これから建売住宅を購入しようかと検討している人なら、購入前にチェックすべきポイントなどをネットや書籍で勉強している人も多いでしょう。ただ、チェックポイントを見るだけではイメージしづらいことも多いですから、実際によくある失敗事例から学んでみるのも有益です。
これまでに建売を購入してきた先輩たちが、後悔したことを知り、これからの購入で同じ失敗をしないように注意してください。ここでは、本当にあった失敗事例を7つご紹介します。
- 売買契約後に隣の分譲地が値下げした
- 欠陥住宅だった
- 好みの車に買い替えできない
- 地盤沈下で建物が傾いた
- 住環境の大きな変化(目の前にマンションが建った)
- 完成したら部屋が狭かった
- 間取り変更できると聞いて契約したらできなかった
以上が7つの失敗事例ですが、それぞれの詳細についても注意点を織り交ぜながら解説しましょう。
1.売買契約後に隣の分譲地が値下げした
条件に合う建売住宅を見つけて夫婦で相談した結果、購入申し込みをして、それから僅か3日で売買契約を締結しました。少し早いと感じていたものの、次にいつ条件に合致する物件が見つかるかもわからないので、決断したのです。
しかし、その引渡しが終わってすぐに同じ分譲地の隣の家のチラシを見てビックリ。300万円も値下げしていたのです。
1-1.値下げする可能性は聞いていた
確かに売買契約のとき、その後の販売状況によっては値下げすることもありうると営業マンから説明を受けていたし、重要事項説明書にもそのような注意書きがあり、それに署名・押印していました。でも、そんなにすぐに、しかも300万円も値下げされたらショックは大きいものです。
もう少し待っていたら、自分たちも値下げして価格で購入できたのではないかと後悔しています。
1-2.購入後の値下げリスクへの対策
基本的には、同じ分譲地であっても他の物件の価格を変更することは、売主の自由です。それだけに、このような事例は決して稀なことではなく、よくあることです。そして、値下げしても異議を申し立てないという条件に合意して契約していることが多いです。
購入後の同分譲地の値下げリスクを完全に排除することは難しいですが、その可能性が高いかのか低いのかは、判断できることもあります。その見極めのポイントは以下です。
- 分譲開始から期間が相当長く経過している
- 5棟以上の分譲地で残り1棟(10棟以上の現場で残り2棟以下)である
- 以前の値下げから3ヵ月以上経過している
以上の条件のいずれかに該当する場合、売主が値下げを検討していることがあります。値下げしてでも、その分譲地の販売を終了させたいと考えるには、その事業計画(分譲計画)が失敗だった(見込み違いだった)と売主が考えているときですから、上のような条件が考えられるのです。
この条件に該当する物件ならば、購入を少し待ってみるか、先に積極的な値下げ交渉をするのもよいでしょう。
2.欠陥住宅だった
建売住宅を購入してから後悔する理由の1つに、建物が欠陥住宅だったというものがあります。これは大きなショックを受ける問題ですね。
2-1.意外と多い建売住宅の欠陥問題
今の時代はそうそう欠陥工事をしていると思わないかもしれませんが、実は少なくありません。
構造耐力に影響があるような重大な瑕疵は、建築中や完成物件の住宅診断(ホームインスペクション)を実行すれば、実行数の5%以下で見つかっており、中程度の瑕疵なら5~15%程度も見つかっています。
購入してしばらく経過してから、異常な湿気と臭いを感じて床下を点検したら漏水していたとか、あまりに2階の部屋が暑いので屋根裏を点検したら断熱材がほとんど入っていなかったということもありました。建築中の建売住宅を契約したので現場見学に行ったら、柱の構造金物が固定されていなかったり、防水シートが破れているのにそのまま外壁を貼り付けていったりといろいろな問題が起こっています。
2-2.有効な欠陥工事対策
前述したように、建売住宅は売買契約を締結した後も油断できないので、しっかり現場へ足を運んでチェックすべきなのですが、忙しくて時間がとれないという問題もありますし、そもそも建築知識が無くて判断できないという問題もあります。
そこで、有効な欠陥工事対策として考えておきたいのが、第三者の住宅診断(ホームインスペクション)です。建築中の物件なら建築途中から完成まで何回か検査に入ってもらうことができますし、完成物件なら完成状態でできる範囲の診断をしてもらうことができます。床下や屋根裏に潜ってもらうと、自分ではわからないことをたくさん見てもらえて、欠陥があれば指摘してもらえます。
3.好みの車に買い替えできない
都市部の建売住宅を購入した人に多いのが、将来の車の買い替え時の後悔です。
購入するときには、そのときのマイカーのサイズが駐車場のサイズに収まるのか、停めやすいのか確認するのは当たり前のことです。そして、将来もそれほどサイズが異なる車に乗り換えることはないだろうと考えて大丈夫だと判断して購入している人は多いです。
しかし、家族構成の変化や単純に好みの変化によって、もっと大きなサイズの車に買い替えたいと思うようになることもあります。その時になって後悔することは仕方ないかもしれません。
4.地盤沈下で建物が傾いた
住み始めて1年くらい経過してから、「どうも家が傾いているように思う」と相談されることがありました。他にも「半年で家が傾いてしまって、売主も認めている」という相談もあります。いずれにしても、せっかく購入したマイホームが傾いてきたとなれば、深い後悔をする人も多いです。
4-1.地盤沈下は新築してすぐに起こることが多い
地盤沈下による建物の傾きは、建物完成後の数カ月から2年くらいの間で発見されることが非常に多いです。年数が経過してから、新たに地盤が沈下し始めることはあまりないので、築5年の時点で沈下や傾きがなければ地盤沈下が起こることはほとんどありません。
体感で傾きを感じるようになれば、既に大きな傾きかもしれません。その前に、家具と壁の隙間の状況などから傾きを疑いだすことが多いです。「タンスの背面の下部は壁にくっついているのに上部は壁から2cmも離れている」といった具合です。
4-2.地盤沈下にあわないための対策
地盤地下により建物が傾くという問題は決して稀なことではないので、購入するときに気を付けておきたいチェックポイントです。但し、これを購入前に確認するのは簡単ではありません。
その方法とは、地盤調査報告書をと地盤改良工事計画書・報告書を見ることです。これにより、その物件の地盤の状況がわかり、それに対してどういった補強計画で対処するのか判断できます。ただ、建売住宅の買主が自分で見て判断するのは難しいので、専門家に相談するとよいでしょう。
5.住環境の大きな変化(目の前にマンションが建った)
建売を購入してから後悔する理由で非常に多いのは、周りの住環境の変化です。購入後、数年のうちに環境が変わってしまうことはどこにでもありうることですから、誰にでも起こる可能性があります。
5-1.目の前にマンション
住環境の変化でもショックが大きいことの1つが、日照の変化です。たとえば、目の前にマンションが建築されたとか、南側の隣地が建て替えて2階建てから3階建てになったということがあります。また、隣の家が増築して境界ぎりぎりまで建物が建ったことで日照・通風に影響が出ることもあります。
5-2.環境変化の予防策
購入する建売住宅の周辺環境を変化させないようにすることはできませんので、購入するときに変化するリスクがどの程度あるのか予測してから、購入判断するとよいでしょう。予測していた変化であれば、それほど後悔せずに受け入れやすくもなるものです。
予測するためのチェックポイントは以下の項目です。
- 近隣に大きな土地(駐車場・工場・古い社宅・古い長屋など)がないか
- 周囲に3階建てがあるのに隣地が平屋や1階建てでないか
- 周期の住宅地は境界ぎりぎりまで家を建てているのに隣の庭が広くないか
上の3つは建替えや増築によって日照・通風に影響を与える可能性があるというサインですから、見逃さないようにしましょう。他にも角地や広い道路に面している土地は大きな建物を建てやすいことが多いので、将来の変化がありうるかもしれません。
6.完成したら部屋が狭かった
建売住宅を買うとき、売買契約の時点ではまだ着工しておらず、実物を見ずに購入するということもよくあります。実物を見ずに購入したが故に起こりうる後悔もあるので注意したいものです。
6-1.実物を見ずに買うリスク
未完成の建売住宅を購入するに際しては、実物を見ていないだけに、完成時の内覧会で「こんなはずじゃなかった!」と思ってしまう買主もいます。たとえば、それぞれの部屋が思ったよりも狭かったという後悔は多いです。
購入する前には、間取り図に書かれている各部屋の畳数を見ている人は多いです。と言うよりも全ての人がそうでしょう。
しかし、6畳と書いてあったけど完成後に見たら思ったより狭いということがあるのです。それは、部屋の形や窓の大きさ等による開放感による影響もありますが、購入前に住んでいた部屋の広さとのずれによる印象もあります。
6-2.畳数の表示に頼らず実寸する
広さに関する思い違いを減らすためには、寸法の書かれた平面図を入手して、その寸法を今住んでいる部屋と比べてみることです。寸法の書かれた平面図は、要望すれば出してもらえるはずですが、これを拒否するような業者ならば信用できない会社と考えた方がよいです。
毎日見ている部屋と比べることで部屋の大きさをイメージしやすくなるので、間取り図の畳数表示だけで判断しないようにしてください。
7.間取り変更できると聞いて契約したらできなかった
まだ着工していない建売住宅を購入するとき、売主や仲介業者から「今なら間取り変更もできてお得ですよ」と言われて契約し、後から希望の変更ができないとわかって後悔している人もいます。
7-1.間取り変更の自由度は千差万別
間取り変更できると言われていても、できることが限られていることは非常に多いです。自由に家を建てられることはほとんどなく、非常に多くの制限のなかでちょっとした変更をできる程度だと言うことが多いです。
たとえば、和室を洋室に変更するくらいなら対応してもらえることが多いですし、クロスを選べる程度ということもあります。これを間取り変更ができるとアピールして販売活動することに対して疑問を感じますが、こういうケースは実際にあることです。
壁を無くしたり移動させたりということはできないことが多いですし、出来たとしてもその変更に関わる追加費用が高いということもあります。契約してから間取り変更にかかる割高な見積りを提示されて、結局は変更をあきらめて標準プランで建てるということもよくあります。
7-2.間取り変更の内容は契約前に要確認
売買契約後に要望が通らないとわかって後悔することが多いので、対策としては契約締結前にできる限り変更の対応可否を確認しておくとよいでしょう。
例えば、以下のようなことができるかどうかです(もちろん、あなたが希望することならば)。
- 壁の位置の変更
- 設備の変更(グレードアップも)
- 水周り設備(キッチン・トイレ・浴室等)の位置変更)
- 窓の位置・サイズの変更
- 収納の追加
収納の追加くらい問題ないだろうと思って、収納棚の追加を要望したら断られたということもあります。キッチンのグレードをあげたいと言ってもいくつかの商品から選択することしかできないということもあります。
そして、ここで注意しておきたいことは、口頭の返事だけで売買契約せずに書面化してもらうことです。後から、前言を撤回されたり、言った・言わないのトラブルになったりすることもあるからです。
今回は、建売住宅を購入したときの失敗事例を7つ紹介しました。こういったことで後悔することのないように、できるだけ契約前に検討してから判断できるといいですね。