「建売住宅=安くて、品質が悪い。」
「注文住宅=高くて、品質が高い。」
このように思っている方、多いのではないでしょうか?
おっしゃる通り、建売住宅は安く、注文住宅は高い場合が多いです。
また建売住宅の中には、群を抜いてローコストな建売住宅もあり、一部の建売住宅は品質が低いのも事実。
ですが建売と注文住宅のちがいは、それだけではありません。
家作りのプロセスがちがうので、
- 契約してから入居までの期間
- 内部構造の確認の可否
- 支払い時期のちがい
など、異なる点が多くあります。
契約後のトラブルを防ぐためにも、建売住宅と注文住宅の細かな違いを抑えることが必要です。
「建売と注文住宅、どちらがいい or 悪い」ではなく、両者のちがいを公平に知ることで、満足度の高いマイホーム購入を実現しましょう。
建売住宅と注文住宅の9つのちがい
建売住宅と注文住宅のちがいは、大きく分けて9つあります。
建売住宅 | 注文住宅 | |
1・購入までのプロセス | 物件探し | 土地探し、ハウスメーカー選び、間取り作成、施工チェック |
2・契約してから入居までの期間 | 最短2週間 | 6~8カ月 |
3・費用・価格 | 量産化によりコストダウン | オーダーメイドでコストアップ |
4・土地 | 相場より安く買える | 相場通りの金額 |
5・間取り | 自由にカスタムできない | 思い通りに変更できる |
6・デザイン | デザインが似たりよったり | オリジナルなデザイン |
7・支払い方法 | 引き渡し時に支払う | 引き渡し前に、着手金・中間金が必要 |
8・ブランド力 | なし | 大手ハウスメーカーは一目置かれる存在 |
9・欠陥のチェック | 内部構造は確認できない | 内部構造まで確認できる |
それぞれ詳しくみていきましょう。
1・購入までのプロセス
建売住宅と注文住宅で大きくちがうのが、購入までのプロセス。
建売住宅の購入は、気に入った物件を探すのがメインになります。
もし気に入った物件があれば、そのまま契約に。契約後は内装の手直し、オプション追加するだけです。
対して注文住宅は、
- 土地探し
- ハウスメーカー選び
- 間取りプラン作成
- 施工チェック
4つのプロセスが必要です。
そのため「そろそろマイホームを…」と思ってから、実際にマイホームを取得するまでの期間が長くなります。
とくに土地探し、ハウスメーカー選びで難航すると、マイホーム取得までに2~3年かかることも。
気に入った物件を見つけるだけの建売住宅とちがい、注文住宅は時間的ゆとりも必要です。
2・契約してから入居までの期間
建売住宅を契約してから入居までの期間は驚くほど早いです。
契約後、内装のチェック(最終内覧会含む)、オプション工事などを含めても、2週間~1カ月で入居になります。
すでに物件が完成しているので、契約してからとんとん拍子に進みますよ。
対して注文住宅は、契約してから第二ラウンドがはじまるイメージです。
間取りプランの作成・決定後、家作りの工事がスタート(着工)してから、早くて2カ月かかります。工期が伸びると、3~6カ月かかる場合もあります。
- 子供の入学(卒業)の時期に合わせたい。
- 転勤のタイミングに合わせたい。
- 賃貸アパートの契約のタイミングに合わせたい。
建売住宅では希望のタイミングに合わせやすいですが、注文住宅では希望通りにならないこともあります。
3・費用、価格
- 建売住宅=安い
- 注文住宅=高い
多くの方の想像通り、建売住宅は安く、注文住宅は高い場合がほとんどです。
ですが「なぜ建売は安く、注文住宅は高いのか?」を知っておくべきでしょう。
イメージとしては、
- 建売住宅=量産している、吊り下げのスーツ(量産してコストダウン)
- 注文住宅=採寸してから作る、オーダーメイドのスーツ(オーダーメイドでコストアップ)
建売住宅が安いのは、量産化してコストダウンしているから。
注文住宅よりも安い素材を使っている建売住宅(パワービルダー系)もありますが、安い理由はそれだけではありません。
4・土地
建売住宅は、事業主が土地を購入します。
多くの物件を供給する事業主なら、スケールメリット(たくさん買うから、安くできる)を活かしやすく、相場より土地を安く取得できる傾向があります。
そのため建売住宅を購入するとき、セットとなる土地は相場よりも安いケースが多いのです。
対して注文住宅は、個人で土地を購入します。
そのため価格はよくも悪くも「相場通り」となることが多く(値引き含めて)、相場より高くなることも少なくありません。
5・間取り
建売住宅では、間取りは選べません。ハウスメーカーが規格化した、標準的な間取りになります。
間取りが選べる建売住宅もありますが、多くは
- 内装(壁紙、ドア、照明、カーテンなど)
- キッチン、お風呂のグレード
- 外壁のデザイン、色(多くはサイディング)
などが選べる程度であり、自由に部屋の数・広さは変えられません。
一方で注文住宅は、ゼロベースで間取りを作れます。
部屋の数、広さだけでなく、
- 窓の位置、形、種類
- 断熱材の種類
- フローリングの種類(無垢材など)
- 天井の高さ
- 外観のデザイン
など、細かくオリジナルデザインに設計できます。
6・デザイン
建売住宅では自分で選べる選択肢が少ないので、どうしてもデザインが「似たりよったり」になりがちです。
とくに複数の建売住宅が並ぶ分譲地では、自分の家とそっくりな建売住宅が並ぶ風景も珍しくありません。
その点、注文住宅であれば、オリジナル性の高いデザインとなります。
7・支払い方法、時期
注意すべきは、支払い方法です。
注文住宅では、3回に分けて費用を支払うことが多いです。
- 着手金(全体の30%の金額)
- 中間金(全体の30%の金額)
- 引き渡し時の清算(全体の40%の金額)
※ただしハウスメーカーとの契約内容によって、割合いは変わる。
家の完成前に全体の60%(着手金・中間金)を払うことに。
そのため「手抜き作業をしてないか?」「図面通りの仕上がりか?」の施工チェックは欠かせません。
また工事期間中の、ハウスメーカーの倒産にも注意が必要です。払ったお金は保険で戻るケースもありますが、大切なマイホームが放置されることになり、大きなトラブルになりがちです。
この点、建売住宅の支払いはスマートです。
完成された物件を内覧し、気に入ったら契約。
最終内覧会で状態をチェックし、問題なければ、引き渡し(支払い)です。
8・ブランド力
建売住宅と注文住宅では、ブランド力に差があることが多いです。
注文住宅、とくに大手ハウスメーカー(積水ハウス、ダイワハウス、三井ホームなど)では、ハウスメーカー名を聞いただけで一目おかれるブランド力があります。
しかし残念ながら、量産化された建売住宅にはブランド力はほぼなく、人によっては建売住宅を軽視することも。
ただし大手ハウスメーカーが手がけた、「ハイグレード建売住宅」もあります。
ローコストな注文住宅よりも高い物件もあり、「建売だから」とは言えません。
9・欠陥のチェック
マイホームで心配なのが、欠陥です。
大切なマイホームに欠陥があるだけで、一気に色あせてしまいます。
建売住宅と注文住宅では、欠陥のチェックがちがいます。
ゼロベースで建築する注文住宅なら、作業工程にあわせて欠陥のチェックができます。
内部構造(構造・基礎・断熱材・屋根・防水)まで確認できるので、安心して入居できます。
しかし建売住宅は、すでに完成された物件です。そのため内部構造(構造・基礎・断熱材・屋根・防水)が確認できず、どうしても不安が残りがちです。
そこでおすすめなのが、住宅診断(ホームインスペクション)です。
住宅診断とは、住宅診断士(ホームインスペクター)が家の状態を診断すること。欠陥の有無、劣化状況などを診断します。
欠陥の不安が残る建売住宅は、プロに細部までチェックしてもらうと安心ですよ。
建売と注文住宅のちがいのまとめ
建売住宅と注文住宅のちがい。価格だけではないこと、ご理解頂けましたでしょうか?
建売住宅 | 注文住宅 | |
1・購入までのプロセス | 物件探し | 土地探し、ハウスメーカー選び、間取り作成、施工チェック |
2・契約してから入居までの期間 | 最短2週間 | 6~8カ月 |
3・費用・価格 | 量産化によりコストダウン | オーダーメイドでコストアップ |
4・土地 | 相場より安く買える | 相場通りの金額 |
5・間取り | 自由にカスタムできない | 思い通りに変更できる |
6・デザイン | デザインが似たりよったり | オリジナルなデザイン |
7・支払い方法 | 引き渡し時に支払う | 引き渡し前に、着手金・中間金が必要 |
8・ブランド力 | なし | 大手ハウスメーカーは一目置かれる存在 |
9・欠陥のチェック | 内部構造は確認できない | 内部構造まで確認できる |
「建売住宅は安いから・・・」
「注文住宅は高いから・・・」
と、単純に決めるのではなく、自分の求める理想のマイホームにあわせて選ぶのが大切です。
また建売住宅を選ぶときは、住宅診断(ホームインスペクション)の活用もお忘れなく。
せっかくのマイホーム。安心して暮らせる家を手に入れましょう!