これから注文建築で住宅を新築しようという人ならば、ハウスメーカーなどの広告のなかに完成見学会と書かれているものを見たことがあるのではないでしょうか。また、すでに接点を持っている建築会社の担当営業マンから「週末の完成見学会にお越しになりませんか?」と誘われる人もいるでしょう。
ここでは、住宅の完成見学会とはどういったものであるか、また見学会へ行ったときに注意すべき点など、注文住宅の建築に役立つ情報をお伝えしています。
1.住宅の完成見学会とは?
完成見学会とは、工務店やハウスメーカーが自社で建築したお客様(施主)に依頼して開催するもので、家を建てる可能性のある見込み客を新規開拓したり、検討中の顧客に参考にしてもらって話を進めたりするために行うものです。つまり、工務店やハウスメーカーの営業目的で行われるものです。
施主(=住宅のオーナー)は、工務店やハウスメーカーに協力してあげているという立場です。
完成見学会の会場となる家は、建物が完成したばかりで入居する前であることもあれば、既に入居して暮らしている場合もあります。
住宅展示場などにあるモデルハウスではないため、それほど現実離れした建物ではないことが多いですが、住まいのあちこちに施主のこだわりや要望が反映されていることもあり、そういったこだわりを聞くことができれば楽しくもあり、参考にもなることでしょう。
2.完成見学会の基礎知識と注意点
次に住宅の完成見学会に関する基礎知識や予備知識を身につけておきましょう。知っておくべきことをいくつかご紹介します。
2-1.住宅オーナーは工務店・ハウスメーカーの味方
前述したように、完成見学会は工務店やハウスメーカーから協力を求められた顧客から、場の提供を受けて開催されているものです。
逆の立場(見学会の場として我が家を提供する側の立場)で考えてみてください。あなたが自宅での見学会開催に対して了承するということは、あなたとハウスメーカー等との関係が非常に良い時だと思いませんか?
建築の途中や前後において、何かトラブルになることがあったり、施工不良やミスなどがあってクレームをつけていたり、不満を持っていたりするならば、ハウスメーカー側から完成見学会への協力を求められても断りますよね。
自分の家を不特定多数の他人に見られるのは多くの人とって好ましいことではありませんし、セキュリティ上の問題や汚れ・痛みのリスクという点でも、積極的に場の提供をしたくないものです。もちろん、こだわって建てた家を見てもらいたいという考えもありますが、前者の方が多いのではないでしょうか。
それでも見学会の場として提供しているのは、満足度の高い人ですから、完成見学会へ行ってもその会社のマイナス面を知る機会はほとんどないでしょう。業者選びをする過程では、各社のプラスの面だけではなくマイナス面も知っておきたいものですが、マイナス面を知ることは難しいということです。
2-2.工務店やハウスメーカーが見せたい家を選んでいる
完成見学会を開催する工務店やハウスメーカーにしてみれば、その機会に新規見込み客の獲得や既存客の契約を狙っているわけですから、できるだけ印象の良い家を見てほしいと考えています。施主ともめている住宅で見学会をすることなどはありませんし、見た目の印象が良い家を選んでもいることでしょう。
住宅展示場ほどではないにしても、印象の良さを強調した建物であることを理解しておき、舞い上がってしまうことのないようにしましょう。
2-3.間取りの良し悪しは気にしない
完成見学会では、間取りの良し悪しについてチェックしても意味はありません。その住宅の施主の希望に合わせてプラニングされているものですから、あなた自身の考えや家族構成などと相違することがあるのは当然のことです。
あなたにとって間取りがいまいちよくないと感じたとしても、それはその会社の設計力・提案力が不足していると決めつけることはできないのです。
2-4.居住者へ配慮する
完成見学会は、住宅が完成してから施主に引渡される前に開催されることもありますが、既に施主が居住している住宅で開催されることもあります。新築後、数年間、経過している住宅が会場に選ばれることもあるのです。
つまり、人が住んでいる住宅で開催されることもあるということです。そういった場合の注意点を心得ておきましょう。
その1つが、いろいろなものを触らないということです。ドアの開閉時にドアノブに触れることがあるのは仕方ないにしても、棚・壁・床・その他の設備などを必要以上に触ることのないようにしましょう。汚れや指紋がつくことを嫌がる施主も数多くいるからです。
また、見学へ行く前に煙草を吸ってから行くのもやめましょう。施主がたばこ嫌いということもあるからです。
3.注文住宅を建てたい人が完成見学会へ行く理由
これから家を建てたい人は、なぜ完成見学会へ行くのでしょうか。その理由と目的達成度を見ていきましょう。
3-1.工務店・ハウスメーカーの実績を見て業者選びに役立てるため
完成見学会の会場はその工務店やハウスメーカーの実績の1つです。実績を見て自分たちの理想の住宅を建築できそうかどうか考えてみましょう。
3-2.良い工務店・ハウスメーカーと出会うため
見学会では、営業マンが見込み客と出会うために待っていることでしょう。しかし、あなた自身にとっても、新たな会社との出会いの場となることができます。営業マンと接点をもち、説明を受けないことには話も始まりませんね。
3-3.いくつも見ることでデザイン・アイデアを参考にできる
週末になれば、いろいろな会社が完成見学会を開催しています。日をわけて何件も訪問していくと、何度かこのアイデアはいいなと感じることもあるでしょう。施主の要望やこだわりを聞いた工務店などがどのように、要望に応えているのか、その会社や個人の提案力・問題解決力を確認することができます。
ただ、工夫したことについてきちんと説明を受けないことには、わかりづらいことも多いですから、気になることがあれば担当者からヒアリングするとよいでしょう。
何社かの完成見学会に何度も行くことは、自分の家のプラニングにも工夫を活かせるものが見つかるかもしれません。