中古住宅の見学時、もっとも目につくのが「内装のキレイさ」。
しかし内装のキレイさに注目して内覧しても、あまり意味がありません。
なぜなら内装はリフォームで、いくらでもごまかせるからです。
大事なのは、
- 住宅の安全性や快適性
- ライフスタイルに合っているか
- 周辺環境
などです。
この記事では、中古住宅の内覧時にチェックすべきポイントを解説します。
中古住宅内覧チェック!【建物外部】
中古住宅の内覧は、家の外回りからチェックしましょう。
外回りにこそ、家の問題点が隠れていることがあります。
基礎
必ず確認したいのが、基礎部分です。
基礎に問題があると、家全体の耐震性や耐久性が不十分な可能性があります。
ただし基礎の表面に小さなヒビが入っている程度なら、大きな影響を及ぼすことはありません。
しかし、次のようなひび割れ(クラック)には、要注意です。
- 幅0.3mm・深さ4mm以上のひび割れ
- 水平方向のひび割れ
- 小さなひび割れでも同じ場所にたくさんある
- ひび割れが基礎の上から下まで縦断している
- ひび割れ周囲に雨染みが発生している
基礎は家を支える根幹です。
もし中古住宅の基礎にヒビがあった場合、専門家に診断してもらうことをおすすめします。
外壁
外壁は傷みやすく、劣化状況が表れやすい箇所です。修繕費も大きくなりがちなので、しっかりチェックしましょう。
- ひび割れがないか?
- シーリング材に割れがないか?
- 雨漏りの形跡がないか?
- サイディングの場合、裏側の壁がボロボロになっているのをごまかしていないか?
- タイルの場合、剥がれやぐらつきがないか?
屋根・軒裏・雨どい
内覧会で素人が屋根に上って確認するのは、現実的ではありません。
しかし屋根からの雨漏りは深刻な被害に発展しやすいので、軒裏や雨どいも含めて見える範囲で確認してみましょう。(とくに軒裏や雨どい)
- 屋根材(瓦・スレートなど)の割れやズレがないか?
- 色あせやサビがないか?
- 軒裏に雨水の染みがないか?
- 雨どいに破損や詰まりがないか?
バルコニー
バルコニーは防水処理することで、雨漏りを防いでいます。
しかしバルコニーの防水処理が劣化していると、雨漏りしやすく、非常に危険です。
中古住宅の内覧では、バルコニーは念入りにチェックしましょう。
- 腐食やぐらつきがないか?
- 排水溝や排水管に詰まりがないか?
- 雨漏りしないか?
外構
外構部分の確認も、安全性や美観の上で大事なポイント。
- フェンスや門扉にぐらつきなど危険がないか?
- ブロック塀にひび割れや傾きがないか?
- インターホンやポストが壊れていないか?
- 車の出し入れに問題がないか?
などをチェックしましょう。
中古住宅内覧チェック!【家の工法】
リフォーム・リノベーション前提で、中古住宅を購入する方も多いでしょう。
しかし、その自由度は工法によって異なります。
一戸建てで主流の建築工法は、次の2つです。
- 木造在来(軸組)工法
- 2×4(ツーバイフォー)工法
リフォームの自由度が高いのは、「木造在来工法」。
水回りの場所を変える、壁を取り払ってリビングを広くするなど、大胆な間取り変更もしやすいです。
一方、ツーバイフォーは、パネル(面)で家を支える工法。
壁で家を支えているため取り払えない壁が存在し、大胆なリフォームはしにくいことが多いです。
ただしツーバイフォーだからといって、間取り変更が不可能ではありません。
ツーバイフォー工法はまだ歴史が浅いため、知識が不足しているリフォーム会社だと施工を断られるケースもあります。
ツーバイフォーのリフォームなら、ツーバイフォーの施工実績が豊富なリフォーム会社がおすすめです。
中古住宅内覧チェック!【室内】
中古住宅の内覧では、設備(キッチン・バス・トイレ)に目が行きがちです。
しかしご存知ですか?
目につきやすい場所は、リフォームで簡単にキレイに直せるのです。
それよりも
- 家の安全性・健康に影響を及ぼす部分
- 後から変えられない部分
- リフォームで対応すると高額な費用がかかる部分
など、目につきにくい部分に注意しましょう。
間取り
自身の家族構成やライフスタイルに合った間取りか、チェックしましょう。
- LDKや居室が狭すぎないか?
- 収納スペースは十分にあるか?
- 階段の上り下りしやすさ
- 生活動線に不便はないか?
赤ちゃんや小さな子どもがいれば、
- 階段にベビーゲートを設置できるか?
- キッチンで料理しながら子どもを見守れるか?
- 親が気づかない内に子どもが出入りできてしまう間取りか?
などの視点からもチェックしたいところ。
高齢者がいるなら、
- なるべく階段の上り下りをせずに生活できるか?
- 玄関やトイレ、お風呂にも手すりがついているか?
- 家の中の段差が少ないか?
- 車いすや介護が必要になった時に対応できる広さか?
また、最新家電の使い勝手も考慮したいポイント。
- ロボット掃除機が動きやすいか?
- キッチンに食洗器を置く場所があるか?
- ドラム式洗濯乾燥機(または乾燥機単体)が置ける広さか?
もし今、これらの家電を使っていなくても、将来必要になった時に活かせます。
日当たり
南向きの家でも、周辺環境によっては日当たりがよくないこともあります。
見学時は部屋の明かりをすべて消して、実際の日当たりを確認しましょう。
根本的な欠陥がないか
- 窓やドアの建て付けが悪い
- 引き戸が完全に閉まらず、隙間ができる
- あちこちで床鳴りがする
- 床が大きく凹んでいる
このような場合、家にゆがみがある可能性もあります。
また、次の場合も要注意。
- 天井に濡れたような染みがある(雨漏り)
- 床下がカビ臭い・木部が傷んでいる(シロアリ)
欠陥住宅を買ってしまわないよう、契約前に専門家に相談すると安心です。
断熱性能のチェック
断熱性能は、家の快適性と冷暖房費に直結します。
天井裏や床下点検口から確認してみましょう。
- 壁だけでなく床下や天井裏も断熱されているか?
- 窓ガラスが断熱性能の優れたものか?(二重サッシなど)
- 断熱材にすき間やヨレ、落下はないか?
また、間取りによっても断熱性能は変わります。
大きな窓があると、夏は日ざしで暑く・冬は冷気で寒くなりがち。また、吹き抜けも寒い原因となりやすいです。
売主に夏と冬の光熱費を聞いてみるのも参考になります。
収納の内部
収納は個数だけでなく、
- どれくらいの大きさか?
- 使い勝手がいいか?
- カビ臭くないか?
も確認しましょう。
カビは喘息やアレルギーの原因にもなるので、あまりにもカビ臭い物件は要注意です。
窓枠やパッキンにカビがついていないか
窓枠やパッキンにカビがついていると、
- 結露しやすい
- 家主が適切にメンテナンスしていなかった
ことが考えられます。
結露しやすい家は次の可能性も。
- 断熱性能の不足
- 換気量の不足
- 空気の流れが悪い
結露を放っておくとカビが生えやすいので、冬は窓ふきが大変です。
また、前の住人が結露やカビに無頓着だと、家全体がカビやすくなっている可能性もあります。
中古住宅の内覧チェック!【メンテンナンス履歴】
「適切にメンテナンスされてきた住宅か?」は、重要なチェックポイントです。
住宅は一般的に、築10年頃から大規模な修繕が必要になります。
築10年以上でこれまでに一度もメンテナンスしていなければ、購入してすぐに修繕が必要になる可能性もあります。
メンテナンス履歴が不明な場合は、ホームインスペクションを受けて、
- 今後いつ
- どのような修繕が必要になるか?
専門家の意見を聞くことをおすすめします。
中古住宅の内覧チェック!【周辺環境】
建物だけでなく、周辺環境の利便性や安全性も確認しておきましょう。
曜日や時間帯によって、雰囲気が変わることも多いです。
- 平日・土日
- 朝・昼間・夜
のように、曜日や時間帯を変えて訪れて、次をチェックしてみましょう。
【交通】
- バス・電車のラッシュ時の混雑具合や実際の所要時間
- バスの最終便時刻やタクシーの利用のしやすさ
- 駅前の駐輪場の有無
【生活】
- スーパーやコンビニの場所と営業時間
- 飲食店の有無
- 役所・郵便局・銀行・図書館の近さ
- ゴミの分別や収集方法
【環境】
- 騒音や悪臭はないか?
- 治安のよさ
- 道路の安全性(歩道や街灯の有無・人通り)
【小さな子どもがいるなら】
- 保育園や学童の空き状況
- 小中学校の学区と評判
- 通学路の安全性
- 公園の有無と安全性
- 近くに小児科があるか?(インターネット予約できる小児科があると待ち時間が少なくて便利)
- 近くに同世代のファミリーがいるか?
【高齢者がいるなら】
- 近くに総合病院があるか?
- デイサービスや福祉施設が充実しているか?
- 周辺道路に階段や坂道が多くないか?
- 車がなくても不自由しないか?
まとめ:中古住宅の内覧は慎重に!
内装がきれいだと、素敵な物件に見えます。
ですが、それだけで判断しないよう注意しましょう。
- 基礎など家のつくりに関わる部分
- 耐震性
- 断熱材の状態
- いつ・どのようなメンテナンスが必要か?
- どのようなリフォームができるか?
これらは素人には判断がつきにくいので、ホームインスペクションを利用して専門家の意見を聞くのがおすすめです。
安心かつ快適に暮らせる、中古住宅の購入を目指しましょう!