自宅を新築、もしくはリノベーションするときの重要なポイントの1つが、建築費用の見積りの取り方です。見積りの取り方が適切で無い場合には、結果的に予算オーバーや他社より不当に高額な工事費の請求被害にあうリスクがあります。
工務店からの見積りの取り方だけで、金銭的に損しないための基本的な注意点をまとめていますので、ここに書かれたことは、これから住まいを新築、リノベーションする人は確実に抑えておきましょう。
1.相見積りが新築・リノベーションを成功させる重要ポイント
建築工事の見積りといえば、相見積りをとるべきだと聞かれたことのある人は多いでしょう。高額な買い物をするときには、相見積もりは非常に有効な手段ですから、ぜひ活用しましょう。
1-1.相見積もりは必須条件
新築やリノベーション工事を発注するならば、相見積もりは建築費で損しないための必須条件です。少なくとも3社以上の工務店(ハウスメーカー等を含む)から見積りを提示してもらうべきです。工事規模などにもよりますが、できれば最初は5社程度かそれ以上の会社から見積りを提示してもらい、内容を詰めつつ絞っていくとよいでしょう。
相見積りの効用は、工務店同士による価格競争という点が大きいです。他社からは見積りを取らず、自社に発注してもらえる可能性が高いと考えれば、強気の価格設定をしてくる会社は多いです。
そして、実は価格競争以外に大事なことは、複数の工務店等で迷いながら、各社から様々な提案を受けることで施主自身の考えを整理していくことができる点です。住まいに対する理想や希望の内容を整理していくことは、家づくりを進める過程でとても大事なことです。
1-2、同じ工事内容で相見積りを取る
いくつかの工務店などから相見積りをとるときに注意したいのは、各社ともにできる限り公平な条件で見積りを提示してもらうということです。
使用する材料・商品のレベル、面積、建物の形状が異なれば、それだけ建築コストが異なるわけですから、見積書を見ても正確に比較することは困難です。全く異なる住宅の見積りを見比べても、判断つきにくいものです。
ただ、会社によってできることとできないことがありますから、全く同じ条件で提示してもらうことはできません。多少の条件のずれがあることは止むを得ないことだと考えておきましょう。
しかし、はじめて各社から見積りを提示してもらう段階では、それほど同条件であることにこだわらない方がよいです。はじめは、見積りをとってから施主側が希望する工事内容を変更していく可能性も高いですが、プランをより深く検討するためにも、各社にある程度の自由を与えて、よい住まいにするための提案を入れてもらった方がよいからです。
間取りや使用する材料について提案を受けることで、それらを参考にして施主は建物プランを練り直していくのです。そういったことを繰り返しながら、合わない工務店を除外していき、最終候補の3社程度に最終段階の見積りを提示してもらうときには、できる限り条件を合わせておくとよいでしょう。
2.工事の見積り金額の提示前には現地確認が重要
見積りを提示してもらう前に注意しておきたいことは、見積りに参加する工務店の全てにきちんと根拠に基づいた見積書を作成してもらうということです。そのためには、現地の状況を把握することは非常に重要で、現地も水に見積りを提示する工務店は信用できません。
2-1.建物の現況を正確に把握してもらう
住まいをリノベーションするのであれば、現存する建物の状況を現地まで見にきてもらい、現況を正確に把握してもらいます。間取り・形状、大きさといった基礎的情報の確認はもちろんですが、建物の劣化状態もチェックしてもらうべきです。
劣化状態を把握することで、補修すべき点が明らかになり、その補修工事費も見積もりに含めることができます。これをしておかないと、着工してから予算の追加を求められる確率が高まってしまいます。
2-2.隣地との関係・環境を把握してもらう
自宅を新築する場合でもリノベーションする場合でも、現地で敷地の状況や隣地との関係を把握してもらうことも大事な作業です。
建物プランの提案を受けるときには、工務店などから敷地条件・隣地との関係なども考慮してもらった提案をしてもらう必要があるからです。日照や通風、隣家とのプライバシー関係、見栄えなどもプランを検討するときの大事な要素です。
そういった提案を含めた見積りをとることは前提として考えておきましょう。
2-3.図面・資料との相違点を把握してもらう
注文建築で新築する場合には、既存の建物の図面は無関係ですね。しかし、リノベーションする場合には既存の図面の存在は重要です。現地で見ても見えない箇所については、図面を参考に判断していくからです。
しかし、古い建物であれば、残されている図面と現況が一致しないこともよくあることです。図面を全面的に信用して現地を見ることなく、見積りを提示してもらうことはできませんので、現地で図面の両方を見てもらうようにしましょう。
3.見積り書の記述内容に要注意
最終段階の相見積りを取った後の対応も大事です。各社の見積書を並べて、以下で紹介する点については必ずチェックするようにしてください。
3-1.見積りの一式表示は問題外
見積書を眺めたときに、やたらと一式表示が多いときは、その工務店を対象から除外した方がよいかもしれません。一式表示では、内容詳細が不明瞭であり、どこまでの工事が含まれているか確認できないことが多いからです。
一式表示ばかり見積書を基に契約してしまった場合、着工後や完成後に追加工事費や契約に含まれる工事内容に関して工務店とトラブルになるリスクは非常に高いものとなります。単価や数量が明記されている見積書であるか注意して確認しましょう。
3-2.有効期限の確認は意外と重要
見積書には有効期限が記述されているはずです。その見積り内容がいつまでも有効だというわけではなく、その有効期限までに発注すればその金額で契約できるというものです。見積り書のなかには割引額が記述されていることが多いですが、その割引の有効期限でもあるのです。
この期限が明確でない見積り書である場合、発注段階になってから工務店より見積りを撤回されるという事例がありました。工務店にも何らかの事情が生じて、見積り金額を変更せざるをえなかったのかもしれませんが、契約直前になってから撤回されると施主も困りますね。
3-3.含まれる工事内容を要チェック
相見積りで取得した見積り書は、当然ながらよく比較検討しなければなりません。比較するときには、各社に伝えた工事内容が漏れなく含まれていることを慎重に確認してください。
見積りを依頼するときに同じ条件を伝えたつもりであっても、一部の工事が見積書から漏れていたという事例はいくらでもあります。発注してから気づいても、追加費用を請求される嵌めになり、他社に依頼した方が安かったということにもなるのです。
新築やリノベーションの際の見積りの取り方について、3つの注意点を述べてきました。見積書については、もっと細かなチェックポイントもありますので、それはまたの機会に解説します。