今、あなたがマイホーム購入を考えているならば、新築住宅にするか中古住宅にするかで悩んでいるということはないでしょうか。「できれば新築が希望だけど予算の問題もあるし中古も考えなければなぁ」という人の話を聞く機会は少なくありません。
しかし、今、予算の問題以外でも新築より中古の方がよいという人も増えており、買ってからリノベーションをする人、買う前にホームインスペクションをする人も増えています。今回は中古住宅の購入についても検討している人向けに、リノベーションやホームインスペクションという2つのキーワードを交えて中古住宅購入のススメを書いてみます。
1.中古住宅の購入が注目されている
マイホームを購入するといえば、以前は新築を希望する人が圧倒的多数でした。今でも新築希望者が多いのは事実ですが、この数年で随分と変わりつつあるのも事実です。なぜ、今、中古住宅の購入が注目されるようになったのか見ておきましょう。
1-1.新築住宅より買いやすい
中古住宅は新築住宅よりも安いので買いやすいということは、魅力の1つです。思うように世帯年収が上がらないことや将来不安などから、住宅購入に投資する金額を抑えたいというニーズも大きいですから、理解できる考え方ではあります。
しかし、新築住宅は低価格な建売住宅が増えたため、以前より買いやすくなってきました。中古住宅を購入してリフォームすれば、それなりの費用がかかりますし、新築を買うよりも中古を買う方がメンテナンス費用も早期に負担しなければなりません。
つまり、価格差だけでは中古住宅への注目は説明できないのです。
1-2.中古物件への意識に変化
中古物件と聞けば、「古い」「汚い」「劣化」「危ない」などのイメージを頂く人は多かったものです。「新築を買うには予算が厳しいので、やむを得ず中古で我慢するか」といった人は多かったのです。
しかし、最近は、中古住宅へのイメージが変わりつつあります。それは、後で詳細に記述しているリノベーションとホームインスペクションが大きく影響してきているからです。
「やむを得ず中古」から「中古がいい」という考え方の人が確実に増えてきているのですね。
1-3.中古住宅の売買を国が後押し
新築住宅は購入した後の値下り幅が大きいことが多く、買った人の資産ロスが大きくなりがちです(物件による)。それに対して中古住宅は、値下り後の物件を買うことで資産ロスを軽微にとどめやすいメリットがあります。築15年~20年を経過した物件は、その後の値下りがそれほど大きくないことが一般的です。
資産ロスは国民にとって良いことではありませんし、大量に新築住宅が供給されることが一因となっている空き家問題などもあって、国としても中古住宅の売買市場を活発化したい(流通量を増やしたい)と考えるようになり、インスペクションの普及などを推し進めるようになりました。
国が中古住宅の売買を増やそうと後押ししているのです。これによって、中古住宅の購入がより注目を浴びるようになっています。
2.中古住宅購入後のリノベーションも注目されている
リノベーションとは、建物を大規模に改修して性能を高めたり、価値を向上させたりすることを言います。単なるリフォームをリノベーションだと言う人もいますが、本来の意味は異なります。
このリノベーションも中古住宅の購入と同じく注目されていますが、その理由を見ていきましょう。
2-1.買ってからリノベーションで自分のこだわりを実現
住宅をリノベーションすることで、自分なりのこだわりを住まいに表現することができます。
理想、もしくは理想に近い住まいを実現する手段としては、注文住宅を新築するか既存の住宅をリノベーションするかのいずれかが有効な手段ですが、前者は土地探しで難航することが多く、簡単ではありません。後者は中古住宅を購入する必要がありますが、土地探しよりは可能性が高いです(地域性や希望条件にもよる)。
もちろん、注文住宅とリノベーションの両方を検討してもよいでしょう。
いずれにしても、こだわりの家といえば昔は注文住宅であったのに、今ではリノベーションという方法があることも世間で認知されてきたのです。中古住宅を買ってからリノベーションするというマイホーム取得方法は、これからますます増えていくことでしょう。
2-2.新築を買えないからではなく、中古の方がよいという人も
「やむを得ず中古」から「中古がいい」という考え方の人が確実に増えてきていることは、「1-2.中古物件への意識に変化」で既に述べた通りです。その理由の1つとして挙げられているのが、リノベーションです。中古住宅を購入してから、リノベーションによって自分のこだわり実現を目指すことに魅力を感じている人がいるのです。
中古住宅を購入するうちの多くの割合の人は、購入後に何らかのリフォームをします。内装や外装の仕上げ材や下地材のリフォームが多いですが、そういったリフォームだけではなく、性能や価値の向上、間取りの変更などを行うリノベーションをする人も増えてきているのです。
リノベーションする楽しさ、魅力を感じて、新築より中古の方がよいと考えるようになってきたのです。
3.中古住宅の購入前のホームインスペクションも注目されている
中古住宅を買うとき、ホームインスペクション(住宅診断)を利用する人が増えています。これはリノベーションする人よりも多いでしょう。ホームインスペクションとは、建物の劣化状態を把握することが主な目的ですが、中古住宅の購入やリノベーションにも役立つので注目されています。
3-1.購入前のホームインスペクションでリノベーションの適正をチェック
購入を検討している中古住宅があれば、その建物の劣化状態等を確認して購入判断の参考にしたり、リノベーションの参考にしたりすることが可能です。ホームインスペクションをするとき、「この壁は無くしても大丈夫か?」などと質問する人が多いですが、それは希望するリノベーションが出来そうかどうか確認しているわけです。
建物の主要構造部分を移動させることはできないわけではないものの、難易度や手間、コストが大幅にアップしてしまうため、そこまでの対応をしなくても壁を無くしたり間取り変更したりできるかどうかについては関心度が高いです。
建物の現況図面があれば、そういったアドバイスは容易ですが、図面がなくともある程度のアドバイスは可能なことが多いです。
中古住宅を買った後にリノベーションを予定している人にとっては、その物件がリノベーションしやすいものかどうかは知りたいことですね。
3-2.ホームインスペクションで補修すべき点もチェック
ホームインスペクションでは劣化状態を確認するものですから、優先的に補修すべき点を知ることもできます。主要構造部分の腐食があれば、早期の対応が必要だと判断されることが多いですし、雨漏りリスクのある症状があれば、それも早期の対応をアドバイスされることが多いです。
また、重要度の高くない劣化事象であれば、「急ぐ必要性は高くないもののリフォームするついでに補修した方がよい」といったアドバイスを受けられることもあります。
これまでの話から、中古住宅の購入もリノベーションもホームインスペクションも、それぞれが注目されているものだということがわかります。そして、これら3点は互いに深い関わりを持っていることもわかりますね。
中古住宅購入にリノベーションやホームインスペクションを絡めることで、良い住まいを手に入れられやすいようになってきていますから、新築住宅だけにとらわれず中古住宅のことも真剣に検討してはいかがでしょうか。