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キッチンの選び方とキッチン収納・設備の注意点

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キッチンの選び方とキッチン収納・設備の注意点

キッチンに関する注文住宅の間取り講座の続編です。これまで、以下2つのコラムをお届けしていますので、必要に応じてご覧ください。

上の2つのコラムでは、キッチンとリビング・ダイニングの関係やキッチンの形状についてお伝えしました。今回は少し視点を変えて、設備の選び方やキッチン収納などについてお話しします。

1.キッチン設備の選び方

オープンキッチンにしたいとか、L型のキッチンが良いといった理想のものをイメージしつつ、具体的にどのメーカーのどの商品を使う検討する段階では、いろいろな商品を実際に見てみることが大切です。

何も考えず、とりあえずショールームに行ってみようと考えて訪問しても、どういう視点で1つ1つの商品を見ればよいかわかりませんし、ショールームの接客係の人に希望を伝えて商品紹介を受けることもままなりません。まずは、どういったキッチンを理想とするのか考えてみるとよいでしょう。

それでは、以降でキッチンの選び方について紹介します。

1-1.キッチンは実物を見た方がよい

キッチン選びを建築会社などが用意してくれたカタログやインターネットの情報だけで決めてしまうことはオススメできません。キッチンスペースのイメージを決める主要な設備ですし、間取りプランによってはリビング・ダイニングのイメージ、デザインにも大きく影響する大事なものです。

カタログなどを参考にして、理想のキッチンを考えておくべきではありますが、ショールームへ足を運んで多くの商品を見比べることも大事です。

ショールームは一度で見るものが多いと時間がかかり、思ったよりも疲れるものですが、楽しい時間でもあります。また、いろいろな商品やコーディネート事例を見られることで、希望をより具体化することにも役立ちます。ぜひ、いくつかのメーカーのショールームを訪問してください。

1-2.価格重視ならホームセンターで格安物を探す

家づくりの予算は人によって大きな差がありますし、何に多くの投資をするかも人によって差があるものです。キッチンは価格重視で選ぶということであれば、ホームセンターやニトリ、イケアなどを活用するのも1つの選択肢です。

商品やサイズなどの条件にもよりますが、キッチン設備を20~30万円に抑えることもできなくはありません。

1-3.キッチンの高さ

キッチンの高さは使う人にあったサイズとするべきなのですが、既製品ではサイズが概ね決まっています。85~86cmのものが多いですが、最近は90cmのものもあります。主に使う人の身長に合わせて選ぶようにしましょう。

ショールームを見学するときにヒールを履いたまま、高さを確認している人を見かけることがありますが、それでは実際に使用するときのサイズ感がわかりませんから、スリッパに履き替えて高さを試すようにしてください。

キッチンの高さと奥行き

1-4.キッチンの奥行

キッチンの奥行は65cmのものが多いですが、70cmのものもあります。無理なく手が届く範囲がどの程度までであるか実物で確認するとよいでしょう。奥行が長すぎると使いづらいものとなりますから、大きければよいというわけではないことを理解しておくべきです。

もちろん、キッチンの設置個所のスペースとの関係もありますから、奥行きはスペースと使い勝手と両にらみで検討しましょう。

1-5.調理スペースは十分か

料理するとき、多くの場合は1人でしますね。ですから、1人分の調理スペースを前提に考えるのは当然のことです。しかし、夫婦で一緒に料理する機会が多い家庭や親子で(姑も含む)同時に使用する機会が多いならば、2人で使用するときのことも考えてみましょう。

二世帯が暮らす住宅で、食事は別だけどキッチンが1つで共有するという家庭もあります。こういったケースでは特に考えたが方よいでしょう。

1-6.システムキッチンでよいか

多くの人がシステムキッチンを採用しています。シンク、コンロ、収納(吊り戸棚も)がセットになったものです。同じようなものを造り付けで大工に依頼するとなると費用が高くなりますから、システムキッチンを採用する人が多いのも当然です。

ただ、システムキッチン、つまり既製品はサイズが決まっているために設置したい箇所にあわず、周りの壁の位置などを調整しなければならないということもあり、造りつけのメリットを感じられるケースは多いです。キッチン以外の収納などでもそうですが、予算にゆとりがあるなら造作家具も1つの選択肢に入れて、理想のキッチンづくりを考えてみてはどうでしょうか。

2.キッチン収納

キッチンのプランを考えるうえで大事な要素なのは、キッチンスペース内の収納です。見た目の良し悪しや機能、設備のことはもちろんですが、収納についてもよく考えましょう。

キッチン収納

2-1.収納量を考える

キッチン収納で最初に考えるべきことは、必要な収納量のことです。家庭によって必要な収納量は異なりますから、食器類・調理器具・その他のキッチンで使用するものを考慮して、どれくらいの収納が必要なのか考えてください。

キッチン周りをプラニングする際は、どこに何を収納するかまで考えておいたほうが無難です。鍋やホットプレート、フライパンなどがどれだけあって、それらをどこに収納するのか具体的に考えておかないと入居してから仕舞えないものを処分するか、目立つところに保管するようになってしまいます。

どこに収納するか検討する際の注意点としては、それぞれの使用頻度を考えた配置です。よく使うものは、取り出しやすいところに収納したいものです。また、重いものは下におきがちですが、人によっては(例えば腰が悪い人が)屈んで持ち上げることが大変な場合もありますから、そういったことも考えましょう。

野菜によっては冷蔵庫での保管が向かないものもありますね。そこまで考えて保管したい人ならば、食材の置き場のことも考えておきましょう。食材の宅配サービス(ヨシケイ、COOPなど)などを利用する人なら、一度に多くの食材を保管する必要が生じることもありますから、これはより重要になりますね。

冷蔵庫を置くスペース

2-2.冷蔵庫

冷蔵庫を設置する箇所は、間取り作成のときから決めておくべきですが、その設置スペースは今持っている冷蔵庫だけを考えず、買い替え後のことも考えておきましょう。間取りプランにもよりますが、冷蔵庫を置くスペースは変更しづらいことが多いですから、サイズを考慮することはとても大切です。

買い替え後も考慮して、スペースの広さや高さも考えてください。冷蔵庫は大きくなっていく傾向がありますから、注意が必要です。

冷蔵庫にはコンセントが必要ですが、そのコンセントの位置や冷蔵庫の周りにできる隙間のことも考えてゆとりある設計が必要でしょう。

2-3.キッチン収納の選び方

キッチン収納は、システムキッチンのところでも書いたように既製品を利用する人が多いですが、造作家具にするかどうかも検討するとよいでしょう。既製品の方が断然安いものを選べますから、これが大きな魅力ではあります。

また、床下収納のことも考えてみましょう。床下スペースは他に使うこともないので、とりあえず床下収納庫を付けておくという人は多いですが、一方で設置したものの全然使わないという人もいます。よって、床下収納庫の設置有無は収納量のことを考えて必要かどうか検討しましょう。

ただ、そう高くつくものではないので、とりあえず設置しておくという考えも悪くないでしょう。

3.キッチンに関して考えておくべきその他のこと

キッチンについては、考えるべきことが非常に多いです。以降で取り上げたことについても1つ1つ検討することをオススメします。

炊飯器を置く位置

3-1.コンセントの位置と数

キッチンでは電気をよく使います。炊飯器・レンジ・オーブン・湯沸かし器・コーヒーメーカー等はどの家庭でもあるものですが、他に必要なものがある家庭もあるでしょう。コンセントは使用するものに応じた数が必要ですから、数をよく確認してください。

その際、数だけではなくコンセントの位置も考えるべきです。あまりコードが長くならなくてもよいように、位置まで考えましょう。つまり、設計段階で炊飯器等の電化製品の設置位置は決めておくということですね。

念のためですが、アースも忘れないでください。シンク近くでは水が飛んでしまうことも多いですから、その近くにコンセントが必要なときは水に注意してください。

3-2.キッチンの設備等

キッチン周りの設備について考えてみましょう。

まず、ビルトイン型の食洗器です。これは、使用頻度が低い人もいますから、どの程度使うかよく考えてください。使わないのに設置してしまっては、そのスペースが無駄になってしまいます。

次にビルトイン型のオーブンレンジです。ビルトインには多くの人が憧れを持ちますが、据え置きではダメなのか比較検討してください。価格の相違もあります。

3点目は足元ヒーターです。冬場の寒いときに、キッチンの足元を温めてくれることは女性にとってありがたいことです。必要性を検討しましょう。

ガスコンロ

4点目はコンロの種類をガスコンロとするか、IHコンロとするかです。オール電化にしてガスを使用しない家もありますが、よく作る料理によってはガスの方がよいというケースもあります。IHコンロは突起物が全くないため、清掃が楽であることはやはり大きな魅力ですね。

5点目は天板(ワークトップ)の素材です。食材をカットするなど調理するスペースのことです。見た目を重視するならば、人工大理石や石、タイルが人気ですが、使いやすさではステンレスです。どういった素材とするか慎重に検討しましょう。

3-3.ゴミ箱の位置を考えておく

意外と見落としがちなチェックポイントは、ゴミ箱を置くスペースです。ごみ箱が収まる丁度良いスペースがないとキッチン内で邪魔になっていることもあります。

地域によってはゴミの分別が厳しくて、複数のゴミ箱を置いておいたほうが楽ということがありますが、それだけスペースを取ることになります。異なる自治体へ引っ越すならば、ゴミの分別の実態を確認しておくことも間取りプラン作成には必要なことです。

3-4.キッチン周りの動線

キッチン周りの動線についても考えておきましょう。アイランドキッチンなら、周囲をぐるりと周れて便利ではありますが、実際の行動を思い浮かべながら考えるべきです。

たとえば、朝の忙しいときにカウンターでさっと朝食を済ませたいというときの動線を短くする(食べる場所を考える)といったことを考えるとよいでしょう。

また、作った料理をダイニングテーブルに運びやすいかどうかも考えましょう。一旦、シンク前のカウンターに置いてから、ダイニングテーブル側から取るということが多いですが、キッチン周りのデザインによっては難しいことがあります。

4.キッチン選びのまとめ

キッチンはメーンで使う人の料理に対する考え方によるところが大きいです。食器や調理器具へのこだわりもそうですね。また、家族構成によるところも影響が多いです。メーンで使う人を中心に、プランや設備について選んでいくとよいでしょう。

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