中古住宅は、気に入った物件さえ見つかれば、あとは契約するだけ。
注文住宅での家作りのように、何度も打合せをしません。
ただし手続きがサクサク進むだけに、事前に中古住宅の購入の流れを抑えておきたいところです。
中古住宅の購入は、大まかに以下の流れに沿って進みます。
- 事前準備
- 物件の見学・申込み
- ホームインスペクション
- ローン事前審査
- 契約
- ローン本審査
- 決済・引き渡し
- 入居
スムーズに購入するために、大まかな購入の流れを抑えておくことが必要です。
中古住宅の購入の流れ、注意すべきポイントに注意して、契約後に後悔しないよう注意しましょう。
中古住宅購入の流れ
「家を購入しよう!」と思ったら、まずは不動産会社に行きたくなるもの。
ですが、いきなり不動産会社に行くのは、おすすめできません。
なぜなら不動産会社の営業マンに乗せられて、つい契約してしまうリスクがあるからです。
そのため不動産会社に行く前に、しっかり事前準備をしましょう。
希望条件をまとめる。
まずやるべきは、希望条件をまとめること。
まとまりきらない状態で不動産会社に行くと、判断に迷ってしまいます。
とくに次の条件は、必ず明確にしましょう。
- なぜ住宅を購入したいのか?
- 優先すべき点は何か?(交通の便、間取り、日当たりなど)
多くの物件を探しても、100%の条件を満たす物件は、まず存在しません。
ですので、中古住宅は多少なりとも「妥協」することになります。
しかし妥協する中でも、「何を優先すべきか?」、基準が定まっていれば、判断も迷いませんし、決断に後悔しません。
また、「勤務地から電車で30分以内」のような大まかな条件だと、不動産会社も物件を探しにくいです。
「○○線のA駅からC駅の間」のように、条件を具体的に絞っておきましょう。
資金計画を検討する。
頭金や住宅ローン返済計画は、最初のうちに考えておきましょう。
- 月々いくらまでなら無理なく支払えるか?
- 頭金はどれくらい用意できるか?
不動産会社や銀行のスタンスは、「いくらまで借りられるか?」という視点が多いです。
しかし大切なのは、「いくらまでなら無理なく返済できるか?」です。
住宅ローンを借りすぎて生活が苦しくなっては、本末転倒。
現在の預貯金や家計を見なおし、資金計画を練った上で物件の検討をしてください。
相場観を身につける。
住宅情報誌やインターネットで物件情報を見て、相場観を身につけましょう。
中古住宅の場合、築年数や立地・エリアによって、大まかな相場というものがあります。
自分の中に相場感があれば、優良物件を探すのにも、値引き交渉にも役に立ちます。
信頼できる不動産会社を探す。
「不動産会社は中古住宅を仲介するだけ。」
「だからどの不動産会社も同じ」
・・・と思いがちですが、いいえ、ちがいます。
不動産会社によって営業方針、サービス内容が異なります。
ですので、不動産会社も「信頼できる会社」を選ぶのが大切です。
- 中古住宅の取引実績が豊富か?
- メリットだけでなくデメリットも教えてくれるか?
- ホームインスペクションを嫌がらず、きちんと説明してくれるか?
- アフターフォローはあるか?
- 営業マンが突然家に押しかけて、長く居座る会社か?
- 購入を煽る企業体質か?
怪しい不動産会社は、こちらのサイトで行政処分歴を調べてみましょう。
不動産会社もピンキリです。ぜひ信頼できる会社と取引してください。
⇒国土交通省ネガティブ情報等検索システム<宅地建物取引業者>
物件の見学。
事前準備ができたら、いよいよ物件探しです。
不動産会社に希望の条件を伝え、よさそうな物件があれば見学します。
毎週のように現地へ足を運ぶので、このフェーズが一番大変です。
しかし契約後に後悔しないよう、1つ1つ丁寧にチェックすることが大切です。
購入申込みをする。
希望の物件が決まったら、不動産会社に購入申込書を提出します。
この時、以下を確認しておきましょう。
- 建物や周辺環境で気になっていること
- 契約日や契約条件
- 瑕疵担保責任の有無や期間
購入申込みするとき、申込金を支払います。一般的には~10万円です(不要の場合もあり)。
契約に至らなければ、申込金は返金されます。
ホームインスペクションを行う。
購入申込み後、契約前にホームインスペクション(住宅診断)の受診もできます。
このタイミングでの診断は、次のメリットがあります。
- 申込みをしているので、他の人に買われる心配がない。
- 診断結果からどんな修繕が必要かわかり、借入前に資金計画を立てられる。
- 契約前なので、診断結果を見て購入をキャンセルすることも可能。
ホームインスペクションの受診は、「購入申込み後~契約前」がおすすめです。
住宅ローンの事前審査
希望の物件が見つかったら、住宅ローンの事前審査(仮審査)を受けます。
事前審査では、
「住宅ローンがどれくらい借りれそうか?」
「無理なく返済できる金額か?」
を審査してくれます。
万が一、事前審査で落ちてしまうと、資金計画の見直し(物件の再選定含む)が必要です。
無事、事前審査をパスすれば、いよいよ本契約に進みます。
不動産売買契約
中古住宅の購入は、「不動産売買契約」です。
契約日に重要事項の説明を受けます。
- 重要事項説明書…敷地の権利・抵当権の有無・契約解除の取り決めなど
- 付帯設備表…どの設備が売買の対象か?(エアコン、照明、カーテンレールなど)
- 物件状況報告書…雨漏り・排水管の故障などや、それらの修繕履歴
不動産売買契約のとき、手付金の支払いが必要です。
手付金は、物件価格の5~10%が相場。ただし、買主との合意があれば、0円のケースもあります。
この時、不動産会社への仲介手数料を半額を支払うケースが多いです。
ローン本審査。
不動産売買契約した後、金融機関に融資(住宅ローン)の申込みをします。
本審査では、
- 物件の状態(担保価値)
- 勤務先
- 年収
- 健康状態
など、事前審査より厳しくチェックされます。
金融機関から融資承認の連絡があれば、ほぼ安心です。
現在の住まいを引き払う手続きなど、引越しの準備もこの時期からはじめます。
火災保険の検討。
住宅ローンの本審査が通ったら、火災保険の検討です。
引越しがまだ先でも、火災の補償は「融資が実行されて、物件が自分のものになった日から」スタートする必要があるからです。
引渡し日に補償が開始されるよう、このタイミングで手続きを済ませます。
決済・引き渡し。
決済・引き渡しとは、物件の代金を支払い、家のカギを受け取ること。融資を受ける銀行で行うことが多いです。
決済日には、
- 売主
- 買主
- 不動産会社
- 司法書士
が集まり、代金支払いと所有権移転登記を行います。
買主は次の費用を払います。
- 購入代金の残金と固定資産税の買主負担分 → 売主へ
- 仲介手数料の残金 → 不動産会社へ
- 登記費用 → 司法書士へ
そして、買主へカギが引き渡されます。
当日中に司法書士が法務局へ行き、登記の申請をします。(登記事項証明書は後日郵送)
これで正式に物件が買主のものに。
もしリフォーム工事を行う場合は、これ以降に実施します。
入居する。
引越しが終われば、念願の入居です。
無事に入居したあとも、忘れずに住宅ローン控除の手続きをしましょう。(確定申告)
会社員の場合、2年目以降は年末調整で行えるので、手続きはそう多くありません。
中古住宅の購入時に注意すべき点
中古住宅を購入する際に注意したいポイントを紹介します。
資金計画は諸費用も忘れずに
住宅購入は、物件の代金以外にも費用がかかります。
- 仲介手数料
- 登記費用
- 住宅ローン保証料
- 火災保険料
- ホームインスペクション費用
- 印紙代
- 引越し費用
- 家具や家電の購入費用
また、固定資産税、修繕費用も必要です。
資金計画を立てるとき、これらの諸費用を忘れないでください。
瑕疵担保責任の有無と期間
瑕疵担保責任とは、契約時にはわからなかった欠陥があった場合、売主に損害賠償を請求できる制度。
保証期間は、
- 売主が個人の場合:2か月~1年
- 不動産会社の場合:2年以上
となります。
ですが築年数が古い物件の場合など、瑕疵担保責任がないケースもあります。
とても大切な部分です。契約前に確認しましょう。
重要事項説明書と売買契約書、付帯設備は事前に確認する
重要事項説明と売買契約書は、契約日よりも前にコピーをもらい、内容を確認しておきましょう。
特に注目したいのが、
- 抵当権
- ローン特約
です。
売主がまだローン返済中で、抵当権が残っている場合があります。
その場合はいつ抵当権が抹消されるか確認し、抹消されていない場合、契約を白紙にできるよう売買契約書に明記してもらいましょう。
ローン特約とは、「もし融資がおりなかった場合、違約金なしで契約を解除する」、取り決めです。
この特約がないと、契約時に支払った手付金を返してもらえません。
付帯設備も事前に以下の確認をしておきましょう。
- どの設備が付帯設備か?
- 壊れていないか?
もし壊れていたら、買主に撤去してもらった方がよいケースもあります。
まとめ:契約前の確認が大事
住宅の購入時は、契約前によく確認し、不安な点を残さないことが大切です。
契約後に「やっぱりキャンセルしたい…」と思っても、違約金を求められることもあります。
資金計画、物件の状態。そして契約内容。
これらをチェックし、納得できる中古住宅の購入を目指していきましょう。