これから中古住宅を購入する人にとって、築年数の経過した古い住宅を買うのか、築浅の新しい住宅を買うのか比較検討することは多いでしょう。築浅と言ってもいろいろありますが、築5年や築10年程度の中古住宅を購入する場合に絞って、そのメリット・デメリットや購入する際に買主が知っておきたい注意点を解説します。
ここに書いていることを頭に入れてから、物件見学をすることで、現場で確認するポイントも変わってくるでしょう。また、あえて築20年を超えるような住宅と比較するのも良いと参考になりますから、築浅に絞っている人でも一度は古い住宅を見学してはどうでしょうか。
1.築浅(築5年・10年)の中古住宅を買うメリット
最初に築5年や10年の中古住宅を購入するメリットについて紹介します。ここであげることは一般的なことですが、物件によってはそのメリットを得られないこともあります。メリットを得られないなら、購入するべきかどうか考えてみるとよいでしょう。
以下が考えられるメリットです。
- 内装・設備がそれほど劣化していない
- リフォームの必要性が低い
- 購入してから長持ちする
1-1.内装・設備がそれほど劣化していない
住宅を見学したときの第一印象は、見た目の綺麗さによる影響が大きいです。外観も内装も見た目が綺麗であれば、好印象を受けてすぐに契約まで話を進めてしまう人もいます。築浅の住宅は、内装や設備が綺麗なことが多く、このように第一印象の良くなりがちです。
1-2.リフォームの必要性が低い
中古住宅を購入する人のうち、多くの割合の人がリフォームをしていますが、築浅の住宅ならリフォームする必要性が無いことも多いです。リフォームには、当然ながらコストもかかりますし、それなりに大きな金銭的な負担となりますからリフォームの必要がないことはプラス材料ですね。
1-3.購入してから長持ちする
また、建物が新しいということは柱、土台、基礎、梁といった構造上の大事な部分がそれほど傷んでいないことが多いので、住宅が長持ちします。古い住宅を購入した場合、数年後には多大なコストを投じて大規模なリフォーム・修繕工事をしなければならないことがよくありますが、築浅ではそのリスクを抑えられます。
但し、内装や設備の状態は築5年と10年で驚くほどの差があることもありますから、物件毎に丁寧に見極めることです。
2.築浅(築5年・10年)の中古住宅を買うデメリット
築年数が5年や10年といった築浅の中古住宅を購入するときでも、デメリットはあります。新しいからよいだろうとだけ安易に考えてはいけません。以下がデメリットです。
- 前の居住者の住み方次第では意外と内装が劣化
- 築年数が古いものより価格が高い
- 建物の価格が大きく下がる
2-1.前の居住者の住み方次第では意外と内装が劣化
基本的には内装や設備が綺麗な状態のはずですが、築5年であってもそれまでに使用していた人の使い方次第では、経過年数がわからないほどに劣化が進んでいることもあります。見た目が単純に汚いというだけではなく、設備が壊れていて役に立たないこともあるので注意が必要です。
2-2.築年数が古いものより価格が高い
築浅の住宅の代表的なデメリットと言えるのが価格面です。やはり、古い中古住宅に比べると高額になっています。不動産の売買価格には土地と建物の両方の価値があるわけですが、建物が新しいと建物価値が高いことが一般的なためにどうしても高額になってしまいます。
仮に、築年数のわりに劣化している上に高額な住宅だとすれば、リフォーム費用も必要となってしまい、負担が重いですね。
2-3.建物の価格が大きく下がる
また、購入時点で建物の価格が高いということは、期間の経過とともに資産価値が下がるというデメリットもあります。土地の価値は市場の動向によって決まる部分が大きいですが、建物はそれ以上に築年数の経過による価格下落が大きく影響します。
築5年や10年の住宅を購入した場合、資産が目減りする可能性が高いことは理解しておくべきでしょう。
3.築浅住宅の注意点
築浅の中古住宅を買うときに買主が気を付けておきたい注意点を紹介します。
3-1.外壁や屋根のメンテナンス時期が近い
一般的には、築10年程度で外壁や屋根についてはメンテナンスを感がるべき時期だと言われています。外壁も屋根も、ずっと風雨と日照にさらされているため、何もしなくても劣化が進んでいくのです。
外壁や屋根のメンテナンスを怠った場合、雨漏りや建物の耐久性の低減を招くことになるので、住宅の所有者としては積極的に点検と修繕をするべきです。
建物の状態によって、メンテナンスする時期は異なりますが、築5~10年の住宅を購入するならば、その時期が近いことを認識しておくべきでしょう。できれば、購入する時点でホームインスペクション(住宅診断)をして、メンテナンスの必要性について専門家の意見を聞いておくことをお奨めします。
3-2.新築当時の施工が悪いと不具合が現れる
建物の状態は、年数の経過による劣化による症状と新築当時の施工品質が大きく影響します。中古住宅を買うときには劣化具合を心配する人が多いのですが、意外と新築当時の施工ミスが原因となっている症状への対応が遅れがちです。
新築工事に問題があった場合、築5年、10年でそれを原因とした症状が現れていることがあるので、買主は注意すべきです。例えば、床下で基礎を確認したら大きなひび割れがあったときは、屋根裏でひどい結露をしていてそれにより梁などの木部が腐食したりカビだらけになっていたりする事例がいくつも確認されています。
築浅の中古住宅を購入するのであれば、メンテナンスの時期が近いことと新築当時からの施工ミスの問題がないかという視点で物件を診ておくことが大事だということです。できれば、第三者のホームインスペクション(住宅診断)で建物を診てもらうとよいでしょう。