の住宅は工業化が進んでいて、現場での作業は簡単になっているので、安心です」と説明を受けていることはよくあることです。工業化したから安心だと言われれば、そういうものかと思いやすいところですが、その割になぜか欠陥住宅や施工不良の問題がいつまでもなくなりません。

今回は、住宅の工業化に関する基礎的な知識と工業化によって本当に安心・安全だと言えるのかどうか解説します。安心できる住まいづくりのために、活用してください。

1.住宅の工業化に関する基礎知識

住宅が工業化されていると言われるとどんなイメージを抱きますか?工場で生産した家を大型トラックで現場へ運んで置くだけ、、、さすがにそれはないですよね。少し基礎知識を見ておきましょう。

1-1.工場で多くの部材を生産

工業化というのは、住宅の建築に使用される部材を工場生産していることを指しています。工場生産した部材を現地で組み立てていくのですが、これを工業化住宅と呼んでおり、プレハブ住宅とも言います。

あらゆる部材が工場生産されるようになっており、基礎の鉄筋まで工場で組んでいるものを現地へ運んで設置するということもありますし、コンクリート製の壁や基礎を工場生産しているものもあります。

大手ハウスメーカーの住宅の多くはこの工業化住宅に該当するのですが、小規模工務店でも工場生産された部材を取り入れていることから、明確な垣根はありません。

1-2.現地では組み立てるだけの簡単な作業か?

工業化住宅といえば、工場生産された部材を現地で「組み立てるだけ」だと言われることが多いですが、本当に「組み立てるだけ」という表現にふさわしいほどの簡易な作業なのでしょうか。

これは考え方にもよりますが、従来の建築に比べれば間違いなく、現地での工程は簡素化されておりますから、真実と言えます。事実、工場生産と現場での作業を合わせた工程は以前の工程に比べて短くなっており工期短縮という効果を発揮しています。

一方で、組み立てるだけだという言葉のイメージからは、ミスが生じないという印象を持たないでしょうか?しかし、現実には工業化住宅でも欠陥、施工上のミスも生じていることから、組み立てるだけという表現をすると誤解を生んでしまうことがあるようです。

1-3.工期短縮とコストダウンが工業化のメリット

住宅を工業化したことの最大のメリットは、工期短縮とそれによるコストダウンの2点です。建築コストのなかでも非常に大きな割合を占める人件費を抑えることができたことでコストダウンを実現することができています。但し、コストダウンした分を消費者のメリットとして還元(安く提供)しているかといえば、そうではないことも多いですが。

2.工業化された住宅でも欠陥問題がなくなっていない

工業化された住宅は、確かに現場での作業工程は以前より簡素化されていますから、本来ならば、欠陥・施工ミスの類がほとんどなくなってしまってもよいはずなのに、そうでもない現実があります。どこのハウスメーカーでも「社名+欠陥」などのキーワードで検索すれば、被害者などがあげている記事がいくつも確認できます。

なぜ、どのような欠陥や施工ミスが起こってしまうのでしょうか。

2-1.現地作業でミスが起こっている

何度も書いているように現場での作業は以前よりも簡素化されています。しかし、一方で現場において作業する職人の経験値が以前よりも大幅に低下しています。若い人材が長続きしないためになかなか習熟しないという問題もありますが、他にも原因はあります。

現場で監理する人が名義だけで、適切に業務を行わなくなったことが大きな要因となっています。設計図通りに進めているか、施工品質に問題ないかといったことをチェックすることが適切に機能していないということです。ほぼ全てを現場の職人任せにしてまっては、ミスが起こっても気づかないこともありますし、職人たちがミスに気付いても是正が面倒なのでそのまま放置してしまうこともあります。

2-2.部材の欠損

建築中の住宅の検査を行っているアネストでは、多くの新築住宅を検査してきましたが、意外なことに工場から現場へ納品された部材に欠損などの問題があることを発見することもあります。工場生産しているものだから、部材には問題ないと考えがちなのですが、実はその部材そのものに欠損などの不良品が混ざっていることがあるのです。

目視で簡単にわかる程度の欠損が見つかることもありますが、現場で作業する人たちは下請けや孫請け業者ですから、欠損品を返品して新しい部材の納品を待とうとしないこともあります。それによって、自分たちの作業日数が増えてしまうことを嫌がるからです。

2-3.雨濡れ被害

建築中に起こる問題は、人為的なものが多いです。部材を組み立てる作業で設置個所をミスすることもありますし、現場管理上のミスを犯すこともあります。その代表的なものの1つが雨天時の雨濡れ被害です。

例えば、上棟までしたところで大雨が降り、床材などが雨でかなり濡れてしまうことがあります。このときに、他の部材もきちんと養生しておかなければびしょびしょになっていることは少なくありません。雨で濡れてもしっかり乾燥しており、かつ部材に影響が出ていなければよいのですが、歪みやカビといった問題が生じていることもあります。

大手ハウスメーカーや中小の工務店を問わず、このような事例はたくさんあります。施主としては、雨の後に現場見学へ行って雨染みのついた部材が散見されれば、それだけでも不安になるものです。

2-4.大手ハウスメーカーの住宅ほど中小は工業化していない

以前の住宅に比べれば、多くの住宅で工業化が進んだと言って間違いありません。大手ハウスメーカーほどではなくとも、地場の工務店でも工場生産された部材を部分的に取り入れており、その部材は大手メーカーが生産しているものも多いです。

しかし、中小工務店が大手ハウスメーカーほどに工業化されていないことは確かであり、大手よりも中小工務店の方が欠陥・施工ミスの問題が多いことと関連性があるでしょう。大手ハウスメーカーより中小工務店の方が安心・安全という点では足りない点があるのは、アネストの検査実績からわかっています。

但し、現場管理・施工監理をきちんとしている中小工務店である場合は、むしろ大手より安心できる会社があるのも事実です。

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