長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金とは、リフォームにより一定の基準をクリアすることで、最大250万円の補助金がもらえる制度です。
ただしリフォームの工事内容により、
- 最低基準の耐震性・劣化対策などをクリア → 最大100万円
- 長期優良住宅と同等のリフォーム → 最大200万円
- さらに省エネ基準より20%を達成 → 最大250万円
と、もらえる補助金の上限額が3段階で変わります。
この記事では長期優良住宅化リフォーム推進事業の概要、補助金の適用条件について解説していきます。
中古住宅の購入を検討している方は、制度をよくチェックしておきましょう。
長期優良住宅化リフォーム推進事業の概要
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、既存の中古住宅のストックを有効活用するためにスタートしました。
経年劣化している中古住宅や、耐震性・断熱性の低い中古住宅でも、適切にリフォームすることで、性能の高い住宅に生まれ変わります。
中古住宅をリフォームすることにより、
- 子育て世代の住宅購入促進
- 既存住宅の長寿命化
- 3世代同居環境の普及
などを目的とした補助金です。
もらえる補助金は、最大250万円。
長期優良住宅化リフォーム推進事業では、最大250万円の補助金がもらえます。
ただし中古住宅のリフォーム工事の内容により、もらえる補助金の上限額は変わります。
もらえる補助金(限度額) | リフォームの内容 | |
評価基準型 | 100万円 | 「劣化対策・耐震性」と、「省エネ性・維持管理」のうち、いずれか1項目(合計3項目)が一定基準をクリア。 |
認定長期優良住宅型 | 200万円 | 長期優良住宅と同等の性能のリフォーム工事。劣化対策・耐震性・省エネ性・維持管理、すべての項目において、認定基準をクリア。 |
高度省エネルギー型 | 250万円 | 認定長期優良住宅型であり、さらにエネルギー消費量が省エネ基準より20%削減をクリア。 |
また長期優良住宅化リフォームにあわせて、「3世代同居リフォーム」を実施すると、+50万円の補助金(上限)がもらえます。
もっとも基準が低いのが、「評価基準型」。
「評価基準型」では、劣化対策・耐震性を基準以上のスペックにリフォームします。
さらに「省エネ性・維持管理性」のうち、いずれか1つを基準以上のスペックにリフォームします。(戸建ての場合)
補助金の上限は100万円。
中古住宅を購入し、最低限のリフォームで済ませたい人におすすめです。
「認定長期優良住宅型」とは、「評価基準型」よりも高い基準をクリアした中古住宅です。
新築住宅でいうと「長期優良住宅」にあたり、断熱性が高く、長く快適に住める家になります。
補助金は最大200万円もらえますので、住宅購入時にまとめてリフォームしたい人におすすめです。
「高度省エネルギー型」では、最大250万円がもらえます。
「長期優良住宅型」の基準を満たし、かつ消費エネルギーの省エネ基準より20%削減が必要です。
補助金の計算方法・対象となるリフォーム工事
長期優良住宅型リフォーム推進事業の補助金は、
「対象となるリフォーム工事費 × 1/3」
で計算します。上限はそれぞれのリフォーム内容によって変わります。
対象となるリフォーム工事は次のようなものが含まれます。
劣化対策 | 土台、柱、筋交いの防蟻処理 |
ユニットバスの交換 | |
脱衣室の防水処理 | |
防湿コンクリートの設置 | |
小屋裏換気口、点検口の設置 | |
耐震改修 | 耐力壁の設置 |
金物補強 | |
基礎補強 | |
屋根の軽量化 | |
省エネ | 断熱材設置 |
玄関ドアの断熱化 | |
ヒートポンプの設置 | |
維持管理 | 排水管更新 |
配管点検口の設置 |
補助金の対象となるリフォーム工事は、劣化対策や耐震性、断熱工事などであり、
- 間取りの変更
- 壁紙の張り替え
- 内装工事(キッチンの入れ替えなど)
は、対象工事に含まれません。
インスペクション(住宅診断)を受ける必要がある。
長期優良住宅化リフォームの補助金を受けるためには、インスペクション(住宅診断)を受ける必要があります。
インスペクションとは、指定された建築士や住宅診断士(ホームインスペクター)により住宅の劣化状況、欠陥の有無などを発見・診断することです。
インスペクションを受けることで、
- いつごろ、いくらぐらいの費用がかかるのか?
- あと何年持つのか?
などが分かるようになります。
インスペクションによって劣化などが指摘された場合、その部分をリフォームして修繕することが必要です。
またインスペクションの費用も、補助金の対象となります。
申請方法
長期優良住宅化リフォームの補助金の申請方法は2つあります。
- 通期申請タイプ:2019年5月10日~2019年12月20日まで
- 事前採択タイプ:2019年4月10日~2019年5月17日までの公募期間に応募(2019年実績)
このうち「事前採択タイプ」では、「提案型」での申請が可能です。
「提案型」とは、「劣化対策」「耐震性」「省エネルギー性」など、各分野ごとに独自に提案して申請する方法です。
購入する中古住宅が、「評価基準型」・「長期優良住宅型」・「高度省エネルギー型」のいずれにも含まれない場合に利用できます。
3世代同居対応改修工事について
リフォームをする際に3世代同居対応のリフォームをすると、対象となるリフォーム費用の1/3が補助金として支給されます。上限は50万円です。
補助金の適用条件
3世代同居対応改修工事の補助金の適用条件は、3世代同居住宅であると認められることが必要です。
3世代同居住宅と認められる住宅とは、
「キッチン、トイレ、浴室、玄関のいずれか2つ以上が複数個所ある住宅」
と定められています。
たとえば、
トイレ | 2 |
キッチン | 1 |
浴室 | 1 |
玄関 | 1 |
このような間取りでは、トイレは2カ所ありますが、それ以外が1カ所しかないので、3世帯同居住宅とは認められません。
トイレ | 1 |
キッチン | 2 |
浴室 | 1 |
玄関 | 2 |
こちらの間取りではトイレは1カ所だけです。しかしキッチン・玄関がそれぞれ2カ所あるので、3世帯同居住宅と認められます。
ただし補助金の対象となるためには、リフォームによって3世帯同居住宅になることが必要です。
ですので、たとえキッチン・玄関がそれぞれ2カ所ある住宅でも、最初から2カ所である住宅は補助の対象にはなりません。
改修ではなく、増設である必要があります。
対象となる工事の種類。
3世代同居対応改修工事の補助金の対象となる工事には、次の種類があります。
キッチン | 台所流し、ガスコンロ、IHクッキングヒーター、作り付け食器棚、ビルドイン食洗器の設置工事 |
浴室 | 浴室、シャワー、ユニットバスの設置工事。手すりの設置も可 |
トイレ | 便器、手洗い、トイレットペーパーホルダーの設置工事 |
玄関 | 玄関ドア、玄関土間の設置工事。ポスト、インターホン、手すりの設置も可。 |
ただし、キッチン・浴室の設置工事でも対象とならない工事もあります。
・給排水に接続されていないキッチン、浴室、トイレ。
・脱衣所の洗面設備。
・勝手口(居室や車庫に直接出入りするもの)
また補助金の趣旨はあくまでも「リフォームして3世帯同居住宅にする」になるので、すでに3世帯住宅の「改修リフォーム」は補助の対象になりません。
長期優良住宅化リフォーム補助金のまとめ
既存の中古住宅をリフォームし、一定の基準をクリアすることでもらえる、長期優良住宅化リフォーム補助金。
もらえる補助金は、対象となるリフォーム工事代金の1/3になります。
補助金の上限額は、クリアする基準のレベルによって変わります。
- 最低基準の耐震性・劣化対策などをクリア(評価基準型) → 最大100万円
- 長期優良住宅と同等のリフォーム(認定長期優良住宅型) → 最大200万円
- さらに省エネ基準より20%を達成(高度省エネルギー型) → 最大250万円
またリフォームによって3世代同居住宅にすると、最大50万円の補助金が上乗せされます。
補助金を受けるためには、インスペクション(住宅診断)を受け、住宅の劣化状況を診断する必要があります。
中古住宅の購入後、安心して長く住み続けるためにも、ぜひ利用したい制度ですね。