間取り

屋内階段の注意点 ~注文住宅の間取り講座~

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屋内階段の注意点 ~注文住宅の間取り講座~

注文住宅の間取りプラン等を検討するときの注意点や検討すべきことをお伝えする注文住宅の間取り講座シリーズの第7弾として、階段を取り上げます。階段には、皆さんがすぐにイメージする建物内部の屋内階段と建物外部の階段がありますが、今回のテーマは屋内階段です。

よって、外部にある階段はテーマに含まれておりません。ちなみに外部の階段とは、庭から2階や屋上などへ上がるための階段があります。また、道路と敷地に段差があるときには、その外構部分にも階段があることがあります。あくまで、今回のテーマはこれらは含まず建物の中にある階段です。

それでは、屋内階段における注意点やチェックポイントを見ていきましょう。

1.階段の照明と採光

屋内の階段について最初に取り上げる項目は、照明と採光についてです。普段は薄暗いことが多い階段ですが、使用するときの明るさについて考えてみましょう。

階段の窓

1-1.窓を設ける

最初に考えたいことは自然光の取り入れです。そのためには、やはり階段にも窓を設けた方がいいです。階段は吹抜けと同じようになっていますから、窓があれば階下へも光を取り入れることになります。廊下や玄関ホールへ明るさをもたらすなら、窓は欲しいですね。

窓は壁面へ設けることが多いですが、建物プランによっては天井面に設けてトップライトにすれば、より採光の面でメリットがあります。

都市部で見られる狭小地の住宅では隣家の建物が近いこともあってか、階段に窓を設けない住宅プランもあります。しかし、採光という意味ではたとえ隣家が近くても効果はありますから、窓を設ける方がよいでしょう。

1-2.階段の照明選び

階段に窓を設置したとしても、照明は必要ですね。ただ、階段の照明は設置場所等によっては手が届かず掃除しづらくて困りますから、この対処法も考えておきたいところです。

そこで1つのアイデアとして、ブラケットライトを検討するとよいでしょう。ブラケットライトとは、天井ではなく壁に付けるタイプの照明のことで、壁付け照明や壁掛け照明とも言われています。

ブラケットライト

天井に取り付け照明の掃除は大変ですが、ブラケットライト(壁付け照明)なら手が届きやすくて簡単に掃除できますね。

但し、ブラケットタイトを採用するときの注意点として、照明の上から覗いても内部の電球が見えない照明器具を選ぶようにしてください。廊下や玄関などにブラケットライトを取り付ける場合は上から見ることはほとんどありませんが、階段では降りる際に目に付きます。それだけに、上から見えないものを選ぶ方がよいのです。

1-3.フットライト(足元灯)

夜間の階段使用時に備えてフットライト(足元灯)を取り付ける人も多いです。フットライト(足元灯)を取り付けるならば、昇り口と降り口の両方に取り付けることが一般的ですが、それぞれの踏面より30cm程度上に設置すると有効ですから覚えておきましょう。

また、階段の途中に折り返しがあり踊り場になっているようであれば、その踊り場にもフットライト(足元灯)を取り付けておいた方が便利なこともあります。

2.階段のバリアフリー対応

玄関でもトイレでも、住宅の間取り・プランを検討するときは、あらゆるスペースにおいてバリアフリー対応について検討した方がよいでしょう。そして、階段のように上り下りがあるスペースにおいてはバリアフリー対応がより重要になります。

階段の手すり

2-1.手すりの設置

階段にも手すりを設置すべきです。L字やU字に曲がる階段の場合は、コーナー部分も途切れないように手すりを設置した方がよいです(上の写真を参考)。

一般的な階段の手すりは片側にのみ設置されていますが、利便性を重視するならば、階段の両側に設置した方がよいです。高齢になって力が無い場合、利き手で手すりを持ちたいものです。階段の手すりは降りるときこそ必要になりますから、降りるときの利き手の位置にはぜひ手すりがほしいですね。

2-2.階段のサイズ

階段のサイズをどうするかは、バリアフリー、安全な使用という意味で大切なことです。

まず、階段の1段、1段の高さ(これを蹴上という)は20cm以下としておきたいです。高いと上りづらいのです。次に、足を載せる部分(これを踏面という)の奥行きは長めの方が安全で、25cm~30cmがよいでしょう。あまり奥行きが長いとかえって使いづらいので注意してください。

高齢者が利用する階段の踏面と蹴上の理想としては、以下の計算式を用いてチェックしましょう。

55cm ≦ T + 2R ≦ 6cm

  • T = 踏面
  • R = 蹴上

参考として、建築基準法施行令によれば、住宅の階段の巾は75cm以上、踏面は15cm以上、蹴上は23cm以下とすることになっていますが、この限度ぎりぎりで設計してしまうと使いづらい階段になってしまいますね。

2-3.滑り止め(ノンスリップ)

滑り止め(ノンスリップ)についても書いておきます。滑り止めのことをノンスリップと言いますが、階段の踏面にこのノンスリップを付けておくようにしましょう。足を滑らせて転倒したら大変ですね。

3.階段の踊り場

U字に曲がる階段とする場合、途中に踊り場を設けることが一般的ですが、この踊り場の活用方法においても考えてみるとよいでしょう。

建物によっては階段の踊り場スペースを広めにとることもできますが、そういった住宅では踊り場に壁飾りを取り付けたり、あえて棚を設けて飾りを置いたりするのもアイデアの1つです。なかには、本棚を設置してベンチやチェアーを置いてオシャレなライブラリー風に仕上げるというアイデアもありました。

階段は窓を開けておくと廊下や各スペースとつながっていて、風通しもよく、意外と心地よいスペースにすることができるのです。これは注意点というよりは、デザイン性を考えた工夫ですね。

4.階段の壁はひび割れ対策の検討を

階段は吹抜けと同じですから、水平方向にかかる力に弱いという弱点があります。玄関や玄関ホールを吹抜けにしている家では、そのスペースの壁に水平方向に入ったひび割れが見られることがありますが、階段も同じなのです。

どうしても地震などの揺れによって、ひび割れが生じやすい箇所であるため、はじめからその対策を施しておくことがあります。

階段の見切り

その対策とは、打ち継ぎ部分に目地を設けておくか、もしくは見切り材を設けておくことです。これが、ひび割れの緩衝材、対策となるのです。上の写真で壁面の茶色の部分ですね。

5.階高の低い階段の注意点

狭小地の住宅では、限られた面積を有効に活用するため、階段スペースに無理をきたしてしまうこともあります。その結果、階段の昇り口のところで天井が低い位置にあり、油断すると頭をぶつけてしまうということがあります。

そういったケースでは天井を斜めにするなどの工夫を考えたいものです。

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