念願の家づくりが進んで、いよいよ建物の完成が近いという人が知っておきたい注文住宅の竣工検査に関する基礎知識とチェックポイント(検査項目)を解説します。
住宅トラブルの多くは、竣工後・引渡し後に発生しています。引渡し後に後悔しないために竣工検査のことをきちんと理解しておきましょう。
1.注文住宅の竣工検査とは
竣工検査とは、ここでは建築会社に発注していた工事が完了して建物が完成したときに施主が行う検査のことを指しています。建築会社が行う社内検査も竣工検査と言うことはよくあることですが、建築会社が自ら行う検査とは別に行う施主による検査があることを知っておきましょう。
竣工検査で行うことは、主に以下の2点にわけることができます。
- 建築会社に注文したとおりに建物ができているかどうか、図面や仕様書と現地で照合すること
- 施工ミス等がないか施工品質をチェックすること
建売住宅であっても買主が同様のことを行いますが、注文建築においても行うことなのです。そして、リノベーション工事をしたときも竣工検査を行います。
2.竣工検査で施主がチェックすべき項目
注文住宅の竣工検査で施主がチェックすべき具体的な項目は非常に広範囲にわたります。そのなかで大事な項目、よく施工ミス等の問題が起こっている項目を中心に、「建物外部」「建物内部」「床下・小屋裏」にわけて説明します。
2-1.建物外部でチェックすべき項目
建物外部で対象となる範囲は、基礎(建物の外側部分)、外壁、軒裏、屋根、バルコニーなどです。しかし、このうち屋根はフラットルーフでもない限り、屋根へ上がってチェックするのはあまりに危険ですから、安全な場所(バルコニーや庭など)から確認できる範囲で、チェックするようにしましょう。
それでは具体的な項目をあげておきます。
<基礎(建物の外側部分)>
- ひび割れ
- ジャンカ
- 欠損
- 基礎の高さ
- 水きり金物
<外壁>
- 仕上げ材(サイディング等)の欠損・ひび割れ
- 継ぎ目のひび割れ
- サッシ周りのひび割れ
<軒裏>
- 欠損・ひび割れ
- 水染み
<屋根>
- 仕上げ材のずれ・割れ
<その他>
- 雨樋の設置状態・ぐらつき
- サッシ以外の開口周囲のひび割れ
- バルコニーの防水状況
- バルコニーのサッシ下の収まり
2-2.建物内部でチェックすべき項目
次に建物内部のチェック項目です。各部屋・スペースにおいて、床・壁・天井・設備関係を丁寧にチェックしていこましょう。具体的な項目は以下の通りです。
<床>
- 傾き
- 不陸
- 床鳴り
<壁>
- 傾き
- ひび割れ
- クロスの継ぎ目の状態
<天井>
- ひび割れ
- クロスの継ぎ目の状態
<その他>
- 扉・引き戸の動作状況
- 建具の傾き・歪み
- サッシの動作状況
- サッシ枠のビス止め
- 水道設備(キッチン・洗面・トイレ・浴室)の排水テスト
- ユニットバス天井点検口の内部(特にダクト・配線)
基本的に動作させることができるものは、棚も含めて動かしてみて異常を感じないかチェックしてください。動作させるには重過ぎるとか、ぎこちないというものについては、調整できるかどうか建築会社と相談するとよいでしょう。
また、ユニットバスの天井点検口からは、筋交い等の構造部分を確認できることもありますから、目視できるときは見ておきましょう。
2-3.床下や小屋裏でチェックすべき項目
床下や小屋裏は、生活し始めてから見ることのないスペースであり、異常があってもなかなか気づきづらいところです。引渡し前に行う竣工検査は大事な機会ですから、床下と小屋裏の内部もチェックしておきたいところです。
ただ、点検口から内部へ侵入してチェックすることは、建築業界の人でもない限り危険ですから、内部へ入ってまでご自身でチェックすることはお奨めできません。
<床下>
- 基礎(床下側)のひび割れ・ジャンカ
- 配管の設置状態(ぐらつき)
- 排水管の勾配
- 土台・大引等の構造とその金物の設置状態
- 断熱材の設置状態
- 防蟻材の施工有無
<小屋裏>
- 梁・柱等の構造とその金物の設置状態
- 断熱材の設置状態
- 水染み(雨漏り・結露の可能性)
以上、各スペースにおける主だった項目をあげておきました。
3.専門家のホームインスペクションを利用するという選択肢
上に注文住宅の竣工検査でチェックすべき項目をあげましたが、ここへ挙げたものだけで全てというわけではありません。しかし、よく施工不良などとして指摘に挙がる項目は概ね網羅していますので良い参考になるはずです。
ただ、項目を見ていくとわかると思いますが、チェック項目を適切に確認していくためには、建築検査の専門知識や経験が問われるものも多いです。また、床や壁の傾きを確認するためには、専門機材を使用したほうが確認しやすいです。
そして、引渡し前に建築会社に対して指摘しておかないと、入居後に気づいてから指摘しても対応してもらえないようなケースもありますし、対応してもらえたとしても、補修工事中の対応が面倒だということもあります。
よって、家づくりの大事な総仕上げの作業でもある竣工検査は、専門家に依頼して施主の代わりに、または施主と一緒にチェックしてもらう方法も検討するとよいでしょう。