これから家を建てたい人が、ハウスメーカー(住宅の建築会社)から建築費の見積り書を提示してもらった後、その見積り金額から値引きしてほしいと思うのは当たり前かもしれません。多くの人が、ハウスメーカーと値引き交渉をして成功させています。
そこで、注文住宅の建築費の値引きに関することを解説するので、値引き・値下げ交渉に活用してください。
1.原則、住宅の建築費は値引き交渉が可能
そもそも建築費を値引きしてもらうことができるのか心配している人も多いようです。住宅に関わらず、あらゆる物やサービスに関して値引きしてもらえる可能性はあると考えておいた方がよいですが、住宅の建築費はむしろ値引きされることの方が多いです。
よって、家を建てたい人(=施主)はハウスメーカーに対して値引きを依頼することを前提と考えておいた方がよいです。ダメ元でもいいから交渉すべきでしょう。
実際に値引き交渉を行う場合、必ず建設工事請負契約を締結する前に行いましょう。契約後では、ハウスメーカーに値引きを承諾してもらうことが困難です(後から追加依頼するオプション工事費なら可能性はある)。
実は、ハウスメーカーや建築会社は、施主から値引きを依頼されることを想定して、予め値引き額を想定していることもあります。また、見積り書を提示する際に、値引きできることを臭わす担当者も少なくありません。値引き前提の見積り書というものは、非常に多いのです。
最初に提示された見積り書からは、値引き交渉して当たり前だと考えておいてもよいくらいです。
2.注文建築費用の値引き額・割引率は?
それでは、いったいいくらくらいの値引きをしてもらえるのでしょうか?
何%くらいの値引き率があるのでしょうか?
これは施主にとっては大変興味深いところだと思いますが、ハウスメーカーによって違いますし、同じ会社でもその時の条件等によって異なるために判断するのは非常に難しい、若しくは無理だと言ってもよいかもしれません。
同じハウスメーカーや担当者であっても、時期や忙しさによって異なるため、様子を見ながら交渉するしかないのです。
たとえば、建築費用が2,000万円の規模で、50万円も値引いてくれないことがありますし、200万円も値引きしてもらえるケースがあります。割引率にすれば、2.5~10%もの開きがありますね。
しかし、割引率や割引額が高いからお得だとは言えません。そもそも、最初に提示された金額が高すぎるということもあるからです。施主としては、できる限り妥当な金額を導きだしたいところですね。
3.住宅建築費の値引き・割引の交渉術
妥当な建築費を導き出すための交渉術について考えておきたいものですね。ただ単純に「値引きしてください」と言っただけで応じてもらえることもありますが、できればハウスメーカー側に「値引きして営業した方が良さそうだ」と思ってもらうとよいでしょう。
3-1.値引きの基本は相見積もりと競争意識
そのためには、やはり他社との比較です。他社とも商談していることを伝え、複数の会社から見積りをもらうことです。つまり相見積もりですね。相見積もりをとることは失礼なことだと考える人もいるようですが、そのようなことはありません。多額の資金を投じて建てる住宅なのですから、遠慮せず相見積もりをとりましょう。
建築費に関して相見積もりをとることは、ハウスメーカーや建築会社間の競争意識を煽ることになります。他社と最後まで比較することなく、1社に限定して話しているようであれば、高い見積り金額からそれほど値引きしてもらえないこともよくありますから注意しましょう。
3-2.値引き交渉は最後の一押しが肝心
最初の見積り金額からいくらか値引きしてもらったからといって、すぐに納得するのもあまりお奨めできません。値引き可能な金額にはもっと巾を持っていることも少なくないからです。
建築を依頼したいハウスメーカーや建築会社を絞ったところで、最後の一押しをしてみるとよいでしょう。
3-3.具体的な交渉トーク
その際、その会社にだけ絞っているとはあえて言わず、「A社とB社で迷っているがA社(交渉先の会社)でお願いしたいと思っている。でも、ちょっとB社の方が安い。あと少しだけでも何とかならないか?」などと揺さぶってみてください。
もしくは具体的な金額を示して、「○○○○円になれば、契約する」という交渉方法が有効なこともあります。
ただ、こういった最後の一押しをしてから、さらに追加で値下げ交渉を続けようとすると警戒心が大きくなったり、信頼関係の構築が難しくなったりして、たとえ交渉が成功したとしてもその後の対応に悪影響を与えることもありますから、最後の一押しの後は無茶をしないようにしましょう。
4.値引き・割引交渉の注意点
最後に、注文住宅の建築費に関して値引き交渉するときの注意点を紹介します。決して、交渉によって関係が悪化しすぎることのないよう配慮したいものです。
4-1.無理な値引き巾・割引率の要求は関係悪化
値引きしてほしい金額として要求する金額が大きすぎると、たちまち関係が悪化してしまうことがあります。見積り金額2,000万円のものに対して1,500万円にしてほしいという要求は行き過ぎていますね。
あまりに非常識だと認識されてしまっては、その後の交渉は相手にされなくなるかもしれないので、注意しましょう。
4-2.しつこい交渉も関係悪化
何度断られても、しつこく値引きを要求する人もNGです。そもそも、建築を請け負ってもらえなくなることもあるでしょう。ハウスメーカーや建築会社もその仕事に誇りを持って、適切に業務遂行するために必要な金銭というものがあります。
断られてから適切な妥協案を探ることは良いのですが、何度も同じ金額(または近い金額)で値引き交渉をするのはやめておい方がよいでしょう。
4-3.一度、合意した後の値引き要求も関係悪化
もっともやってはいけない交渉方法は、合意した金額の放棄と再交渉です。たとえば、口頭において1,800万円で合意した後、請負契約を交わす直前になって追加で値下げ要求するような行為はいけません。
信頼関係が崩壊し、それ以上は相手にしないばかりか、契約してもらえないこともあります。これは、契約違反ではないものの、マナー違反というものです。マナーが相当悪い人だと思われたら、その後のお付き合いが大変なので、その仕事を請けたくないと考える会社や担当者は少なくないのです。
注文住宅の建築費(見積り金額)に関して値引き交渉するときは、ここに書いていることを考慮してみるとよいでしょう。