中古住宅で怖いのが、シロアリ被害。
シロアリ被害を知らずに購入してしまうと、
- 耐震性が失われ、地震で倒壊する可能性がある。
- 床がぶかぶかになり、抜けることがある。
- 夏になると羽アリが発生し、気分が悪い。
など、重大な被害につながります。
日本の木造住宅は、「5軒に1軒はシロアリ被害にあっている」と言われます。
身近な脅威である一方で、早期発見・早期対策をすれば、被害を止められます。
この記事では、中古住宅の「シロアリ被害の予防と対策」について解説します。
- シロアリ被害にあうと、家はどうなるか?
- シロアリ被害の見分け方は?
- どのような対策をすればいいか?
中古住宅を購入するなら知っておきたい、シロアリ対策。契約に踏み切る前に、予備知識をつけておきましょう。
意外と知らない、シロアリの生態・特徴とは?
ご存知ですか?
シロアリとは、「アリ」の名前がついていますが、厳密にはアリではありません。
・・・ゴキブリの仲間です。
そのためシロアリの天敵は、「黒アリ」とも言われております。
「シロアリ」の名前は知っていても、シロアリの生態まで知らないもの。
大切なマイホームを守るため、まずは敵であるシロアリをじっくりリサーチしていきましょう。
シロアリは3種類!土・木の中に生息している。
日本の住宅で被害をもたらすシロアリは3種類。
- ヤマトシロアリ:もっともポピュラーなシロアリ。
- イエシロアリ:西日本の温暖な地域。
- アメリカカンザイシロアリ:アメリカから来た外来種。
いずれのシロアリも、土・木の中に生息しております。
明るく、涼しい爽やかな環境が苦手で、暗く、じめじめした環境が大好きです。
そのため昔ながらの家の床下は、
- 暗くて
- 湿気があり
- 風通しが悪くて
- 近くに木材がある。
という、シロアリ繁殖の環境がそろっているのです。
シロアリは日本の住環境と密接に関わりながら、生息しております。
ヤマトシロアリ
日本では最もポピュラーなヤマトシロアリ。被害件数が一番多く報告されています。
北海道の一部地域を除いて、日本全国に生息しています。
イエシロアリ
温暖な地域に生息する、イエシロアリ。千葉県以西の沿岸地域に被害は広がります。
注意すべきは、イエシロアリの繁殖力。
イエシロアリは繁殖力が強く、食欲旺盛です。
そのため被害は家全体におよび、地震によって倒壊する危険性があります。
アメリカカンザイシロアリ
アメリカからの輸入木材・家具から、日本に入ってきた外来種のシロアリです。
日本のシロアリ(ヤマトシロアリ・イエシロアリ)と異なり、次の特徴があります。
- 乾いた木材も食害する
- 蟻道(ぎどう)を作らないので、見つけにくい
- 早期発見や完全駆除が難しい
シロアリ被害で本当に怖い被害とは何か?
シロアリ被害の本当の恐怖は、
「木材がシロアリに食べられてしまい、家の強度が失われること」
「その結果、地震で倒壊する危険があること」
にあります。(もちろん、夏に羽アリが飛び交うのも地獄絵図ですが・・・)
阪神淡路大震災では、被害の大きかった家の多くにシロアリ被害が見られました。
建築当初は耐震性が高くても、シロアリ被害によって強度が失われてしまう例ですね。
ですので、シロアリ被害は早期発見・早期対策が大切です。
シロアリ被害の初期症状である、
- 床がたわむ
- 建具の動き、建てつけが悪くなる
に気が付いたときに、早期対策すべきでしょう。
シロアリ被害は、見えないところで進行する。
シロアリの侵入は、床下の木材からはじまります。そのため初期被害は、誰も気が付きません。
被害の拡大にともなって、
- 湿気のたまりやすい浴室周辺
- フローリング
- 畳
- 家具
など、目で見てわかる場所も食い荒らされます。
シロアリ被害が目に見えるようになったとき、床下の木材の被害はかなり深刻化しています。
シロアリ被害には、100万円以上の修理費がかかることも。
シロアリ被害は、金銭的にも恐ろしいです。
深刻なシロアリ被害になってしまうと、修理費用に100万円以上かかることもあります。
- シロアリの駆除
- 食害された木材の交換(土台・柱)
- 浴室の修理、ユニットバスの交換
それこそ「家全体」にシロアリ被害が広がれば、修理箇所は「家全体」。
金銭的な面からも、いかにシロアリ被害が甚大であることが分かります。
中古住宅は大丈夫?シロアリ被害にあいやすい家とは?
シロアリの好物は、「湿った木材」です。
そのため「シロアリ被害にあいやすい家」は、次の特徴があります。
- 床下が低く、空気の流れが悪い
- 基礎の換気口が少ない
- 自然に囲まれている
- 庭に木製のフェンス、ウッドデッキなどがある
- 近くに川や池がある
- 基礎断熱工法の家
床下が暗くて、湿った環境になると、シロアリが繁殖しやすくなります。
中古住宅の中には、「基礎断熱」の家もあります。
しかし基礎断熱は、「シロアリ被害にあいやすい工法」でもあります。
- 床下が冬でも暖かい環境。
- 基礎外側の断熱材を食べてしまう。
- コンクリートと断熱材のすき間から侵入するため、発見しにくい。
人間にとって心地いい環境は、シロアリにとっても心地いい環境となってしまいます。(シロアリ対策した、基礎断熱もあります)
中古住宅の購入時には、
- どんな工法で?
- どんな対策が実施されているか?
しっかり確認したいところです。
中古住宅のシロアリ被害の見分けるポイントは?
中古住宅のシロアリ被害を見抜くポイントは、次の通り。
内覧会でもチェックできるので、ぜひ確認してみてください。
蟻道(ぎどう)の確認|基礎・床下に土のトンネルはないか?
シロアリは「蟻道」と呼ばれる、土のようなトンネル作ります。
シロアリは光と乾燥を嫌うので、蟻道を通って移動するのです。
そのためシロアリ被害の近くには、必ず蟻道があります。
- 床下
- 基礎の外回り
- 外壁
もし蟻道が見つかったら、それはシロアリがいる証拠。ご注意ください。
柱や壁を叩くと、中身がスカスカのような軽い音がしないか?
シロアリ被害は、木材の内部からはじまります。
表面的には問題ない柱、壁でも、叩くと中身のないスカスカした軽い音がします。
その場合、シロアリに内部を食べられている可能性があります。
床のたわみやきしみがないか?
シロアリの被害が進行すると、床板や畳がたわんでくることがあります。
「床がフカフカする」
「ペコペコする」
といった異常を感じたら、シロアリ被害を疑ってください。被害が進行している可能性高いです。
過去に羽アリが大量発生したことがないか?
シロアリは春~夏にかけて、新たな巣をつくるために一斉に飛び立ちます。
家の中で羽アリが発生したら、シロアリ被害を疑うべきです。
もし羽アリが大量発生していれば、すでに被害は深刻化しているはず。
「これまでに家の中で羽アリが発生したことはないか?」、売主に確認しておきましょう。
中古住宅のシロアリ被害の対策|購入の注意は?
シロアリ被害から家を守るには、
- 予防
- 早期対策
が大切です。
シロアリ被害が進むほど、家の修復に大きな費用がかかります。
早期発見し、なるべく早く駆除しましょう。
シロアリ駆除の費用の目安は、10万~40万円程度。(構造・広さによって変わります)
- 薬剤の塗布
- 毒エサを地中に埋める
などの方法で、シロアリを駆除します。
定期的な防蟻処理が大切。
シロアリ被害の予防は、定期的な防蟻処理が大切です。(目安は5年に1回)
木材にシロアリをよせつけないことが、何よりのシロアリ対策になります。
防蟻処理の効果は、5年が目安。そのため中古住宅では、「定期的に防蟻処理されているか?」が非常に大切になります。
中古住宅を購入するときは、防蟻処理の履歴を確認してみてください。
定期的に床下・基礎周りの「蟻道」をチェック!
シロアリの侵入は、蟻道によって発見できます。
土のようなトンネルが木材に伸びていれば、それはシロアリの可能性大です。
中古住宅の購入時に蟻道をチェックするのはもちろん、入居してからも定期的に確認したいところ。
蟻道のチェックであれば、シロアリ被害の初期でも発見可能です。
重要事項説明書にシロアリの記載がないか?
シロアリ被害のある中古住宅であることを、売主は買主に知らせる義務があります。
契約するとき、重要事項説明書にシロアリに関する記述を確認してください。
注意すべきは、売主がシロアリ被害に気が付いていないケース。
この場合、専門家による「ホームインスペクション」を受けておくと安心です。
目視できる範囲で、シロアリ被害を確認できます。
中古住宅の購入するときは、ホームインスペクションを活用してみてください。
中古住宅のシロアリ発生の保証は?
中古住宅でシロアリ被害が確認された場合、「契約不適合責任」によって売主へ修補や損害賠償などを求められるケースがあります。
修補など求めるには、次の条件を満たすことが必要です。
- 引き渡しまでに、シロアリが発生していた
- 契約不適合責任の通知期間内である
- 契約時に「シロアリ被害は免責」とされていない
- 買主はシロアリ被害を知ってから、1年以内に売主へ通知する
※シロアリ被害を隠していた場合は、期間に限らず責任を問えます。
条件を満たす場合は、売主に駆除や修繕を請求できます。
まとめ:しっかりシロアリ対策すれば、中古住宅も安心。
見えないところで進行する、シロアリ被害。
築年数の古い中古住宅でも、対策すれば安心して住めます。
- シロアリ被害がないか、購入前にチェックする
- 契約不適合責任の「期間と範囲」を確認する
- 定期的に防蟻処理を行う。
- 早めに駆除する。
判断に迷うときは、ホームインスペクションもおすすめです。
せっかく出会えた中古住宅。
長く安心して住むためにも、シロアリ対策は十分にしていきたいですね。