「建売住宅は欠陥住宅」
ネットを少し検索するだけで、「建売=欠陥」を煽る情報にヒットします。
これでは建売住宅を検討している方が、不安になってしまうのも無理もありません。
建売住宅が欠陥住宅と呼ばれるには、相応の理由があります。しかしその理由がすべて正しいとは限りません。
・なぜ建売住宅は欠陥住宅と言われてしまうのか?
・実際のところ、建売住宅は欠陥住宅なのか?
・建売住宅を購入するときは、どんな点に注意すべきか?
建売住宅の購入で欠陥住宅をつかまされないためのノウハウをお届けします。
建売住宅が欠陥住宅と言われてしまう原因。
事実、建売住宅には欠陥住宅がありますし、数でいえば注文住宅より多いかもしれません。
しかしそれ以上に「建売=欠陥住宅」と強烈なイメージがついてしまうのは、次の要因があるからです。
短い工期。
建売住宅の建築工期は、非常に短いです。
基礎工事が着工されると、次々と工事が進み、早い物件では2カ月もかからないうちに家が完成します。
建売住宅がいとも簡単に完成する様子を見て、「しっかりした家だな」と安心する人はほとんどいません。
・雑な仕事をしている、手抜き仕事をしているにちがいない。
・スピードを優先して家を建てているにちがいない。
・必要な工程を飛ばして作業しているはず。
など、早すぎる完成を不安視します。
そのため「建売住宅は欠陥住宅」と言われてしまうのです。
人件費を抑えているから、手抜き住宅。
建売住宅が人件費を抑えて建築しているのは有名な話。
抑えている人件費は現場作業者の人件費だけでなく、現場監督に複数の現場を担当させることで人件費を抑えています。
・安い給料で働かされているから、雑な仕事をする。
・複数の現場を担当しているから、チェック体制が甘くなる。
すべての現場がそうとは限りませんが、欠陥が生まれやすい環境であることに間違いありません。
欠陥を防ぐのであれば、手間暇をかけて複数チェック(トリプルチェックなど)が必要です。
「安かろう、悪かろう」というイメージ。
建売住宅の中には、非常に安い価格で売られている物件もあります。
とくにパワービルダーの建売住宅は安いです。
注文住宅に比べて半額程度で売られている様子を見ると、
「どうせ安かろう、悪かろうだろうな・・・」
と、およそのクオリティを察してしまいます。
実際、注文住宅とクオリティを比較してみると、
・内装が安っぽい。
・必要な備品すらついていない。(網戸・カーテンレール・照明など)
・フローリングがMDF材(木質繊維材)である。
など、たしかにクオリティ面(グレード)で劣ります。
厳密にはグレードと欠陥は別の話ではあるものの、私たちの身近にはグレードが低く、粗末な商品が多いことから、建売住宅も「粗末な商品=欠陥住宅」と思われがちです。
内部構造が確認できないから。
家で大切なのは、内部構造。目に見えない部分こそ、丁寧に作られていることが大切です。
しかし建売住宅を内覧するときは、すでに完成した状態です。そのため家の内部構造が確認できません。
本来であれば、
・断熱材の施工状況
・屋根の防水処理
・外壁の防水処理
など、家を長持ちさせるために重要なポイントを、家作りの過程にあわせて施主自ら確認すべきところ。
しかし建売住宅では施主が確認することもなく、仕上げ材が貼られているので、内部構造が確認できません。
施主のチェックの目が届かないので、欠陥が生まれやすい環境になる。そのため「建売=欠陥住宅」と言われてしまうのです。
建売住宅は本当に欠陥住宅なのか?
建売住宅は、「欠陥住宅が生まれやすい環境で建てられている」、というのは事実。
ただし欠陥のイメージが先行している部分もあります。
短い工期は規格化・工業化によるもの。
短い工期で完成する建売住宅。
それは住宅の規格化・工業化による影響でもあります。
・工場によるプレカット。
・工場による組立て
・住宅設備のユニット化による効率化
など近年の住宅は規格化・工業化が進み、建売住宅だけでなく注文住宅でも工期は短くなる傾向があります。
大手ハウスメーカーでも工場生産に力を入れており、現場での作業を極力減らしているのも特徴です。
そのため「現場作業が短い=雑な仕事をしている」、とは一概には言えません。
安定して仕事を依頼することで、単価を下げている。
人件費の削減も作業者に安定して仕事を依頼することで、単価を下げている面もあります。
とくにパワービルダーは多くの棟数を建築しているので、作業者に安定して仕事を依頼できます。
そのため作業者は収入が安定するメリットがあります。
ですので、「単価が低い=雑な仕事をする」とは言い難く、「建売住宅の作業だから手を抜く」とは言い難いです。
ただし欠陥が生まれやすい環境は整っている。
とはいえ、建売住宅は欠陥住宅が生まれやすい環境にあることは間違いありません。
・短い工期で、次々と現場を転々として作業する。
・現場監督は、複数の現場を同時に担当する。
・安定した仕事と引き換えに仕事の単価を抑えられているので、量をこなす必要がある。
・内部構造は施主がチェックすることなく、仕上げ材が張られてしまい、見えなくなってしまう。
オーダーメイドで基礎作りからチェックできる注文住宅と比べると、欠陥住宅が起きやすい環境です。
ですが必要以上に不安を煽る情報にも注意が必要です。
欠陥住宅を買わないために、事前に確認しておきたいポイント。
建売住宅のすべてが欠陥住宅ではありませんし、「安くていい建売住宅」もあります。
ですので建売住宅を購入するときは、欠陥住宅を見抜くことが大切です。
内覧会では細部までしっかり確認。納得するまで契約しない。
建売住宅では欠陥の有無を内覧会でしか確認できません。
ですので内覧会では、細部までじっくり確認することが大切です。
具体的には、
・基礎のひび割れ
・屋根の軒の仕上がり
・小屋裏の雨によるシミ
・床下の断熱材の施工状況
・天井裏の断熱材の施工状況
・窓、ドアの開け閉め具合
・床の傾き、キシミ音
など重点的にチェックし、欠陥の有無を推測しましょう。
もし1回の内覧で確認できない、もしくは不安が残るようであれば、契約前に複数回内覧することをおすすめします。
建売住宅の契約は焦らず。納得するまで買わないことが大切です。
ホームインスペクションを受けるのも有効。
建売住宅の内覧会で入念にチェックしても不安が残る場合、ホームインスペクション(住宅診断)を活用するのもおすすめです。
ホームインスペクションとは、ハウスメーカーとは中立的な立場から家の欠陥や不具合をチェックすること。
建売住宅の契約前にプロによる欠陥の有無を確認することで、安心して入居できます。
またホームインスペクションは、建売住宅の建築中にも受けられます。
もし契約する物件が建築する前であれば、内部構造まで細かくホームインスペクションできます。早めの対応で欠陥住宅を防ぎましょう。
まとめ:必要以上に不安なる必要はないが、しっかりチェックを。
建売住宅は欠陥住宅のイメージが強く、購入を検討している方で不安に思っている方も多いでしょう。
たしかに建売住宅は欠陥が生まれやすい環境ではあります。
しかしすべての建売住宅が雑に作られている訳ではなく、必要以上に不安になる必要はありません。
ただし建売住宅は欠陥が生まれやすい環境にあることを配慮し、契約前には十分に欠陥のチェックをすべきでしょう。
何度も内覧会でチェックし、納得できるまで購入してはいけません。
もし欠陥に不安が残るようであれば、プロによるホームインスペクションを活用してみはいかがでしょうか。
ハウスメーカーとは中立的な立場で欠陥のチェックをするので、安心して契約に進めますよ。