家づくりで間取りを検討するとき、収納量の不足に悩んでいませんか?限られた面積のなかで、居住スペースと収納量のバランスやスペースの有効活用は間取り作成の大きな課題となる人は多いものです。今回は、限られた面積のなかで収納量不足を解決するためのプロの設計の知恵をご紹介します。
- 間仕切り壁を両側の個室から各々利用する
- 奥行き寸法の異なる洗面台と隣り合わせたキッチンの間をうまく利用する
- 周辺地盤の影響で深い基礎にする際に基礎下を倉庫に利用する
- 島状の収納をつくることでデッドスペースを活用する
- ダイニングのチェアーを工夫して、座面の下を収納にする
- 和室の床面をリビング等より高くして、下を収納にする
収納量不足を解決する方法として以上の6点を挙げました。これらについて詳しく解説していきます。
1.間仕切り壁を両側の個室から各々利用する
1つ目の収納スペースの作り方として、間仕切り壁に収納を嚙合わせる方法をご紹介します。まず、以下の間取り図Aをご覧ください。
この間取りにした場合、どうしてもオレンジ色の部分がデッドスペースになってしまいます。広い子供部屋を取れるのならば、このプランも悪くないかもしれませんが、限られたスペースの有効活用という意味では出来る限りデッドスペースは無くしたいものです。
そこで以下の間取り図Bです。
このプランにした場合、デッドスペースが無くなり、すっきりした見た目になりましたね。収納へはそれぞれの部屋から使用できるようにすればいいでしょう。
但し、このプランにした場合のデメリットも理解しておきましょう。1つは、遮音性の低下です。互いの部屋からの物音や声は部屋の境を収納にしたときの方が聞こえやすいです。また、もう1つは部屋の間口(巾)が狭い場合、収納を部屋の境にもってくることで、より巾のない部屋になってしまいます。
部屋の形状も考慮しつつ検討するとよいでしょう。
2.奥行き寸法の異なる洗面台と隣り合わせたキッチンの間をうまく利用する
洗面室の洗面化粧台やシステムキッチンの奥行は、一般的に食器棚よりも長いものです。食器棚は食器を収納するのに丁度良いサイズの奥行にして、キッチンや洗面化粧台と横に並べてしまうと形状が歪になってしまいますし、スペースの有効活用もできません。
そこで、以下のように並べることで上手にリネン庫をとり、収納を増やす方法が有効です。
食器棚とリネン庫が洗面化粧台の横に上手く収まっていますね。
3.周辺地盤の影響で深い基礎にする際に基礎下を倉庫に利用する
次は傾斜地の一戸建て住宅で有効な収納の作り方です。傾斜地の場合、一部の基礎を深基礎とすることがあります。地面の高さの相違から採用される方法なのですが、この場合、この深基礎の部分を収納にする方法があります。倉庫のようなものですね。
建物を外部から横方向に見た図です。深基礎の部分を収納にすることができますね。外部から出入りできるようにするパターンもあれば、1階の床から梯子などで降りられるようにするパターンも考えられます。
4.島状の収納をつくることでデッドスペースを活用する
本棚などの収納の配置次第では、デッドスペースのでき方に相違があるものです。たとえば、以下をご覧ください。
デッドスペースが大きく、ただ人が通るだけのスペースがこんなに大きく出来てしまっています。収納や棚は部屋の隅、壁際にあるものだと思い込みがちですが、思い切って部屋の中心部付近へ持ってくることで使い勝手がよくなったり、デッドスペースが減ったりすることもあります。
上のプランであれば、デッドスペースが減ったうえに、その分、本棚のスペースが増えています。棚を空間の仕切りに使用することもできていますね。ただ、無駄に空間が広く見えればよいというものでもありませんから、こういった大胆なプランも検討してはいかがでしょうか。
5.ダイニングのチェアーを工夫して、座面の下を収納にする
収納ではないスペースを収納にする方法も考えてみましょう。たとえば、ダイニングセットです。一般的なダイニングセットを横方向から簡単に書けば以下のようになります。
ダイニングのチェアーは、工夫次第で収納に変えてしまうことができます。それが以下の図です。
壁際のチェアーを固定式のベンチのようなものにして、収納にしてしまうプランです。座面を上へ持ち上げて開くようにするか、もしくは横方向から引き出しのようにする方法があります。
このプランにすれば、座る場所が固定になりますからダイニングセットを移動させることはできませんが、多くの住宅においてはダイニングセットの位置を移動させることはほとんどないので、固定式でもそう問題はないでしょう。
6.和室の床面をリビング等より高くして、下を収納にする
居室の床面の一部を上げることで、床下に収納スペースを作り出す方法もあります。たとえば、リビングと隣り合わせの和室の床を上げてしまい、畳の下に収納を作るプランがあります。
腰掛にもなり、収納量も増えるので良い案ですね。但し、その部分の天井高が低くなり、狭い部屋であれば圧迫感を感じますから、リビングと一緒に使用するなど開放的な使い方ができるときにはより良い方法だと言えます。
和室でよく採用される方法ですが、その他の部屋でもプランに応じて似たような使い方を考えてもよいでしょう。
収納量や収納スペース作りを考えるとき、間取りを平面だけで考えると良い対策を思いつきづらいものです。ここであげた6つの対策のうち、「3.周辺地盤の影響で深い基礎にする際に基礎下を倉庫に利用する」「5.ダイニングのチェアーを工夫して、座面の下を収納にする」「6.和室の床面をリビング等より高くして、下を収納にする」の3つは、平面ではなく断面で間取りを見ているからこそ思いつくワザです。
間取りを考えるときは、上からだけではなく横からも見て考えることがヒントになるでしょう。