新築住宅を建築するときには、建築確認をしてから着工し、着工後も中間検査や完了検査を受けなければなりません(中間検査は省略されることもある)。家づくりの過程で間取りプランが固まってきた頃や建築工事請負契約を締結する頃になれば、この建築確認という言葉が営業マンなどから出てくることがあるはずです。
家づくりをする上で避けては通れない建築確認や中間検査、完了検査のことを理解しておくことは、住宅の安全性を確保する上でも大事なことですから、ここでこれらの基礎知識を学んでおきましょう。
1.建築確認と建築確認申請
建築確認とは、建築基準法で定められている住宅建築の基本的に手続きで、どういった建物を建てるのか建築主事(もしくは委託を受けた民間の検査機関)に申請して、その確認を得ることを言います。つまり、建築確認は建てたい建物について了承を得るような作業です。
この建築確認では、申請された建築物の計画が適法なものであるかどうかを確認しているものであり、違法でなければ建築プランのバランスが悪くても、確認されます(許可制度ではないので、許可ではなく確認という言葉になります)。
このことは建築基準法の第6条(建築物の建築等に関する申請及び確認)に以下の通り記述されております。
建築基準法 第6条の引用(一部省略):
建築主は、~~~中略~~~建築物を建築しようとする場合、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。
この建築確認を申請することは建築確認申請と呼ばれており、申請書に平面図などの添付書類を付けて申請するものです。多くの場合、建築主から委託を受けた建築士事務所が申請を代理していますが、注文住宅を建てる人も、その設計者に委託して申請してもらうことが多いです。
建築主事とは都道府県や市町村にいる者です。ただ、建築確認の業務は民間に開放されているため、国土交通大臣又は都道府県知事が指定した民間の確認検査機関に申請して審査してもらって確認を受けることが非常に多くなっています。
確認を受けたら確認済証が発行されますから、施主(=建築主)はそれを受領して保管しておきましょう。
2.中間検査とは
建築確認の後、建築物の工事が始まったら、今度は中間検査というものがあり、特定工程について中間検査を受けなければなりません。そして、その検査に合格すれば中間検査合格証が発行されるので、施主はこれも保管しておきましょう。
中間検査が必要な特定工程は、建築基準法で定めいているものと都道府県等が定めているものがあります。つまり、建築場所によって異なることがあるのです。特定工程のない建物ものあり、その場合は中間検査はありません。
中間検査では、建築確認申請で申請された建築物をその計画通りに工事しているか現地で確認するものなのであり、施工の品質をチェックしているわけではありません。構造金物の位置や施工具合の良否をチェックすることはあまり期待できず、筋交いの設置個所の間違いにすら気づかないこともありました。
3.完了検査とは
建築確認申請されて確認を受けて建築したものが完成したとき、建築主は建築主事(もしくは民間の指定確認検査機関)に対して完了検査を申請しなければなりません。このことは建築基準法の第7条(建築物に関する完了検査)に以下のように記述されています。
建築基準法 第7条の引用:
建築主は、第六条第一項の規定による工事を完了したときは、国土交通省令で定めるところにより、建築主事の検査を申請しなければならない。
この完了検査では、適法であるかどうかを確認し、問題なければ完了検査済証が発行されます。また、中間検査と同じく施工の品質チェックまでしてもらえるわけではないことを理解しておきましょう。
建築基準法は住宅を含む建築物を建てるときの基本となる法律で、そのなかで定められている建築確認制度は家づくりを行う人にとって関わりの深いものです。深く掘り下げると話が広がってしまいますが、ここで紹介したことについては基礎知識として知っておきましょう。