住宅の新築やリノベーション、リフォームをする際、発注予定の建築業者(工務店)やハウスメーカーと何度か打合せを重ねるなかで、その業者の対応に対して不安や不満を感じる人は少なくありません。その不安・不満が大きくなれば、多くの場合、別の建築業者(工務店)に発注しようと考えるものですが、決断できずに迷っている人は意外と多いです。
1.契約前・着工前から不安・不満・不信感があれば入居後も不安に
既に建設工事請負契約を締結しているのであれば、解約理由にもよるとはいえ、基本的には手付金を放棄せざるをえなくなることから、発注を中止(キャンセル)する障壁は大きく、別の建築業者(工務店)に変更しづらいのはよくわかります。
しかし、まだ建設工事請負契約を締結していないにも関わらず、それぞれの理由や事情のために業者を変更するかどうか悩んでいる人がいます。
契約前や着工前から不安や不満、不信感があるようならば、着工後の建築工事中も完成後も、そして入居してからもその不安を解消できないという人は多いですし、そのまま新築やリノベーション、リフォームを進めたことに対して後悔している人の話を何度も聞いています。
永く住み続けるマイホーム、大きな資金を投じて建てる家、そこで不安を抱え続けるのは残念なことですね。不安や不満を解消するために、担当者変更をお願いしたり、第三者の住宅検査(ホームインスペクション)を利用したりして対応する方法もありますが、建築業者(工務店)を変更する勇気が必要なこともあります。
2.不安・不満がある建築業者・工務店と契約する理由
既に書いたように、不安・不満を抱えながらも建築業者(工務店)を変えない、もしくは変えられないという人は少なくありません。なぜ、建築業者(工務店)を変更しないのか、その理由としてよく聞く事例を挙げてみます。
2-1.新築住宅の建築費用が安いから
建築業者(工務店)を変更しようとしない理由として最も多いものは、その業者の提示する見積り金額の安さです。新築住宅の工事に限らずリフォーム、リノベーションを検討中の人からもよく聞く理由です。
確かに安いことは魅力的ですし、施主の予算の都合もあるでしょう。見積り金額は無視すべきではない検討事項ですから、安さを理由にすることを完全に否定する気はありません。
しかし、大きな不安や不満が安さの代償になっていては、ストレスを抱えたまま暮らすことになり、後から後悔する可能性も小さくありません。本当に安さを最重視してよいのか、慎重に検討すべきでしょう。
2-2.間取りプランが気に入ったから
その建築業者(工務店)から提案された間取りプランが気に入ったので、業者を変更しないで進めたいという理由も多いです。いろいろな建築業者(工務店)やハウスメーカーから提案されたプランのなかで、施主にとって良いと思えるものを選ぶのはよいことです。
しかし、プラン以外の点で抱える不安・不満が小さくないのであれば、再考すべきかもしれません。
予算と見積り金額の差額があまりに大きい場合には、無理すべきではありませんし、担当者のレスポンスが悪すぎる場合も契約後の対応悪化の予兆ですから慎重になった方がよいでしょう。
その気に入っている間取りプランのなかの気に入ったポイントをヒントに他社からプランの提案を受けるのもよいでしょう。
2-3.建築業者・工務店の変更が面倒だから
「なぜ、それほどの不満を抱えていながらも、他の建築業者に変更しないのか?」
この質問をしたとき、「また最初から業者にあたって、打合せしてというのが面倒で」「もう時間がかかりすぎている」「もう疲れてしまって」などといった話を聞くことは多いです。
確かに、建築業者(工務店)を探し、絞り、交渉・打合せする作業には、多大な時間や労力が必要となり、疲れてしまう気持ちもよく理解できます。住宅の新築やリノベーションには大きなエネルギーが必要ですね。
しかし、ここでくじけてしまうと、入居後にも不安や不満が残ってしまい、いつまでもストレスを抱えたままになる人もいます。今こそが踏ん張りどきだと考えて、やり直してみてはいかがでしょうか。
2-4.知人だから・紹介だから
最も厄介な理由は、「知人・友人が経営する建築業者(工務店)だから変更するわけにいかない」「友人に紹介してもらった業者なので、変更したら顔を潰すことになる」といったものです。つまり、知人や友人に遠慮もしくは配慮して建築業者(工務店)やハウスメーカーを変更できないというわけです。
これは、人間関係の問題もありますから、部外者として簡単に気にせず変更したほうがいいとも言いづらいものです。ただ、意見を言わせてもらうならば、多大な資金をかけて、また人生をかけて家を建てるのは施主ですから、信頼できるよい知人や友人であれば、理解してもらえるはずです。
不満や不安な点について、もちろん言葉を選びながらも伝えることができる関係でなければ、良い関係は築けていないとも言えます。
知人や友人ではないケースで、担当の営業マンはいい人だからという理由で不安に目をつぶる人もいますが、それは間違いです。本当によい営業マンならば、不安や不満を上手にヒアリングして問題解決するように努めるからです。単に人当たりがよいだけで仕事ができない人というのは多いですから、ここを誤解しないようにしなければなりません。
施主のことをきちんと考えている知人・友人であるならば、できる営業マンと同じで不安・不満を解消したいと考えます。それができる人ならば、上手にヒアリング等もするでしょう。こういったことができる人でないならば、思い切って自分から不安・不満を丁寧に説明すべきでしょう。それでも解決しないならば、業者変更も考えてはいかがでしょうか。
3.建築業者・工務店の変更を検討すべき
ここまでに挙げたように、施主にもいろいろな考えや事情があって建築業者(工務店)やハウスメーカーの変更をしないでおこうとするものです。ただ、建築中や完成時、入居後のことまで考えて、慎重に検討してほしいと思います。
施主からの多少の我儘や無理な要望まで真剣に考えてくれる建築業者(工務店)に巡り合えればいいですね。