建売住宅を購入するとき、建物に欠陥がないか、手抜き工事をされていないかといった建物本体に関するリスクについては注意している買主は多いですが、外構や敷地周りについては何も考えていない人が少なくありません。しかし、建売購入後に外構に関することで後悔したり、売主とトラブルになってもめたりしている人は意外と多いものです。
建売住宅の購入で失敗しないため、売買契約の前に外構について注意しておくべきポイントを5つに絞って紹介します。
1.隣地との境界
建物本体以外の外構や敷地周りに関することで、1つの大事なポイントは境界です。境界は、中古住宅や更地の売買の際に注意すべきポイントとして挙げられることが多いですが、実は新築住宅の売買に際しても確認しておきたい項目なのです。
1-1.境界位置がどこか把握する
最初にすべきことは、境界の位置がどこであるか確認することです。一般的な四角形の土地であるならば、境界のポイントは4箇所ですね(4つのコーナー部分)。このとき、コーナーの4箇所の位置だけを確認するわけではなく、コーナーとコーナーを結ぶ境界線がどこであるかも確認しなければなりません。
確認する方法は、売主か不動産仲介業者に現地立会いもとで教えてもらうことです。もちろん、そのときに地積測量図も用意してもらって、図面と現地を照合しながら確認した方がよいです。
一般的な売買契約書には、引渡しまでに現地で境界位置の確認をすることが明記されておりますが、後のトラブルを抑制するため、契約前の現地見学時にも聞いておきたいものです。
1-2.境界標が明確であるか確認する
現地で境界位置を確認するとき、それを明確に示すものがあるかも確認しなければなりません。たとえば、土地の角(コーナー)の境界標には、以下のようなものが用いられることがよくあります。
境界標には、コンクリート杭やプラスチック杭、金属プレート、金属鋲などがあります。金属鋲は小さいので、境界だと気づかない人もいるかもしれません。
境界線の説明によくあることの1つに、隣地との境にあるブロック塀の真ん中が境界だというものがありますが、ときにはブロック塀が全て隣地のもの、または逆に購入する土地側のものということもありますから、きちんと説明を受けて理解しておきましょう。
2.塀・フェンス(有無と劣化状況)
次に、境界にある塀やフェンスに関するチェックポイントを紹介します。
2-1.売買対象に含まれているか
建売住宅の場合、売買価格のなかに隣地との境界や道路との境界に構築する塀やフェンス等が含まれていないことも少なくありません。こういったものを別枠で設定することによって、物件の価格を安く見せようという業者の考えもありますが、外構工事を買主の好きなところに、好きなデザインで発注できるというメリットもあります。
但し、売買価格に含まれず他社で発注する場合、その工事費を住宅ローンに組み入れることができないため、自己資金にゆとりがないときは困ってしまいますね。予算との兼ね合いも考慮して、塀やフェンスなどの構築物が売買価格に含まれるかどうか確認しましょう。
2-2.古い塀やフェンスに要注意
また、境界に古い塀がある場合は要注意です。ずっと以前からそこに存在するブロック塀や万年塀をそのまま再利用する建売住宅もありますが、その塀の状態によってはとても危険なことがあります。目視しただけで著しい劣化が確認され、倒壊のリスクが考えられることもあれば、軽く触ってみたら簡単に揺れているということもあります。
必ず、契約する前に目視や触れることで劣化状態を確認するようにしてください。万一、倒壊して子供の上に倒れてきたり、道路前を歩く人に倒れてしまったりしても大変ですし、建物本体に当たってダメージを受けても大変ですね。
2-3.実は新しいフェンス等も確認すべき
古くないフェンスでも少し体重をかけると大きく揺らぐケースもありました。フェンスの設置工事が適切でなかったものです。ですから、フェンス等の構築物が新しいものであっても、手抜き工事でないか確認すべきです。住宅診断(ホームインスペクション)を多く手掛けているアネストの実績では、建物本体よりも外構工事の方が手抜きされる確率は高いです。施工業者の意識も低くなりがちなのかもしれません。
3.越境物の有無と事前解決
次に紹介するのは越境物のチェックです。なかには、越境物があることをわかっていてもそれほど問題視せず、何の対処も取らずに購入する人もいますが、何年も経過してから後悔していることもあります。
3-1.越境はされるのも、するのもよくない
越境物とは、隣地との境界を超えるもののことで、隣地から建物などの建築物・構築物の一部が越境していることや、購入する物件の植栽の一部が隣地へ越境してしまっていることなどがあります。越境されていることも、越境してしまっていることも問題なわけです。
3-2.植栽や構築物等の越境を要チェック
特に、植栽の一部が越境していることを全然気にせずにいる人は多いですが、意外と隣地とのトラブルになりがちです。
冬や春先の時点では少しの越境だったものが、夏の植物が育ったときには越境範囲・量が大きくなっていることがあり、隣地に植栽の伐採などをお願いしても思うように対応してもらえないということもあります。また、遠慮してなかなか言えない人も多いです。
建築物・構築物でいえば、仮設倉庫が越境していることもあれば、屋根や樋の一部が越境していることもありますから、現地で越境物を確認するときには、必ず目線よりも上方向も確認してください。都市部の狭小地での事例ですが、新築の建売なのに屋根が隣地と被っていることもありました。
3-3.越境物があるあら契約前に解決すべき
越境物がある場合、その解決を売買契約前に売主側でしておいてもらうことが重要です。隣地から購入する物件へ越境があるならば、その解決方法と時期を取り決めて覚書などを交わす形が、現実的でもあり望ましい形です。売買契約書や重要事項説明書に越境物があるとだけ書かれていて、解決策が示されていないことも多いですが、それではリスクを知って買ってしまったことになってしまうので注意しましょう。
植栽の越境なら直ちに越境部分を伐採してもらい、且つ伸びて再び越境したときにも対処してもらうこと、構築物なら直ちに対処できるものならば直ちに対処してもらうこと、現実的に直ちに対処できない場合には将来の対処を約束してもらうことがポイントです。
4.カースペース(広さと使い勝手)
カースペースのある建売住宅の場合、その広さと使い勝手には注意しておくべきです。保有する車を駐車できるサイズかどうかということはもちろんですが、駐車しやすいかどうかもチェックしましょう。
スペースに十分なゆとりがないときや前面道路の幅が狭いときなどには、駐車しづらいことがあります。できれば、実際に駐車テストをさせてもらいたいところですが、駐車スペースにタイヤ跡が付くようなことがあれば問題になりうるため、テストさせてもらえないことも多いです。
駐車時の切り返しのこともよく考えて判断してください。
5.敷地の状況(陥没・排水)
最後に紹介するのは、敷地そのものの状況に関するポイントです。暮らし始めてから、庭の一部が陥没していることに気づいて心配になり相談されることがあります。また、敷地内にたまった雨水がいつまでも残ってしまって困っているという相談も多いです。
土地の陥没については、その陥没箇所だけで判断せず、できれば床下の状況も確認して判断した方がよいです。部分的に土の埋め戻しと締め固め不足であれば、解決が難しくないのですが、それが広範囲に及ぶ場合や床下にまで問題がある場合には原因追及と補修・補強等の適切な工事が必要になることもありますから、状況次第では専門家への相談も検討しましょう。
また、敷地内に溜まった雨水がいつまでも無くならない場合には、もともとの排水計画に問題があった可能性が考えられます(計画の問題というよりも何も計画していない問題ともいえる)。雨水が敷地外へ流れ出るよう配慮していないとこのような事象が生じることがあり、基礎や外壁に早い時期からカビが生えたり、床下の湿度があがったりすることもありますから要注意です。
物件見学の際は敷地の状況もよく見ておき、不自然に変混んでいる箇所がないか見ておくことと、雨の降った後に見学して雨水が溜まっていないか見ることも大事です。
以上、建売住宅を購入する前に確認しておくべき、外構や敷地周りのチェックポイントです。良いマイホーム購入のために活用してみましょう。