家づくりでプランを検討するときに役立つ注文住宅の間取り講座シリーズの第5弾として、玄関ホールと廊下について取り上げます。玄関ホールは以前にご紹介した「玄関のプラニングの注意点 ~注文住宅の間取り講座~」と重なることも多いため、合わせてお読み頂くとよいでしょう。
1.玄関ホールのプラニング上の注意点
まずは玄関ホールの注意点からご紹介します。玄関ホールにおけるポイントは、採光・バリアフリー対応・動線の3点です。
1-1.採光を考える
玄関ホールを明るくするためには、吹抜けとすることが有効な手段の1つとなります。階段と隣合わせにして階段の壁に窓を設ける方法も有効です。
また、玄関ドアの側面にガラスを設ける方法も考えられます。下の写真を見てください。
この写真のように玄関ドアの周りにガラスを配置することで随分と明るい玄関とすることができます。
もちろん明るくするために照明を設置するわけですが、この照明が玄関で対面している人にとって逆光になってしまうケースがあります。居住者と来客者が玄関で対面して話しているときに、照明の灯りが眩しくないように配慮しましょう。
1-2.バリアフリー対応
バリアフリー対応を考えた家とする場合、玄関からホールへ上がるところに手すりを設置しておきたいところです。框をまたいで上がる時に利用するためです。
また、バリアフリーのためだとして框部分の段差を無くすプランを目にすることもありますが、玄関床とホールをフラット(段差なし)にすることで靴を脱いだり履いたりするうえで不便になってしまいます。よって、あえて段差を設けないという選択肢もありますから、よく考えましょう。
上の写真はあえて段差を設けた玄関とホールです。そして、高齢者が使用することを考えて、靴を脱いだり履いたりするときのために腰掛用の椅子やベンチを置いておくと便利です。住み始めてから置けばよいものではありますが、どの位置に置くのかスペースのことは考えて間取りを作りましょう。
1-3.動線に注意
玄関ホールに関する動線を考えるときに注意したいのは、プライベート空間としての動線と来客者が玄関にいるときのパブリックな部分の動線です。玄関から近くの見える位置にトイレがあれば、家族がリビングから出てきてトイレに入ることになりますね。
2.廊下のプラニング上の注意点
次に廊下のプラニングについて考えましょう。廊下では、バリアフリー対応・収納・有効利用などについて注意しておきたいものです。
2-1.バリアフリー対応
廊下におけるバリアフリー対応としては、車椅子の使用時のことを考えておきたいところです。車椅子を使用しないならば、無視しても良いかもしれませんが、将来、必要になるかもしれませんから、頭に入れておいた方がよいでしょう。
車椅子の巾はその商品によっていろいろですが、70cmを見ておいた方がよいでしょう(これより巾の広いものもある)。70cm巾の車椅子を前提に考えた場合、出入り口の巾は最低でも80cmは必要です。通路としては、出入り口巾(80cm)+10cmで90cm巾が必要です。
ちなみに、有効巾で90cmだと考えておいてください。
また、廊下が曲がっているのであれば、そのコーナーの内側に隅切り(壁を斜めにする)がないと通りづらいものとなります(車椅子で曲がるときに曲がりづらい)。
車椅子以外のバリアフリー対応としては、廊下にも手すりがあった方が便利です。段差がなくとも手すりに頼るケースはありますから、必要とする同居者がいるならば対応しておきましょう。後から廊下の壁に手すりを設置する場合、壁内の下地材の設置をどうするかが問題となります。
2-2.廊下収納があれば便利
間取りを考える上で収納をどうするかは大きなテーマとなりますが、廊下にも収納があった方が便利なので、配置を考えましょう。廊下収納に掃除機を置いておく家庭は多いのではないでしょうか。
実際にその収納に置く物をイメージして収納サイズや位置を考えておきましょう。
2-3.限られた面積の有効利用
都市部の注文住宅では、建物面積がそう広くないということは非常に多いです。そこで限られた面積をどのように有効利用するかを考える必要があり、その重要性が高いと感じる人も多いことでしょう。
廊下は基本的には移動するだけのスペースですから、あまり面積を廊下に割きたくはありません。廊下面積の割合を減らすプラニングを工夫しましょう。
廊下を無くして玄関ホールからリビングに直接入る間取りを希望する人もいます。しかし、廊下を無くすことのデメリットについてもよく考えて判断してほしいものです。そのデメリットとは、プライバシー性低下の問題です。
たとえば、トイレから直接にトイレに出入りするプランにすると、家族といえどもあまり良い気分はしない人が多いでしょう。洗面脱衣室に直接出入りするのも嫌だと考える人は多いでしょう。
2-4.その他の注意点
他にも考えておきたい注意点があります。
玄関とリビングがすぐ近くにある場合、玄関から人が建物内部へ入ってきたときにリビングに冷たい空気が入ってきて寒く感じることがあります。ドアの位置や向きなどで工夫した方がよいでしょう。
また、玄関から入ってきたときにリビングの位置が自然とわかるように工夫しておくことも考えましょう。来客者が不安なくスムーズにリビングへ入れるというメリットもありますが、その住宅で暮らす人がリビングに集まりやすくなるメリットもあります。
そして、廊下においても採光について考えたいところです。なかなか廊下に窓を設けるのは難しいことが多いですが、隣り合わせの階段室の窓から採光をえるか、玄関周りの窓から採光を得るかも考えましょう。
玄関ホールと廊下のプラニングについてご紹介しましたが、参考になりましたでしょうか。あれもこれも実現しようとなると難易度があがり難しくなってくるので、優先順位を整理することも必要です。