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新築住宅(建売物件)の購入から引渡しの流れと注意点

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新築住宅(建売物件)の購入から引渡しの流れと注意点

はじめて新築の建売住宅を購入する人にとっては、取引の流れはわかりづらいものです。不動産会社から次は何をするべきか教えてもらいながら、全体像を把握せずに取引を進めていき、途中で不信感を抱く人も少なくありません。

はじめてのことで知らないことを理解しないままに進めていくことに漠然とした不安を感じるのは当たり前のことです。しかも、数千万円もの高額な買い物となれば、尚更です。新築建売住宅を購入する人が知っておくべき取引の流れについて、購入前後から引渡しを受けるまでの詳細を解説します。

また、大事な注意点も織り交ぜて解説しているので、安心できる建売住宅の購入に役立ててください。

1.新築の建売住宅を購入する流れ

最初に購入する流れを紹介します。気に入った物件を見つけてから、最初に起こすアクションは購入の申し込みですが、そこから引渡しを受けるまでの流れの全体像を以下で確認してください。

  1. 不動産購入の申し込みと住宅ローンの仮審査
  2. 買主と売主による購入条件(売買価格等)の交渉
  3. ホームインスペクション(住宅診断)
  4. 重要事項説明と売買契約と手付金の支払い
  5. 住宅ローンの申し込み
  6. 建築途中の住宅検査(未完成の建売住宅を契約した場合)
  7. 中間金の支払い(未完成の建売住宅を契約した場合)
  8. 建物の完成(未完成の建売住宅を契約した場合)
  9. 引渡し前の立会い検査(完成検査)
  10. 金融機関との金銭消費貸借契約
  11. 残代金の決済と住宅の引渡し

以上が一般的な建売購入の流れなのですが、全ての取引においてこの順序で進むとは限りません。取引によっては、順序が前後することや条件によっては必要ない項目もあるので、ここでは全体像をざっくりと掴むつもりで見ておいてください。

詳細は以降で。それぞれの項目の注意点も交えて解説します。

1-1.不動産購入の申し込みと住宅ローンの仮審査

購入したい建売物件を見つけたら、まずは不動産購入の申し込みを行います。不動産会社が用意する購入申込書にサイン・押印して売主へ提出するのですが、仲介業者を介している場合はその業者に提出し、その業者から売主へ提出することになります。

不動産購入の申し込み時に、申込証拠金(申込金などの別称も多い)を支払うことが多いですが、その金額は5~10万円程度であることが一般的です。ただ、申込証拠金がなく、書面にサインして提出するだけでOKということもあります。

購入の申し込みをするとき、前後して住宅ローンの仮審査をすることが多いです。この仮審査で金融機関の仮承認を得なければ申し込みを受け付けてもらえないこともあります。

ここでの注意点は以下の3点です。

不動産購入の申込証拠金はキャンセルしても返金される

不動産購入の申し込みをしてから、購入を中止(キャンセル)した場合、支払い済みの申込証拠金を返金しないと不動産会社から説明を受けることがあります。しかし、この多くは虚偽説明ですから注意してください。

売買契約を締結する前に支払った金銭は、キャンセルしたときには基本的には返金されますので、泣き寝入りせずに返金交渉をしてください。

申込証拠金が高額なら要注意

申込証拠金の金額は一般的には5~10万円程度であるのは前述のとおりです。しかし、不動産会社によっては50万円や100万円といった高額な金銭を要求することがあるので注意しなければなりません。高額な金銭を求める業者には、上にあげたようにキャンセルしたときに返金しないと言い張ってトラブルになる可能性が高いです。

仮審査は複数の金融機関でもOK

住宅購入に際して、住宅ローンの審査を無事にパスできるか心配している人も少なくありません。仮審査で不承認なら購入することはできないわけですが、1つの金融機関でダメだったからといって簡単にあきらめる必要はありません。

複数の金融機関に申込してOKですし、同時に申込しても構いません。不安があるなら、考えてみてはいかがでしょうか。

価格交渉

1-2.買主と売主による購入条件(売買価格等)の交渉

購入申し込みをする際、その申込書には買主の希望する購入条件を記述するものです。その希望条件を売主が受け入れるかどうかは別ですが、よく考えて希望を出しておくべきです。

特に重要な条件の1つが購入金額です。もちろん、価格交渉を一切せずに、売主の提示する販売価格で購入してもよいわけですが、値引き交渉するのも自由です。この交渉は購入申込書を提出するときから始まると思っておいてください。

交渉に際して買主が知っておくべき注意点は以下です。

不動産仲介業者が買主の味方とは限らない

価格交渉は買主と売主の間で行うものですが、取引の間に不動産仲介業者がいる場合、買主はこの仲介業者に交渉について相談しがちです。このとき、本当に買主のことを考えてアドバイスしてくれる営業マンもいるかもしれませんが、それは少数派です(実際にはほとんどいないかもしれません)。

その理由は、仲介業者と買主の利害は不一致だからです。住宅の売買には、できる限り安く買いたい買主、できる限り高く売りたい売主、そしてとにかく取引を成立させたい仲介業者の3者がいることをまずは理解してください。

そして、仲介業者にしてみれば不動産売買のプロである建売住宅の売主よりも、素人である買主の方が圧倒的にコントロールしやすいわけです。とにかく取引を成立させて仲介手数料を得たい立場としては、買主の利益よりも取引成立を目指しますから、買主のためになるアドバイスはしないことが多いのです。

1-3.ホームインスペクション(住宅診断)

新築建売住宅の購入を決断する前に、第三者のホームインスペクション(住宅診断)を利用して、建物の状況を把握し、施工不具合をチェックしておく人は多いです。これは、任意ですから、全ての人が利用するわけではありませんが、利用する人も多いです。

売主や工務店のなかには、施工不具合の補修にかかる手間やコストをかけたくないと考える会社も多く、気づいている不具合を放置していることもあれば、売主側も気づいていないものもあります。

建築過程で売主側が利用する住宅検査機関が現場で検査しているにもかかわらず、全国で欠陥住宅問題がなくならないのですが、その理由の1つは売主側が依頼する検査機関の検査があまりにも簡易的なものだからです。

そこで、買主が自らホームインスペクション(住宅診断)を依頼するようになってきた背景があります。ホームインスペクション(住宅診断)に関して買主が知っておきたい注意点も紹介します。

売主や工務店側の住宅検査機関では不十分

買主がホームインスペクション(住宅診断)を入れたいと不動産会社へ伝えたとき、「すでに第三者機関の検査を受けたから大丈夫だ」と説明されることが多いです。

しかし、不動産会社がいう第三者機関は前述のとおり簡易的な検査であって、買主の目線で診断してくれているわけではありません。10~20分程度の検査をしているにすぎず、施工不具合の見過ごしは非常に多いです。本来なら1.5~2時間程度の時間をかけて診断すべきところを短時間で済ませてしまうわけですから、全てチェックしてもらうことに無理があるのです。

また、不動産会社から、自社の息がかかった検査会社を紹介されることがありますが、結局は同じことですから、買主の立場を考えてくれている第三者のホームインスペクション(住宅診断)会社に依頼するようにしましょう。

住宅診断(ホームインスペクション)

ホームインスペクション(住宅診断)の拒否業者に要注意

ほとんどの場合、ホームインスペクション(住宅診断)の受け入れを拒否することはありませんが、稀に拒否されるケースが報告されています。自信のある住宅ならば、第三者に診てもらってもよいはずなのに、なぜ拒否するのでしょうか。

拒否されたケースに限って、購入してからの診断で大きな瑕疵が見つかっている事例も少なくないので、買主は注意すべきです。

ホームインスペクション(住宅診断)の実施タイミング

売買契約の前にホームインスペクション(住宅診断)を実施して、購入判断の参考とするわけですが、不動産購入の申し込みの前に実施するケースと後に実施するケースがあります。

買主の立場だけを考慮すれば、申込後・契約前のタイミングがベストなのですが、売主によっては申込前に診断して、購入意思をより固めてから申し込みするよう要望されることもあります。これは、売主の主張も理解できることです。

申込前に診断依頼するならば、速やかに日程調整して実行するようにしてください。

1-4.重要事項説明と売買契約と手付金の支払い

購入申し込みと住宅診断の次は、いよいよ売買契約ですが、その前には必ず重要事項説明が行われます。重要事項説明とは、売買対象の不動産(土地・建物)とその取引に関して重要なことについて、不動産会社から説明を受けることです。

その説明内容をしっかり聞いて、不安点・不明点を無くしてから売買契約を締結することが理想です。

契約の締結に際して支払う金銭が手付金です。手付金は、買主都合で契約を解除(キャンセル)しても返金されないものですから、購入申し込み時に支払う申込証拠金とは異なる性質のものだと理解してください。

売買契約に際しての注意点は以下の2つです。

重要事項説明書と売買契約書を事前入手して要チェック

重要事項説明も売買契約も、契約時にはじめて説明を受けたところ理解することは難しいでしょう。営業マンにもきちんと理解せずに書面を読み上げるだけの人が少なくないくらいです。

そこで、買主は、必ず重要事項説明書と売買契約書を契約日よりも前の日までに入手して、じっくりと時間をかけて読み込んでおくべきです。そして、疑問点などをリストアップして、事前に不動産会社に質問しておきましょう。

つまり、契約日を迎えるよりも前に疑問点などを解消しておくわけです。これをせずに契約に臨んでも、何もわからないままサインすることになり、後から問題を発見して後悔することもあり得ます。

手付金の金額

手付金は、買主都合で解約したときには返金されないものだと説明しましたが、万一の解約に備えて手付金が高額になりすぎないように配慮したいものです。そのためにも、一般的な手付金の額を把握しておきましょう。

よく見られる金額は、売買価格の10%以下です。それでも、高額な物件、たとえば5,000万円なら10%で500万円にもなりますので、万一の時には負担が大きいです。

高額物件の場合は売買価格に対する割合を無視して、200万円程度に手付金を設定していることも多いです。また、高価格帯の建売住宅ではない場合でも、自己資金が多くない人の取引では、手付金を50万円程度に抑えることも多いです。この点は不動産会社と相談して決めてください。

1-5.住宅ローンの申し込み

建売の購入時に住宅ローンを利用する人は多いですが、その場合、売買契約の後に融資の申し込みをすることになります。契約前の仮審査をしていた金融機関に申し込みしてもよいですが、その他の金融機関に申し込みしても構いません。

金融機関の選択については、不動産会社が主導するものに任せず、インターネットで情報を見て比較検討してください。少しの金利の違いが、100万円超の総返済額の違いを生むことは非常に多いです。

1-6.建築途中の住宅検査(未完成の建売住宅を契約した場合)

建売住宅とは、まだ建築中の物件を契約することもよくあります。建築工事が始まっていない物件の契約をすることも少なくありません。

こういった未完成の新築住宅を購入する場合、買主にとって大きなメリットの1つが、建築途中に施工不良がないかチェックする機会を得られることです。売主側の検査機関は短時間で簡易な確認しかしていないため、買主が自らチェックしたいのですが、専門知識がありません。そういうときは、第三者の住宅検査を依頼すると効果的です。

1-7.中間金の支払い(未完成の建売住宅を契約した場合)

中間金とは、売買契約をしてから引渡しを受けるまでの途中の段階で買主が売主へ支払う金銭で、売買代金の一部とするものです。注文建築では必要となることが多いものの、建売住宅では中間金が必要となることはあまり多くありません。

それでも、未完成の建売住宅を購入するときには、中間金の支払いを求められることもあります。未完成物件だからといって必ず生じるものではないことを知っておきましょう。

中間金の払い過ぎに要注意

中間金は、建物の出来高に応じて支払うとする考え方が一般的です。上棟したときに、その出来高に応じた金額を設定して支払うというものです。ただ、融資を利用せずに全額を現金で支払う買主に対して、早い段階で明らかに出来高を上回る中間金を要求されることがあるので注意してください。

たとえば、土地代金以外に、建物代金が1,500万円であったとして、契約時に手付金100万円を支払い、上棟時に中間金1,000万円を支払う条件であれば、払い過ぎでしょう。

1-8.建物の完成(未完成の建売住宅を契約した場合)

建物の完成

未完成の物件を契約した場合、契約後しばらくしてから建物が完成します。このときまでは、待ち遠しい気持ちでいっぱいかもしれません。ただ、完成してから後の買主の対応が非常に大事なので、この後の流れに注視してください。

1-9.引渡し前の立会い検査(完成検査)

未完成物件を買ったならば完成後に、完成物件を買ったならば、契約してから早い時期に引渡し前の立会い検査が行われます。完成検査や買主検査などと言われることもあるものです。

この目的は、購入した住宅が、契約したとおりのものであるか確認することと施工不具合などの問題がないか確認することです。引渡し前にそういった問題を確認して、買主から売主へ補修等の対応を求めておく必要があるのです。ここをおろそかにしていると、入居してから様々な問題に気づいて後悔することも多いです。

買主から求めないと立会い検査の機会がないことも

引渡し前の立会いの機会は内覧会や確認会と呼ばれることもありますが、この機会は本来ならば売主側から買主へ案内して実施すべきものです。しかし、この機会をもうけずに引渡してしまう業者もあるので要注意です。

売主側から案内がない場合は、買主から積極的に働きかけて立会いの機会を設けて頂きましょう。

立会い日と引渡し日の期間に余裕が必要

立会い検査の際に指摘したことを補修してもらわなければなりませんから、補修工事に要する期間が必要です。立会いの翌日に引渡しでは補修する暇もないわけです。そこで、立会い日は引渡し日の1週間~2週間の期間をあけてもらうようにしましょう。

●専門家のチェックが効果的

購入時の最終チェックという大事な局面ですから、専門家に同行してもらう方法も検討しましょう。施工不良の確認には建築知識や経験が必須です。また、売主や工務店に指摘しても誤魔化されることもありますから、専門家の存在は心強いです。内覧会立会い・同行というサービスの活用を考えるとよいでしょう。

1-10.金融機関との金銭消費貸借契約

引渡しの直前になれば、融資を受ける金融機関と契約することになりますが、それが金銭消費貸借契約です。住宅ローンという融資を受けるための契約です。

この契約は引渡し日よりも前の日までに行うことが多いですが、引渡し日当日にすることもありますので、スケジュールは金融機関や不動産会社と早めに相談しておきましょう。

住宅の決済

1-11.残代金の決済と住宅の引渡し

残代金の全てを支払って、同時に鍵を受け取ることで決済と引渡しが完了します。このときに、所有権が買主へ移るのですが、登記が完了するまでに数日はかかるため、登記上の名義人になる日とは少しずれがあります。

引渡しを受けた後は登記が完了していなくても、引越しすることは可能です。但し、引渡しの翌日などに引越し日を設定していると不測の事態で引渡しが遅れたときに困りますから、スケジュールには余裕をもらせておくべきです。

2.購入から引渡しの流れに関するその他の注意点

ここまで建売住宅を購入する流れとその流れにそって注意点を解説してきましたが、他に買主が注意しておくべきことは数多くあります。そのなかでも、不動産業者や営業マンのことについて知っておくべき基本的な事項・注意点を紹介します。

2-1.買主を急かす営業マンが多い

今、具体的に購入を悩んでいる物件がある人ならすでに経験している人も多いと思いますが、買主に対して購入の決断を急かす営業マンが非常に多いです。

「早く買わないと他の人が買ってしまいますよ」「他にもこの物件を気に入っている人がいます」などと常套文句を言われて、本当かどうかわからないと思いつつも、どこか影響を受けているのではないでしょうか。

この話が事実の場合もありますが、虚偽であることもあります。

他の不動産会社や営業マンが売ってしまうと自分に歩合給が入らないし、営業成績も上がらないので、実は焦っているのは買主ではなく営業マンということも少なくありません。

2-2.仲介業者は買主より売主の顔色を窺う

新築の建売住宅を買うとき、仲介業者の斡旋で購入することも多いですが、この仲介業者は買主のことより売主のことを優先的に考えていることが多いです。その理由は、買主はその時限りの取引ですが、売主とはその後も取引を続けたいからです。

建売住宅の売主は、その後も新規物件を供給し続けますから、仲介業者はその物件を売っていくことで利益を上げ続けることができます。つまり、売主とのお付き合いの仕方次第ではお得意様になるわけです。でも、買主は1回限りですから、比較するならば売主の方が大事なわけです。

2-3.不動産に詳しくない業界人は多い

取引を進めていくなかで、信頼していた営業マンに対して徐々に不信感を募らせていく買主は多いです。建物のこと、住宅ローンのこと、税金のことなどについて質問しても明確な回答を得られないことが続くと、不信感を持つのも無理はないでしょう。

契約内容の説明も満足にできないとわかったときには、ショックを受けるかもしれません。しかし、現実にそういった営業マンは少なくありません。詳しくない人に、自分たちの大事な住宅購入の相談をしていることに不安をもち、結局、買いたかった物件を見送る人もいます。それまでに受けていた説明が本当かどうかわからなくなるからです。

新築の建売住宅を購入する流れのなかで、わからないことがあれば、このコラムに読み返して基本を押さえておくとよいでしょう。

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