中古住宅を購入した後に、リノベーションするという人は増えました。購入して数年後にリノベーションする人もいますが、購入直後に実施することを前提とする人も非常に多いです。ここでは、リノベーションすることを前提として中古住宅を購入する人向けに、築年数に関するチェックポイントについて解説します。
1.1981年築は中古住宅購入のチェックポイント
中古住宅を買うときには、1981年以降の物件が良いと聞いたことはないでしょうか。以前から言われている安心・安全にかかわる1つの目安がこの築年数なのです。これについて、最初に説明しましょう。
1-1.新耐震基準で建てた住宅の方が安心
1981年は、大事な改正をした建築基準法が施行された年なのです。耐震性に関わる大事な基準が厳しくなっており、一般的にはこの新しい基準のことを新耐震基準と呼び、それ以前のものを旧耐震基準と呼びます。
正確には、1981年6月から施行されているため、この年の6月1日以降に建築確認申請された建物は、新耐震基準で建てていることになります(違法建築でなければ)。
耐震基準が厳しくなったわけですから、新しい基準で建てられた物件の方が安心できるのは当然ですね。
1-2.1982年以降の完成物件が良い
前述したように、新耐震基準で建築しているかどうかは、1981年6月以降に建築確認申請しているかどうかですが、物件広告を見ていてもこれがはっきりしないことも多いです。
例えば、1981年10月完成の建物はどうでしょうか?6月以前に建築確認申請している可能性もある建物です。
建築確認申請の時期を確認できる場合は確認すべきですが、すぐに確認できない場合は目安を知っておくと便利です。その目安とは、戸建て住宅ならば1982年以降に完成した物件であるかどうかです。
建築確認申請をしてから着工し完成するまでには数カ月を要します。最近の新築住宅は完成まで3カ月未満ということが多いですが、昔の工期はもっと長かったです。半年以上かけて完成する住宅も少なくありません。そこで余分をみて1982年の完成を目安とするわけです。
しかし、あくまで目安ですから、できれば建築確認の時期を確認したいものです。
2.耐震補強も考えた中古住宅の購入
新耐震基準の中古住宅を購入した方が安心感のあることはわかりましたが、リノベーションすることを前提とした場合においてもそうなのでしょうか。実は計画次第では別の考え方もできるのです。
2-1.リノベーションが前提なら一緒に耐震補強も
購入する時点で耐震性が低い住宅であったとしても、きちんと耐震診断を行って適切な耐震補強工事をすることで耐震性を向上させることは可能です。ただ、耐震補強工事はコストもかかりますし、正確に建物の耐震性を把握しようとするだけでも大変です。
しかし、リノベーションすることを前提とした場合、耐震補強工事のための負担について効率が良いとみることもできます。リノベーションの一貫として行うことで、単に耐震補強のみを行うよりも割安で実施できることが多いからです。
これは工事費の総額が安くなるというわけではなく、効率が良くなるということです。足場代が一度で済みますし、人工代も効率的で安くなるでしょう。
また、解体して壁内部を確認することで耐震診断もより正確に行うことができるのもメリットです。
2-2.耐震補強工事費も考えて購入判断
効率よく耐震補強工事を含めたリノベーションができるとはいえ、耐震補強しない場合に比べると費用が高くなるのは事実です。そこで、中古住宅購入時に注意すべき点は、旧耐震基準の住宅であるという条件を十分に反映して建物価格が安いかどうかを確認することです。
旧耐震基準の住宅には確かにリスクがありますが、そのことをよく理解して耐震補強工事をする前提ならば、リノベーション向けに購入を検討するのもよいでしょう。