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二世帯住宅の間取り・プランで抑えるべき8つの注意点と工夫

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二世帯住宅の間取り・プランで抑えるべき8つの注意点と工夫

親の所有する土地に二世帯住宅を建てようと計画している人、親世帯の自己資金と子世帯の住宅ローンを合わせて二世帯住宅を新築しようとしている人は少なくありません。近くに両親がいることの利便性(孫世代の世話、夫婦共働きの実現、親世帯の安心)、資金面、税制上の優遇などの理由で、二世帯住宅の検討は有効な1つの選択肢ですね。

今回は、そういった人たちが二世帯住宅の間取り、プランを検討するときに抑えておくべき注意点や工夫について紹介します。

ちなみに、二世帯住宅とするためには、建物内部で行き来できることが条件ですので、それを前提に執筆しています。

1.二世帯住宅では玄関の配置に注意する

敷地の形状や接道(道路と敷地の接し方)などの条件にもよりますが、大きな土地や角地でない限り、道路側に玄関を配置するとどうしても各世帯の玄関が近い位置になりがちです。すぐ隣同士に親世帯と子世帯の玄関が配置されることもありますが、これを嫌がることもありますからよく話し合う必要があります。

2世帯住宅の玄関

親世帯にとってみれば、何とも思わないことでも、子世帯の妻にとってはどうしても嫌だと思うことはあるものです。話し合いが大事ですね。

例えば、以下のような事例があります。

玄関を共有したプランとする場合、中へ入ったところの玄関ホールも自然と共有する形となりますが、その玄関や玄関ホールの掃除をどちらがするべきかで関係がぎくしゃくしてしまったということがあります。まだ、計画段階でわかった問題であったため、玄関の位置を離して方位も分け(西側と北側に分けた)、問題を解消しました。

但し、玄関が離れすぎた場合、建物形状やプランによっては廊下の扉で二世帯間の行き来を確保することが困難なこともあり、このときはお互いの共有スペースを作ることで解消しました。

ちなみに、玄関を1つとして共有するプランは、二世帯住宅にはならず、税制上の優遇も受けられません。

2.二世帯住宅で気になる防犯対策

住宅の防犯対策としては、警備会社によるセキュリティシステムの導入やセンサー付きの照明の設置などが効果的です。これらの対策は二世帯だからというものではなく、どの住宅においても共通です。

防犯対策

夜間につけっ放しにする照明を設けるのも面白いです。たとえば、カーテンボックス上に間接照明を設けて部屋に人がいるように見せかけるといった工夫ですね。

他にも、窓のシャッターをタイマー式にしておき、害手中でも朝にはシャッターが開くようにするのもよいです。

二世帯住宅に特有の防犯についても考えてみましょう。

二世帯の一戸建てで、建物内部でつながっている場合、いずれか一方の防犯意識が低いと、そちらから侵入されてしまい、防犯意識の高い方の世帯にも侵入されてしまいます。そこで、建物内部にある行き来できるドアに対しても防犯対策を講じておく必要があります。

3.親世帯の方はバリアフリーを重視

2階建てや3階建ての二世帯住宅では、親世帯が1階で子供世帯を上階としていることも多いです。親世帯の老後のことを考慮して階段の負担を減らすためなのですが、親世帯の方は建物内部でもバリアフリーをよく考えたおいた方が良いでしょう。

バリアフリー

廊下の巾、トイレ内の介護スペースの確保、段差を無くすといったことは、必ず考えておきましょう。

4.二世帯の交流を考える

同じ二世帯住宅を計画する人たちのなかでも、互いの交流に対する考えが大きく異なるものです。互いに交流しやすい間取りとするのか、逆にプライバシーを重視しるのかということです。二世帯間でこの点で考えに相違があると、間取り作りが難航することでしょう。

ここも、十分な話し合いが必要なことです。いずれが正解であるか決まっているわけではありませんから、二世帯間、またそれぞれの世帯のなかだけでもよく話し合って方針を決めるようにしましょう。

ちなみに、ある程度の交流を持てるようにする場合の工夫、アイデアをあげておきます。

4-1.中庭の活用

1つ目は中庭です。1階からも2階からもそれぞれの人の気配を感じることができますし、中庭の広さによっては孫世代を道路よりも安全に遊ばせることもできます。ちなみに、中庭に面する窓を開放しておけば、気軽に声をかけやすいというメリットもあります。

4-2.窓の配置

2つ目は窓の配置です。窓から気配を感じたり、コミュニケーションを取ったりするという点は中庭と同じです。ただ、中庭が無くても窓の配置次第でそういったことが可能になります。たとえば、L字型の建物形状とすれば可能ですね。

インターホンだけで必要なときだけ交流するというより、気配を感じることができるのは二世帯のメリットですね。

4-3.共通のスペース作り

3つ目は共通のスペースを作るということです。例えば、和室を共有するといったことです。親世帯からも子世帯からも出入りできる和室があれば便利です。

ちなみに、親世帯のために緊急ボタンを設置するという案もあります。高齢化、体の心配などを考慮して、検討してはいかがでしょうか。

5.二世帯間の音対策に注意

二世帯住宅では互いの音がストレスになっている人もいます。生活慣習の違い、それまでの環境の違いなどから、自分では気にならない音ももう1つの世帯では気になるということもあるのです。

音対策

また、二世帯それぞれの独立性、プライバシーを重視する考えであれば、音対策はより重要だと言えます。

そのためには、キッチン・トイレなどの水周り設備の位置は上下階で同じ位置にしておくとよいでしょう。寝室の上付近にトイレ等があれば排水時の音が気になるということがあります。

親世帯が早い時間帯に就寝しているなら、上で子世帯の生活音(排水音やリビング等の足音)がストレスになることもあります。間取りは、こういったことまで考えて決めていかなければなりません。

1階の天井(2階の床下)に断熱材を敷くなどの遮音対策を取る方法もありますが、それほどの効果が期待できないことが多いので、間取りそのものでできるだけ解決を図りたいものです。

1階部分をRC造(鉄筋コンクリート造)として、2階から上を木造とする混構造にすることができれば、2階から1階への音対策としては非常に有効ですから、考慮してはいかがでしょうか。もちろん、建物全体を鉄筋コンクリート造にしてもよいですね。

6・細部も話し合う(インターホンを分けるか共有するか)

とにかく二世帯住宅の実現のためには話し合いが大事なのですが、それは細部でも言えることです。その事例として、インターホンの話を取り上げましょう。

宅配便などの受取りが世間でも問題になっていますが、子世帯が共働きで不在が多い場合、インターホンを共有にすれば親世帯が受け取ることができて便利だと考えることができます。しかし、子世帯宛の営業・訪問等の全てを親世帯が対応せざるをえなくなることが親にとっては面倒だと考えることもあります。

いずれがよいか、こういった細部のことも話し合って決めるようにしましょう。

7・デザインの工夫(色分けした二世帯住宅を考える)

1つ1つの設備や間取りの配置などの工夫だけではなく、デザインに関する工夫も考えてみるようにしましょう。ここでは外観デザインを例にあげてみます。

2つの世帯が1つの建物に存在するわけですが、それぞれの世帯で外壁面の色を分けるというケースがありました。そして、郵便ポストやインターホンを設置している独立壁もそれぞれの外壁面と同じ色分けにしておくというものです。

こういったことは好みの問題ですが、その好みも二世帯間でギャップが大きければ、希望するデザインとすることができないこともあります。そもそも、コンクリート打ちっ放しのデザインが好きか嫌いかで意見がわかれることもありますから、見た目のデザイン面も話し合い、意見交換が必要ですね。

8.二世帯住宅の出口戦略を考えておく

二世帯住宅を計画する人たちが、見落としがちな問題は出口戦略です。親世帯が亡くなった後、空いた方はどうするのか。子世帯が転勤すればどうするのか。こういったことまで考えておかなければ、二世帯住宅の家づくりは、何年も経過してから失敗だったということにもなりかねません。

たとえば、空いた方を他人に賃貸できるように完全分離したプランとしておくのは、出口戦略を考える上では重要です。そのためには、玄関の位置は話しておいた方がよいですし、建物内部で行き来できるドアは容易に閉鎖できる方がよいですね。

親が亡くなったときの話は子世帯からは言い難いものですから、設計者からあえて話題にして頂くとよいでしょう。

二世帯住宅と言っても、共用部分の扱いで、一戸建て二世帯、長屋型二世帯、共同住宅型二世帯と異なり、この順で独立性が高くなります。ただ、この順で法規が厳しくなってプランの自由度が下がり、かつ予算も増えてしまいます。

出口戦略やプライバシー確保を重視するのか、他の点を重視するのかといった判断によって選択が変わってきます。よく話し合って慎重に決めていくようにしましょう。

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