最大125万円(+60万円)もの補助金※がもらえる、ZEH(ゼッチ:ゼロ・エネルギー・ハウス)。
大きな金額がもらえるので、補助金目的にZEHの導入を検討する方も多くいます。
もちろんZEHにすることで、
・最大125万円(+60万円)もの補助金※がもらえる。
・高気密、高断熱の家が建てられる。
・最新のHEMSを導入できる。
・光熱費を抑えられる。場合によっては、売電価格でプラスになることも。
などのメリットもあります。
しかしZEHの導入にはデメリットもあります。
そのため単純に補助金だけを目的に導入すると、家作りに後悔が残るかもしれません。
この記事ではZEHのデメリットについて解説していきます。
またデメリットを踏まえた上で、「ZEHは導入すべきか?」のポイントを考察していきます。
※ZEH+Rの条件を満たし、蓄電池システム・太陽熱利用温水システムなどを導入した場合。
ZEHの5つのデメリット
ZEHのデメリットは5つあります。
1・建築費用が高くなる。
2・太陽光発電は不安定である。
3・屋根の形、間取りが制限されることもある。
4・高性能な設備(HEMS)が故障したとき、修理代が割高になる。
5・家を建てるスケジュールが決まっている。
それぞれ解説していきます。
1・建築費用が高くなる
ZEHの補助金を受けるためには、定められた家の性能を満たす必要があります。
家の断熱性・気密性を高め、省エネ基準よりも20%以上の省エネが必要です。
そのため高性能な断熱材、丁寧な気密処理が必要となり、非ZEH住宅よりも建築費が上がってしまいます。
また屋根に一定量以上の太陽光パネルも乗せなくてはいけません。
もっともシンプルな補助金「ZEH」では、70万円の補助金がもらえます。
しかしZEHの補助金70万円だけでは、ZEHにするための費用(断熱材・気密処理・太陽光パネルなど)は足りません。
補助金だけでZEHに対応するのは難しく、手元のお金から持ち出す必要があります。
2・不安定な太陽光発電。故障リスク・売電価格の下落も…。
ZEHのポイントは屋根に乗せた太陽光発電です。
しかし太陽光発電はシミュレーション通りにならず、安定しないデメリットがあります。
太陽光発電のピークは夏場です。しかし肝心の夏が天候不順でくもりが多いと発電量が下がり、年間の発電量も少なくなってしまいます。
シミュレーションでは太陽光パネルの費用もペイできたかもしれませんが、実際に運用してみると当初の想定より下回ることが多いようです。
また太陽光パネルは故障リスクがあります。
・台風などでパネルが破損する。
・パワーコンディショナーの故障。
・太陽光パネルの劣化。
もし想定より早く故障してしまうと、それだけ余分な費用が発生してしまいます。
さらに無視できないのが、売電価格の下落。
太陽光発電の売電価格は年々下落しており、この先ずっと同じ収益を確保できるかは不透明です。
3・屋根の形・間取りが制限されることがある。
太陽光発電で発電量を増やすポイントが、屋根です。
太陽光発電は南向きがもっとも発電効率が高く、逆に北向きがもっとも悪くなります。
そのためZEHに対応させようとすると、一定以上の発電量を確保する必要があり、屋根の向き・形に制約があります。
「ZEHに対応させるには、希望の屋根を諦めなくてはいけない…」
という判断もありえる話です。
またZEHでは、高断熱・高気密・省エネ基準よりも20%以上の省エネが必要です。
そのため間取り(窓・開口部の大きさ、位置、数など)に制限が出る可能性もあります。
4・高性能な設備(HEMS)が故障したとき、修理費が割高になる。
ZEHをさらに高性能にしたZEH+(ゼッチプラス)では、HEMSの導入が必要です。
HEMSとは「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム」のこと。家庭で使用する電気を、モニターで管理します。
太陽光パネルはもちろん、
・家庭で使用する電気製品(エアコン・照明・エコキュート・全館空調など)
・エネファームなどのガスエネルギー
の使用量を集中管理します。
しかしHEMSは非常に性能が高い分、故障したときの修理費が割高になりがちです。
5・家を建てるスケジュールが決まっている。
ZEHのデメリットは、家を建てるスケジュールが決まってしまうこと。
ZEHでは毎年決まった時期に申し込みをし、定められた期間内に家を建てる必要があります。
【ZEHの申し込み・建築時期】
申込み:例年5~7月ごろ
建築:8月~翌年1月
ZEHでは建築時期が8月~翌年1月に決まっています。
そのため冬~春・初夏(2~7月)の建築・入居ができません。
自分の都合を優先できないのは、大きなデメリットでしょう。
ZEHは導入すべきか?必要性を考えるチェックポイント
これらのデメリットを踏まえた上で、ZEHは導入すべきなのでしょうか?
必要性を考えるポイントは次の3つです。
初期費用が上がっても、入居後の光熱費を抑えたい。
ZEH対応住宅は断熱性・気密性が高く、省エネ基準よりも20%以上省エネにする必要があります。
そのため入居後の光熱費は、非ZEH住宅よりも安くなる傾向があります。
初期費用こそ高いですが、10年・20年と長い目で見れば、コストの回収も可能です。
ZEHの補助金を利用すれば、お得に光熱費のかからない家が建てられます。
月々の光熱費を抑えたいと考える方は、ZEH対応を検討してもいいでしょう。
ただし光熱費の削減はZEH対応に関わらず、断熱性・気密性・省エネ性を高めた結果によるもの。
ZEHの条件を満たさなくても、光熱費を削減することは可能です。
間取り・デザインよりも、断熱性・気密性を優先したい。
「家は間取りやデザインよりも、断熱性・気密性などの性能を充実させたい」
と考えている方は、ZEH対応を考えてもいいでしょう。
ZEH対応にすることで、断熱性・気密性が上がることはもちろん、HEMSによるハイテク設備によるエネルギーの集中管理ができます。
スケジュールさえZEHの都合に合わせれば、最大125万円(+60万円)の補助金がもらえます。
スペック重視で家作りしたい方は、ぜひ利用したい補助金ではないでしょうか?
補助金のある内に住宅設備を充実させたい。
近年ではローコストハウスメーカーでも、断熱性・気密性の高い家を建てるようになりました。
またエコキュートなどの省エネ設備の価格も、ぐっと安くなりました。
今後ますます高断熱・高気密の家は普及し、省エネ設備も当たり前になっていくことでしょう。
ですので、補助金のある今のうちに、ZEHに求められる設備を導入してしまうのも1つの選択です。
今後普及して当たり前になる設備を、補助金を使って導入してしまう。
ZEHの都合に合わせて家を建てる必要こそありますが、最大125万円(+60万円)もらえる補助金は無視できない金額です。
まとめ:デメリットも抑えて、ZEH補助金を賢く利用しよう。
最大125万円(+60万円)ももらえるZEH補助金。とても魅力的ですが、次の5つのデメリットを抱えています。
1・建築費用が高くなる。
2・太陽光発電が不安定である。
3・屋根の形、間取りが制限されることがある。
4・高性能な設備(HEMSなど)が故障したとき、修理費が割高になりがち。
5・家を建てるスケジュールが決まっている。
ZEHを導入することで高気密・高断熱で省エネ住宅がお得に建てられますが、ZEH対応とするにはZEHの条件を飲まなくてはいけません。
ただしもらえる補助金は非常に大きいです。ZEHのデメリットを抑えつつ、補助金を賢く利用していきたいところですね。