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欠陥住宅に合わないために第三者の住宅検査が必要な5つの理由

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欠陥住宅に合わないために第三者の住宅検査が必要な5つの理由

建売住宅を購入したり、注文住宅を建築したりする人にとっては、自宅が欠陥住宅にならないでほしいと願うのは当たり前のことです。様々な施工ミスなどによって、せっかく取得した住まいにトラブルが発生すれば、日々ストレスを抱えつつ、その解決のために建築会社などと何度も何度もやりとりしなくてはなりません。

その精神的な負担は大きなものですし、場合によっては経済的な負担が生じることもあります。これから取得する新築住宅が欠陥工事に合わないために推奨される対策は、第三者による住宅検査です。建築会社の方から、第三者検査を入れていると説明を受けることがありますが、そうではなく建売住宅の買主(注文住宅の施主・発注者)が依頼する検査こそが大事です。

それでは、なぜ欠陥住宅に合わないために第三者による住宅検査が必要であるか、その理由として特に知っておくべきことを5つ挙げます。

  1. 建築会社の自社検査が機能していないことが多い
  2. 工事監理者がきちんと監理していない
  3. 建築基準法で定めた検査(中間検査・完了検査)では不十分
  4. 瑕疵保険の検査では不十分
  5. 欠陥住宅・施工不良が無くならない現実がある

これら5つの理由について、以下で詳しく説明していきます。

1.建築会社の自社検査が機能していないことが多い

まずは、建物の施工を行う建築会社が行うべき自社検査が適切に機能していないという建築業界の現実について説明していきます。

1-1.建築会社(工務店)の自社検査とは

住宅を建築する過程において、その施工を行う建築会社が自社でしっかり検査しながら進めていくべきであるのは言うまでもありません。自社検査もしくは社内検査という言葉が建築業界にも当然のようにあるのですが、この当然のことを実施できていない会社が多いという現実があります。

自社検査(社内検査)基礎工事、躯体工事、設備工事、内装工事などの各工程において、建築会社が自らチェックする作業のことです。建築の過程ではほとんど何もせず現場任せとなり、完成時のみ自社検査をしている会社も多いです。

欠陥工事、施工ミスといった建築トラブルを起こさない建築会社は、様々な検査制度を活用しているからではなく、この自社検査をしっかり実施しているからだということが非常に多いです。検査制度を営業上のPR(お客様への安全性のPR)のために利用しているものの、本当の安全性や施工品質の確保という意味では自社検査を重視しているのです。

実は、自社検査こそが欠陥工事を無くす最良の対策なのです。

1-2.現場監督は検査をしていない

施工の流れのなかで、現場監督について耳にすることもあるでしょう。完成済みの建売住宅を購入した人は、あまり現場監督と接する機会もないですが、注文建築で建てたり、建築中の建売住宅を購入したりすれば、現場監督と建築現場で出会うことも少なくありません。

最近の現場監督の主な業務は、各下請け業者の手配・段取りです。住宅の施工のためには、配筋屋さんや大工さん、設備業者など多数の人や業者が出入りします。工事の進み具合に応じて、これらの業者の段取りをするだけでも大変な業務ですが、現場監督は担当する現場数が多くて、この仕事だけで多忙を極めていることが多いです。

その現場監督に施工品質を確保する役割まで求めるのは、今の業界では困難かもしれません。供給棟数の多い会社ほど、現場監督は多くの経験を積んで現場の技術的なことに詳しいと思われがちですが、そこまでの仕事を求められていないことから、知識や経験が不足している人が多いのが現実です。

1-3.建売の売主は建築会社に丸投げしてノーチェック

注文建築ではなく、建売住宅であれば、不動産会社が物件の売主になっています。本来であれば、この売主である不動産会社が自社物件なのですから、建築中や完成時に細かく検査をして施工品質を保ち、欠陥工事がないように対策をとっておけばよいものですね。

しかし、多くの不動産会社は、建築現場のことは現場任せになっています。それどころか、建築のことはわからないので、技術的なことには全く口を挟まない会社の方が多いのです。営業マンがたまに建築現場を見て周ったところで、施工ミスが起こっているかどうか気づくこともできません。

建売住宅の多くは、建築会社に対して、施工・品質管理などを丸投げしている現実があり、ノーチェックなのです。

2.工事監理者がきちんと監理していない

不動産会社や建築会社が適切に検査していなくても、工事監理者がいるから大丈夫だと思われる人もいるかもしれません。しかし、工事監理についてもその現実を知ればとてもそのようには思えないでしょう。

2-1.工事監理者とは

工事監理とは、設計図書(建物の多くの図面)と施工現場を照合し、誤りがないか等を確認する作業のことで、これは建築士が行います。この者を工事監理者と言います。

工事監理者は、その住宅の設計をした人がなることが多いですが、別の建築士が行うこともできます。建築家と家づくりをする人であれば、その建築家が工事監理も請け負うことが多いですし、工務店に建ててもらうときには、その工務店の従業員である建築士が工事監理することが多いです。

2-2.工事監理の現実

工事監理は、設計図書と現場を照合・確認する重要な役割ですから、その責任は重大です。しかし、大手ハウスメーカーや建売住宅においては、工事監理者が名ばかりであってほとんど現場に入ることすらないということが非常に多いです。

意識の高い工務店であれば(本来はこれが普通のはずです)、きちんと工事監理者が現場へ頻繁に足を運んで、設計図書との照合、施工品質の管理などをしています。しかし、全体の供給棟数に対して、工事監理を適切に実行できている現場は少数です。

3.建築基準法で定めた検査(中間検査・完了検査)では不十分

営業担当者などから、「建築確認申請があって、中間検査も完了検査も受けているので安心です」と説明を受ける人もいますが、これは本当なのでしょうか。中間検査や完了検査の現実についても説明しておきます。

3-1.建築確認・中間検査・完了検査とは

建築基準法により、住宅を新築するときには(住宅以外もですが)、一部の例外を除いては建築確認申請をして、中間検査や完了検査を受けて合格しなければいけないことが規定されています。

建築確認申請とは、「このような建物を建てますよ」と平面図などの必要書類を付けて申請して承認を得ることです。中間検査とは、基礎や建て方などの工程において建築途中に検査することで、完了検査とは本体工事の完成後に検査することです。

3-2.中間検査や完了検査で施工ミスは防げない

建築確認制度の通りに中間検査や完了検査を受けているから安心だと説明する担当者については、少々厳しい言葉になりますが、どうかしているのではないかとさえ思われます。

中間検査や完了検査の現場に一度でも立ち会えばわかることですが、その検査現場で施工不良がないか詳細に確認することなどないからです。ごく簡単に法規に適合しているかどうかをチェックしている程度であり、その確認に要する時間は5~20分程度です。20分でも長い方です。

そのような短時間で検査できるほど、施工は単純ではありませんから、施工ミスを無くしたいという意味では、これらに期待するのははじめから見当違いといってよいでしょう。

自社検査をきちんとしている会社で、そのことをよく理解できている担当者であるならば、中間検査や完了検査を理由に安全性や品質についてアピールすることはないでしょう。

4.新築住宅の瑕疵保険の検査では不十分

営業担当者から、「瑕疵保険に入っていて、その保険のための検査を受けているから安心」だと説明を受けるこがあります。保険に加入していること自体は確かに安心材料ですが、その検査まで信用してよいものでしょうか。

4-1.新築住宅の瑕疵保険とその検査とは

注文建築であれば、その建築会社が施主に対して建物の保証義務を負います。また、建売住宅であれば、その売主が買主に対して保証義務を負います。よく10年保証と呼ばれているものですが、これは法律で定められた義務です。

しかし、保証している建築会社等の倒産などによって、実際には保証を受けられないという問題があったため、今では瑕疵保険に加入することか、保証金を供託することが住宅瑕疵担保履行法によって義務付けられています。

保証金を供託するパターンである場合には該当しないのですが、瑕疵保険に加入するパターンである場合は、保険加入に必要な検査を受ける必要があります。この検査があるから安心だと説明されることがあるのです。

確かに検査があるのは良いことなのですが、検査対象は主要構造部や雨漏りに関する部分に限られます。この部分のみが保険の対象だからです。そして、何か問題があっても保険で賄うという発想であって、保険加入する物件の瑕疵をなくそうというわけではありません。

4-2.瑕疵保険の検査対象外の施工ミスが多い

基礎の配筋工事が重要なものであるのは容易にわかりますが、その配筋検査において瑕疵保険の検査で検査漏れしている現場を何度か見ています。建築確認制度の中で行う中間検査と同じく、現場での確認時間が短時間であるため、施工ミスの有無を細かくチェックするのは無理があるのです。

そして、この検査で対象となっていない箇所にこそ、施工ミスが多いのですが、その項目がノーチェックになっています(保険の対象でもありません)。その代表例が断熱工事です。

5.欠陥住宅・施工不良が無くならない現実がある

ここまで4つの理由を挙げてきましたが、いずれも消費者が第三者検査を自ら入れるべき十分な理由ではないでしょうか。そして、もう1つ何よりも重要な理由があります。それは、建築確認も瑕疵保険も、そしてその他の制度(住宅性能評価など)が運用されて何年も経ちますが、未だに欠陥住宅や施工不良の問題が無くなっていないという事実です。

公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターは、様々な住宅関連の相談業務などを行っておりますが、このセンターが公表しているデータでも、新築住宅の不具合等の相談件数は年々増加しています。瑕疵保険付きの住宅でも同様の助教です。

建築会社側からいろいろな説明を受けたとしても、欠陥住宅・施工不良が無くならないという業界の現実は明確であり、消費者には自己防衛のための策を講じる必要性があると言えるでしょう。

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