工務店選び

新築・リノベーション建築費の見積書の比較方法と工務店選び

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新築・リノベーション建築費の見積書の比較方法と工務店選び

住まいを新築またはリノベーションするときには、建築費の負担が大きいことから、複数の工務店やハウスメーカーから見積りをとる、つまり相見積もりを行うことは多くの人が心得ていることです。1社のみに指名で依頼してしまうと値引きもされず高額な建築費となってしまう可能性が高いものです。

その相見積もりで出てきた見積書で各社の建築費を比較するときに知っておかないと工務店選びで失敗してしまうことが多いので、注意が必要です。せっかく相見積もりをとっても比較方法が間違っていれば意味がないわけです。

今回のコラムでは、複数の見積書の適切な比較方法を解説し、失敗しない工務店選びをしてもらえるようにアドバイスするものです。

1.できる限り同じ見積り条件で比較する

適切な建築費の見積り比較のためには、見積りを依頼する段階から注意しなければなりません。それは、できる限り同じ見積り条件で比較するということです。

1-1.建築費の比較が目的なら条件は大事

工務店やハウスメーカーに見積りを依頼するとき、その段階によって目的に違いがあるものです。2~4社程度に候補を絞った段階で見積りを提示してもらうのであれば、金額の比較も大事になっていることでしょう。そういったときには、各社の見積り金額を比較検討しやすいように同じ条件で見積書を作成してもらうと便利です。

各社が全く異なるプランの住宅を前提に見積りを出してきても、結局、施主も判断しづらいですね。但し、条件を同じものにして見積り依頼するからには、ある程度は発注するプランを固めておく必要はあります。

1-2.建物の仕様グレード・プランを同じ条件とする

条件を同じにするといってもどういった項目を同じにすればよいのでしょうか。例えば、使用する建築資材・材料・設備商品などを全て同じものとすることができれば、それは比較する上で便利でよいですね。

しかし、現実的にそれは難しい場合が多いです。特に大手ハウスメーカーともなれば、使用する材料の多くを自社生産しており、その使用が前提ですから、他社と同じ材料で比較することはできません。街の工務店でも、何でも取り扱えるというわけではありません。

そこで、施主が考えておきたいのは、使用する材料・商品のグレードをできる限り同じものとするということです。もちろん、建物の面積・形状などもほぼ同じもののしておかないと比較が複雑になり、不明点が多くなることでしょう。

2.建築費の坪単価の比較は設計監理料込で比較する

実際に各工務店やハウスメーカーから見積書が上がってきたときに、注意してほしいこととして設計監理の報酬がどうなっているかです。

2-1.設計監理の報酬は会社によって異なる

住宅を新築するにしても、リノベーションするにしても、必ず設計という業務が生じます。監理は新築では生じますが、リノベーションでは内容によって必須ではないこともあります(もちろん監理した方がよい)。

設計とは建物のプラン・仕様を検討して、設計図を作成する業務です。監理とは、建築工事が始まってから完成するまでの間に、設計図通りに建築されているか、施工不良等がないか確認する業務です。設計も監理も欠かすことのできない大事なものです。

当然ながら、設計も監理も人が時間をかけて行うので人件費がかかりますし、技術料相当の報酬もかかります。この報酬の扱いをどのようにしているか、会社や取引内容によって違いがあります。

建築費のなかに設計監理の報酬を含めて別途請求していないこともあれば、建築費の見積書とは別に設計監理業務の見積書があることもあります。設計や監理を自ら設計事務所と契約して発注する場合は、建築費の見積りとは別になるでしょう。

工務店に設計監理を任せる場合は、一緒になっていることがあるのです。よって、設計監理の見積りがそもそも別途なのかどうかを確認しなければなりません。

2-2.設計監理の報酬はそれなりにかかるもの

設計も監理も人件費や技術料相当の金額が生じるものだと述べましたが、どれぐらいの金額になるのでしょうか。

これは設計事務所や建物の規模・工法などの条件によって開きがありますが、建築費の7~12%程度であることが多いです。あまり極端に安い場合はどこかでコストをかけていない可能性があるため、業務内容を確認した方がよいでしょう。たとえば、作成する設計図の種類に大きな差異があるかもしれません。

金額にして、条件にもよりますが、建物面積30坪で100万円台後半から200万円台の報酬であることが多いです。

3.建築費の見積書に書かれていない点も比較する

工務店などの見積書や設計図を見ても載っていない条件についても、比較検討しておかないといけません。具体的に確認すべきその他の大事な項目を挙げていきます。

3-1.監理で現場へ行く回数

前に述べたように監理とは、設計と現場の照合をしたり建築工事の品質をチェックしたりする大変重要な業務です。建築士である監理者が現場に何度も足を運んでチェックしなければなりませんが、現場を訪問する回数・頻度は、監理業務の良し悪しに影響するものです。

監理は適切に行ってもらわなければなりませんが、ここで手抜きがあるとチェック機能が働かないため、欠陥工事などのトラブルに遭遇する可能性が上がってしまうのです。

具体的に監理者が現場へ何回ぐらいいくのか、どれぐらいの頻度・ペースで行くのか、監理では具体的にどういったことをしてくれるのか、といったことを各社から聞いておくべきです。ここで差があるようならば、コストに影響することですから見積り金額の相違となります。

3-2.保証の範囲

新築でもリノベーションでも建築工事をする工務店は、施主に対して建物の保証をします。新築であれば、雨漏りを防止する部分と主要構造部の瑕疵について引渡しから10年間の保証が義務となっています。

この義務化された保証は最低限のものですから、それ以外にどういったところまで保証してもらえるのか確認しましょう。具体的な保証対象となる項目と保証期間を確認することが大事です。

3-3.完成保証の有無

建物が完成してから後の瑕疵に関する保証だけではなく、完成保証の有無についても確認しておきましょう。請負契約した工務店が工事の途中で倒産した場合、この保証が付いておれば、工務店が変更になったときの追加工事費用や前払いしていた建築費の損失が保証されます。

こういった保証には保証料の負担が生じますから、これが含まれるかどうかで見積り金額も異なってくるはずです。完成保証の有無も比較するべきでしょう。

3-4.地盤調査費用と地盤改良工事の内容

住宅の新築に際してかかる費用のうち大きなものとしては、地盤調査費用と地盤改良・補強工事費用があります。特に、地盤改良または補強工事を行う場合、その内容次第では数百万円の負担になることもあり、よく確認しながら進めておかなければなりません。

一般的には、建物のプランが確定してから地盤調査を行い、その調査結果を見てから地盤改良・補強工事の有無や内容を決めていく流れとなります。建築費の見積りはこれより前ですね。

つまり、地盤改良・補強工事の有無やその内容は建築費の見積り段階では、出てこないものです(一部を除く)。しかし、地盤調査費用は概ね確認することができます。敷地の形状と面積(広さ)から、何箇所で調査するか予測することができ、その予測に基づいて地盤調査費用を算出すれば、実際とずれることはあまりないでしょう。

よって、地盤調査費用が含まれているかどうかも確認しておきましょう。

 
いかがでしょうか。工務店各社から見積書が提示されるときの比較状の注意点をあげましたが、これらはそう難しいことではありませんので、多少、時間をかけてでも確認し適切に比較して工務店選びに活用してください。

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