住宅を新築するときでも、間仕切り壁や床・天井まで解体撤去してリノベーションするときでも、間取り作りをする上で必ずやっておくべきことがあります。これをせずに、間取り作りをして失敗する人がいるので、このコラムを読んで実践してください。
1.間取り作りの前に必ずやるべき2つのこと
ここで紹介することは、間取り作りを始める前にすべきことです。理想の間取りを考えるとき、先にこれをしておかないと後から抜本的に間取りプランを見直ししなければならなくなりますから、理解しておいてください。
間取り作りの前に必ずやるべきことは、以下の2点です。
- 現在の自宅の不満箇所を挙げる
- 譲れないことを明確にする(優先順位を決める)
この2つを見て、それは当たり前のことだと思っていたのであればよいのですが、これを実践していない人は意外と多いです。間取りを検討していくうえで基本となることですから、この作業を必ず実践しましょう。
2.現在の自宅の不満箇所を挙げる
上で挙げた間取り作りの前に必ずやるべきことについて、詳しく説明します。まずは、「現在の自宅の不満箇所を挙げる」からです。
2-1.自宅の不満箇所は長期スパンで洗い出す
新しい家で暮らす人が、それぞれの不満箇所を挙げていくのです。普段の生活の中で、感じていることがあるはずですが、慣れてしまってすぐに思い出せないこともあるでしょう。よって、この不満箇所の洗い出しは、一度でやるのではなく、一定の期間を不満箇所の洗い出し期間としておくとよいでしょう。
日々の暮らしの中で、気付くたびにメモしていくのです。後日、その溜まったメモを整理していくと不満箇所がよくわかるでしょう。
2-2.自宅の不満箇所の事例
それでは、考えられる不満箇所の事例を挙げていくので考える際に参考にしてください。
- 狭すぎる(各部屋・浴室・洗面室・トイレ・キッチン・玄関等のスペース毎に考える)
- 広すぎる(これもスペース毎に考える)
- 暗い(採光が悪い・照明が広さに合っていない)
- 寝るときに家族の鳴らす音が煩い(トイレの排水・リビングの話し声や笑い声等)
- 家族の顔が見えない(具体的に誰の顔を見えないかまで考える)
- 洗濯物を干しづらい
- 家事動線が悪い
- 干している洗濯物を外部から容易に見られる
- 収納が不足している(具体的に何を収納できないか考える)
- キッチンからリビングを見づらい(小さな子供の様子を確認しづらい)
- 調理中の臭いがリビングに充満する
- 段差が多くて同居する両親には辛そうだ
- 冷暖房が効きづらい
- 畳(和室)がなくて寝ころべない
- キッチンまでエアコンが効き辛い
- インターホンの位置が不便
- コンセントが足りない
挙げていくときりがないですね。まだまだいくらでも不満はありうるものです。皆さんが考えるときは、ここであげたことも1つのヒントにしてみてください。
ここであげたなかでも、狭すぎるという不満と広すぎるという不満は反対意見のようですが、スペースによっては両方の意見を持っていることもあります。広くしてゆっくり使いたいと思う人がいる反面、掃除する人からすれば広すぎて大変だということですね。最近では、子供たちが独立した後に広すぎる家を減築(一部を解体撤去して家を小さく)する人もいます。
家への不満というのは、人にとって千差万別です。あなたが気に入っていることでも、他人には不満だということもありますから、思い込みを排除するためにも、必ず不満箇所の洗い出しは家族みんなでやりましょう。子供の意見に気づかされることもあるかもしれません。
3.譲れないことを明確にする(優先順位を決める)
自宅の不満箇所を挙げた後にやるべきこととしては、優先順位をつける作業です。全ての不満を解消できれば素晴らしいのですが、現実的にはそういうわけにもいかないですね。そこで、優先順位を明確にしていくのです。優先順位をつけていくなかでも、これだけは絶対に譲れないという最優先事項もあるでしょう。
優先順位の検討も、最初は一緒に暮らす人たちがそれぞれで考えてみた方がよいです。一緒に話し合いながら考えていくと、先に話した人の意見に左右されてしまったり、言いづらくて遠慮したりということもあります。ですから、それぞれが優先順位をつけたメモを作成し、互いにそれを見合うようにした方がよいでしょう。
自分の考えより、別の人の考えの方がよいと思えることもあります。
4.不満点も優先順位も考え直す
現在の自宅の不満箇所を挙げ、優先順位も考えたら、次に何をすべきなのでしょうか。設計者と打合せてプランを提案してもらうのもよいですが、その前にしておきたいことがあります。
4-1.自分たちで間取り図を作成する
一度、自分たちで簡単な間取り図を作ってみましょう。インターネット上には間取り作成できるツールもありますが、まずは紙に手書きしてみた方が考えやすいです。なにも綺麗に描く必要はありませんから、間取り図を描いてみましょう。どんどん何枚も描いてみた方が考えやすいです。
4-2.新たな不満に気づく
実は、この間取り図の作成段階で新たな問題点に気づいたり、思い出したりすることも多いです。キッチンの配置を考えているときに、「そういえば、買い物から帰宅して、買い物袋をキッチンまで運ぶのがちょっと面倒だ」といった具合です。
新たに出てきた不満・問題もメモしておき、改めて優先順位を考え直すときに活用しましょう。
そうです、直前で書いたように優先順位は後で見直すことを前提としておいた方がよいです。間取り作成の初期段階は、まだ知識も不足しているし、考えも熟成していません。それだけに、初期段階の考えに固執するのは得策ではありません。
不満点も優先順位も、後から考え直す必要があるのです。
具体的に、設計者に間取りプランを提示してもらうのは、ここまでした後でもよいでしょう。もちろん、設計者からプランの提示を受けると同時に、自分たちの考えた間取りの抱える問題点を指摘してもらうとよいですね。今度は、提示されたプランや指摘してもらったことを参考にして次のプランを考えることができます。
間取りを考えるのは楽しい事なのですが、時間を要することでもあるので、途中で飽きてしまったり、疲れてしまったりする人は多いです。良い家づくりのために必要な過程ですから、時間を割いて頑張ってください。