「ZEH(ゼッチ)にすると、補助金がもらえるらしい。」
という認識を持っている方は多いですが、残念ながら「ZEHとは?」に答えられる方は少ないです。
ZEHの導入はほかの補助金よりも複雑ですので、きちんと制度の趣旨を理解しておく必要があります。
この記事では、ZEH補助金について分かりやすく解説していきます。
ZEHとは?
ZEH(ゼッチ)とは、ゼロ・エネルギー・ハウスのこと。
「家の中で使うエネルギーをゼロ(マイナス)にしよう!」というのが、ZEH住宅です。
家の中で使うエネルギーをゼロ(マイナス)にするためには、
1・家を高断熱、高気密化にして、冷暖房費を抑える。
2・省エネ家電を導入し、家で使うエネルギーを少なくする。
3・太陽光発電で、エネルギーを創出する。
この3つがポイントになります。
2020年までに新築住宅の半数をZEH対応を目指していた。
ZEH支援事業は、2014年度からスタートしました。当初は「2020年までに、新築住宅の半数がZEH対応」を目指していました。
しかしZEHの普及状況は目標値に達しておらず、2020年開始を目標としていた「ZEHの義務化」の法案も延期することに。
ZEH対応は「住宅の高断熱・高気密化」がポイントになり、今後のハウスメーカー・工務店の技術開発に注目が集まっています。
ZEHの種類ともらえる補助金
一口にZEHといっても、厳密には3種類あり、もらえる補助金も変わります。
ZEH 70万円/1戸
正式名称は「ZEH支援事業」。ZEH対応した家を建てることで、1戸当たり70万円の補助金がもらえます。
ZEH+ 115万円/1戸
正式名称は「ZEH+実証事業」。
太陽光発電による発電した電気の自家消費(家の中での使い道)を拡充した家です。1戸当たり115万円もらえます。
ZEHよりも、
・さらに高断熱、高気密な住宅性能。
・HEMSによる、住宅設備のエネルギーをコントロールできる。
・電気自動車の充電設備。
などを充実させる必要があります。
※HEMSとは?
「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム」のこと。
家庭で使用する電気をモニターで見える化し、管理するシステム。
ZEH+R 125万円+~最大60万円/1戸
正式名称は「ZEH+R強化事業」。「R」はレジリエンス(リスク対応能力・防災力)のこと。
ZEH+を満たした家であり、停電時などの災害時でも電源が確保できる家が該当します。
1戸当たり125万円の補助金がもらえます。
さらに
・蓄電池システム
・太陽熱利用温水システム(液体式・空気式)
などを導入すると、追加で最大60万円の補助金がもらえます。
ZEHの受給条件とは?
ZEHの受給条件は、大きくわけて2つ。
1・定められた性能を満たした家であること。(ZEHロードマップのZEHの定義を満たすこと)
2・ZEH支援事業に登録された、「ZEHビルダー/プランナー」によって、家を建てること。
「ZEHの性能を満たす家」を「指定/登録されたハウスメーカー」で家を建てることが条件です。
ZEHロードマップのZEHの定義
ZEHの受給条件の基本となるのが、ZEHの定義。
ZEHロードマップには、次のように定められています。
・UA値 :1~2地域:0.4[W/㎡K]以下、3地域:0.5[W/㎡K]以下、4~7地域:0.6[W/㎡K]以下)
・省エネ基準よりも20%以上の省エネ
・太陽光発電等によりエネルギーを創ることで、正味でゼロ・エネルギーを?指す
・正味で100%省エネを達成したものをZEH
引用:ZEHロードマップ
※UA値とは?
外皮平均熱貫流率。
家の中の熱が外に逃げる数値。数値が小さいほど、断熱性が高い。
ZEHビルダー/プランナーとは?
ZEHの受給条件を満たすためには、指定されたハウスメーカー・工務店・設計士で家を建てる必要があります。
登録/指定されたビルダーは、「ZEHビルダー/プランナー」と呼ばれます。
ZEHビルダー/プランナーの登録・管理をしているのが、一般社団法人環境共創イニシアチブです。
登録されているZEHビルダー/プランナーは、こちらのページで確認できます。
ZEH+
ZEH+は、ZEHよりも高い断熱性能・省エネ性能が求められます。「ZEHの定義」を満たすことに加え、省エネ基準から25%以上の一次エネルギー消費量削減が求められます。(ZEHは20%削減)
また次の条件のうち、2つを満たすことが必要です。
1・断熱性能の強化(UA値0.30~0.50)。ただし地域区分により異なる。
2・HEMSにより、住宅設備の制御が可能であること
3・電気自動車(プラグインハイブリッド車を含む)のための充電設備
ZEH+R
ZEH+Rは、ZEH+に防災設備を充実させるのが条件です。
・停電したときに、太陽光発電システムから非常用電源が取り出せるコンセント(配線計画)
・太陽光の蓄電システムから、住宅に電力供給できること。
・太陽熱利用温水システム(液体式・空気式)を導入している。
ZEHの申請スケジュール
ZEHの補助金は、申請のスケジュールが決まっています。
決められた時期に申請し、期限内に着工して家を完成させることが必要です。
公募説明会(4月)
ZEHの公募説明会が4月に全国主要都市で開催されます。
説明会では、ZEHの制度・受給条件などの詳しい説明が受けられます。
説明会の内容は住宅メーカー向けが中心となりますが、一般の方の参加も可能です。
ZEH申請し、審査を受ける。(5月~7月)
ZEHに申請するためには、公募期間内に応募する必要があります。
公募期間は1次~4次公募まであり、自分のタイミングで応募が可能です。(ただし公募回数は変更になる可能性あり)
ZEH補助金に対して応募者が多い場合は抽選となります。またZEHの条件に適合しているか、審査も行われます。
ZEHに申請するためには、次の書類が必要です。
・交付申請書
・補助金申請算定表
・実施計画書
・外皮計算書
・一次エネルギー消費量計算書
・求積図(外皮及び用途別床面積)
・設備および外皮の仕様・性能を証明する書類
・建築図面
・印鑑証明
申請には難しい書類が必要ですので、ハウスメーカー・工務店のサポートを受けながら作成します。
定められた事業期間内に家を建てる。(8月~翌年1月)
ZEHの補助金を受けるには、定められた期間に家を建てるのが条件です。
平成31年度では、8月~翌年1月が対象となる期間でした。(この期間を事業期間と呼びます)
また補助金をもらうためには、
・指定期日までに実績報告
・完了検査
を受けることになります。
さらにZEH補助金を受けた後、1年に2回のアンケート回答が必要です。
・毎月の電気代
・冷暖房の使用状況
・HEMSの状況など
ZEHの補助金を受けてから、アンケートに3年間回答する義務があります。
ZEHの概要・受給条件まとめ
ZEHの補助金について改めてまとめます。
【ZEH補助金の種類】
・ZEH:70万円/1戸(省エネ基準よりも20%以上の省エネ)
・ZEH+:115万円/1戸(省エネ基準よりも25%以上の省エネ)
・ZEH+R:125万円+~最大60万円/1戸(防災設備を充実)
【ZEHの受給条件】
・それぞれの所定の性能を満たす家であること。
・ZEHビルダー/プランナーで家を建てること。
ほかの補助金に比べ、ZEHの受給条件は複雑です。
また家を建てる時期も、指定されたスケジュールに合わせる必要があります。
来年度以降のZEH補助金を受けるのでしたら、早めの準備が大切でしょう。直前になって慌てないよう、今のうちから準備してくださいね。